
Amazonの販売手数料はいくら?カテゴリによる違いや計算方法を解説
Amazonに出品する際、利益を出すためにはコスト計算が欠かせません。
コストといえば、商品原価や梱包費、送料や人件費を思い浮かべるでしょう。しかし、考慮すべきコストの1つに出品にかかる手数料があります。
本記事では、Amazonの出品にかかる販売手数料にフォーカスして解説します。Amazon出品を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
Amazonの出品にかかる手数料一覧
Amazonでの商品の販売方法は、大きく分けて以下の2つに分けられます。
- Amazonベンダーセントラル
- Amazonセラーセントラル
前者のベンダーセントラルは、Amazonからの招待が必要な販売方法で、指定された業者だけができる、Amazonへの卸しとなります。
販売にかかる費用が抑えられる代わりに、卸価格の設定を守らなくてはいけないので、その部分で利益率がおちるというシステムです。
後者のセラーセントラルは、Amazonへ個人・法人問わずに自由に出品する形式で、楽天市場やYahoo!ショッピングのようにAmazonのモール内で販売するものです。
この記事では、Amazonセラーセントラルで出品をする場合の手数料を解説します。
出品にかかる手数料は料金プラン、商品カテゴリー、配送方法によって異なり、固定費および売上に応じた変動費があります。
まず出品プランは月間で50点以上販売するか否かで、小口出品サービスまたは大口出品サービスのどちらかを選択することになります。
出品プランの解約変更はいつでも可能なので、取り扱う商品が確定していない場合は、小口出品サービスで登録しておくのもよいでしょう。
ただし、小口出品サービスは、商品が1点売れるごとに100円の基本成約料が発生します。
販売手数料は、カテゴリーによって異なり、おおむね8~15%程度です。詳しくは次章で説明します。
配送料は、自社で発送するか、または「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を利用するかによって異なります。もしFBAを利用するのであれば、FBA在庫手数料とフルフィルメント手数料として、配送代行手数料や在庫保管手数料などが発生します。
このようにAmazonに出品する際はさまざまな費用が発生します。本記事で解説する販売手数料はあくまでその一部であることを覚えておきましょう。
出品プラン |
・小口出品サービス:100円/商品 (販売時に発生、基本成約料にあたる) ・大口出品サービス:4,900円/月 (月額固定制) |
基本成約料 |
・小口出品サービス:販売商品1点ごとに100円 ・大口出品サービス:なし |
販売手数料 | ・カテゴリーによって異なる |
配送料 |
・自社で発送するか、「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を 利用するかによって異なる |
その他費用 |
・大量出品手数料、返品処理手数料など (FBAを使った場合) |
参考:
Amazon セラーセントラルとは?概要からログインする方法を紹介 | Starting an ecommerce business
料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター | Amazon出品サービスの料金
あわせて読みたい:
FBAの手数料を一覧で紹介。計算方法や値上げについても解説
【カテゴリー別】Amazonの販売手数料一覧
それでは本題の販売手数料をみていきましょう。前章でも触れましたが、Amazonの販売手数料は取り扱う商品のカテゴリーによって定められています。
基本的にはカテゴリーごとに定められている手数料率に、売上金額を乗じた金額が請求されますが、所定の金額よりも下回る場合は、最低販売手数料が請求される仕組みです。
販売手数料は、商品が売れたタイミングで発生するコストなので、商品が売れなければ請求はかかりません。
カテゴリー別の販売手数料は、おおむね8~15%で設定されていますが、物によっては45%以上の料率がかかるものもあります。
カテゴリーごとの料率は、以下の通りです。自社で取り扱う予定の商品カテゴリーを確認してコスト計算の参考にしましょう。
カテゴリー | 販売手数料 | 最低販売手数料 |
---|---|---|
メディア - 本、DVD、ミュージック、 PCソフト、ビデオ |
15% | 該当なし |
エレクトロニクス | 8% | 30円 |
パソコン・周辺機器 | 8% | 30円 |
家電アクセサリ | 10% | 30円 |
Amazonデバイス用アクセサリ | 45% | 30円 |
楽器およびAV制作機器 | 10% | 30円 |
ドラッグストア |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円以下の場合は商品代金の8% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円を超える場合は商品代金の10% |
||
ビューティ |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円以下の場合は商品代金の8% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円を超える場合は商品代金の10% (一部のブランドには、販売手数料15%が適用) |
||
健康家電・理美容家電 | 10% | 30円 |
スポーツ&アウトドア | 10% | 30円 |
カー&バイク用品 | 10% | 30円 |
タイヤ | 10% | 30円 |
おもちゃ&ホビー | 10% | 30円 |
TVゲーム機本体 | 8% | 30円 |
TVゲーム&ゲーム用アクセサリ | 15% | 該当なし |
ペット用品 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円以下の場合は商品代金の8% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円を超える場合は商品代金の15% |
||
文房具・オフィス用品 | 15% | 30円 |
ホーム&キッチン | 15% | 30円 |
ホーム&キッチン家電 | 10% | 30円 |
浄水器・整水器 | 10% | 30円 |
小型家電 | 8% | 30円 |
大型家電 | 8% | 30円 |
家具 | 15% | 30円 |
マットレス | 15% | 30円 |
DIY・工具 | 15% | 30円 |
産業・研究開発用品 | 15% | 30円 |
業務用医療用品 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円以下の場合は商品代金の8% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円を超える場合は商品代金の10% |
||
食品&飲料 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円以下の場合は商品代金の8% |
該当なし |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円を超える場合は商品代金の10% |
||
ビール | 6.5% | 該当なし |
腕時計 | 15% | 30円 |
ジュエリー |
商品1点あたりの売上の合計のうち、 10,000円以下の部分については商品代金の10% |
30円 |
1商品あたりの売上の合計が 10,000円を超える部分は商品代金の6% |
||
ベビー用品 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円以下の場合は商品代金の8% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 1,500円を超える場合は商品代金の15% |
||
服&ファッション小物 |
商品1点あたりの売上の合計が 2,500円以下の場合は商品代金の8% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 2,500円を超え、3,000円以下の場合は商品代金の12% |
||
商品1点あたりの売上の合計が 3,000円を超える場合、3,000円までの部分については商品代金の12%、 3,000円を超える部分については商品代金の8% |
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アイウェア |
商品1点あたりの売上の合計のうち、 3,000円以下の部分については商品代金の12% |
30円 |
1商品あたりの売上合計が 3,000円を超える部分については商品代金の8% |
||
シューズ |
商品1点あたりの売上の合計のうち、 7,500円以下の部分については商品代金の12% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 7,500円を超える部分には、商品代金の6% |
||
バックパック、ハンドバッグ、 旅行かばん&トラベル用品 |
商品1点あたりの売上の合計のうち、 7,500円以下の部分については商品代金の12% |
30円 |
商品1点あたりの売上の合計が 7,500円を超える部分には、商品代金の6% |
||
その他のカテゴリー | 15% | 30円 |

Amazonの販売手数料の計算方法
前章で自社で取り扱う予定の商品カテゴリーを確認できたところで、実際に計算をしてみましょう。
例として、文房具カテゴリー(販売手数料15%)に属する商品Aを、自社発送するという前提で販売した場合で計算します。
条件と計算方法は、下表の通りです。
商品A価格(税込) | 2,750円 |
配送料(税込) | 100円 |
ギフト包装料金(税込) | 150円 |
商品売上合計(税込) | 3,000円 |
販売手数料(税抜) | 3,000×15%=450円 |
販売手数料(税込) | 450円×1.1=495円 |
この場合、495円が販売手数料として請求されます。
また、販売手数料の計算には、配送料やギフト包装料金など、ユーザーが支払った料金の全額(税込の商品売上額)が含まれます。
さらに販売手数料は税抜表記なので、最終的に消費税10%を乗じる必要があります。
Amazonの販売手数料は高い?楽天・ヤフーと比較
楽天市場やYahoo!ショッピングと、Amazonでは販売手数料にはどれほどの違いがあるのでしょうか。
Yahoo!ショッピングの各種手数料
Yahoo!ショッピングは出店手数料が無料かつ、各種手数料が安く設定されています。よってAmazonと比較し、コストを最小限に抑えて出店することが可能です。
しかし、出店料が無料ということもあり、Amazonや楽天市場と比較すると出店店舗数が多く、言い換えると競合店舗が多いモールです。
また、成果報酬型広告の「PRオプション料率」をアップすると、検索結果で上位表示されやすくなるため、実績のない開店時はアクセスを確保するためのメディア投資が欠かせません。
出店ハードルは低いですが、売上を作るために出店時にはみえていないコストが多く発生する可能性があります。
また、Yahoo!ショッピングでは「優良店」と認定する、ストアパフォーマンスという独自の評価制度を設けており、売上金額・売上件数・配送の早さ・レビュー点数などを総合評価しています。
この中でも「優良配送」とよばれる「購入から2日以内にユーザーに配送完了すること」が重要視されています。少なくとも注文の翌日には出荷できる配送サービス体制が整っていない店舗は評価が低くなり、オーガニック検索の表示順位へ大きな影響があります。
出店料や初期コストを抑えられるYahoo!ショッピングですが、露出をはかるためには別途費用をかける必要があり、結果的にAmazonよりも手数料が高くなる可能性も十分あります。
運用コストも鑑みて出店検討するのがよいでしょう。
初期費用 | 無料 |
月額システム利用料 | 無料 |
売上ロイヤリティ | 無料 |
ストアポイント原資負担 | 1%~15%(1%は必須) |
キャンペーン原資負担 | 1.5%は必須 |
アフィリエイトパートナー報酬 | 1%~50%(1%は必須) |
アフィリエイト手数料 | アフィリエイトパートナー報酬の30% |
ストア決済サービス手数料 | ※決済方法により異なる |
*Yahoo!ショッピング公式発表資料にもとづいているので、掲載時によって、条件が変動する可能性があります。
出典:料金・費用 | ネットショップ開業ならヤフーショッピング
楽天市場の各種手数料
楽天市場の出店プランは、出店者のニーズに合わせて、3つに分かれており、プランによってシステム手数料や登録可能商品数、画像容量が変わります。また同じプランでも月間流通金額によって手数料比率が変動する仕組みです。
楽天市場の場合は、2024年4月からクーポン手数料制度が開始したり、2024年6月から月額出店料が値上がりしたりと、各種手数料が軒並み値段が上がっています。
今後もコスト比率が上がる可能性があるので、頭に入れておきましょう。
楽天市場はAmazonと同様に、プランとカテゴリーによって手数料の料率が変動します。
仕組みは似ていますが、楽天市場には売れなくても発生する月間手数料があります。
以下の表が、楽天で公式に発表しているプラン一覧です。
がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン | |
---|---|---|---|
月額出店料 (税別) |
・25,000円/月 ・年間一括払 |
・65,000円/月 ・半年ごとの2回分割払 |
・130,000円/月 ・半年ごとの2回分割払 |
システム利用料(税別) | 月間売上高の3.5~7.0% | 月間売上高の2.0~4.5% | 月間売上高の2.0~4.5% |
登録可能商品数 | 5,000商品 | 20,000商品 | 無制限※1 |
画像容量 | 500MBまで※2 | 5GBまで | 無制限※1 |
※1 メガショッププランの「登録可能商品数」と「画像容量」は無制限ですが、それぞれの初期値は50,000商品と5GBです。上限変更を希望する場合は、いずれもその都度、商品数・容量アップを申請する必要があります。
※2 画像容量の上限に達した場合、以後新しい画像を利用した新規商品ページの登録が難しくなることがあります。
出典:出店プランと費用|楽天市場
Amazonの販売手数料と消費税について
つづいて、Amazonの手数料と消費税の関係についてみていきます。
Amazon各種手数料の消費税に関して
本記事の中ほどでも触れましたが、Amazonの各種手数料はすべて税抜表記となっています。
よって、計算した手数料に対し、最終的に10%を乗じる必要があります。ここを見落としていると、最終的に10%の誤差が発生し利益圧迫につながるので注意しましょう。
インボイス制度でAmazonの販売手数料などにかかる消費税はどうなる?
Amazonではインボイスへの対応のため、出品管理画面のセラーセントラルに「適格請求書発行事業者登録番号」を入力できるようになっています。設定漏れのないように注意しましょう。
また、消費税の仕入税額控除の要件を満たすために、アマゾンが販売事業者に代わって顧客に「適格請求書」を発行します。インボイス制度導入前と比較し、下記のような書式変更がされています。
- アマゾンジャパン合同会社の登録番号を記載
- 適格請求書発行事業者である販売事業者様からの購入金額について税率ごとの税抜金額、税額を記載
- 適格請求書発行事業者である販売事業者様の登録番号(適格請求書発行事業者ではない場合、請求明細に「なし」と記載)
- 注意事項の更新
出典:インボイス制度導入に関するAmazonビジネスでの対応 | amazon business.

【FAQ】Amazonの販売手数料に関してよくある質問
ここでは、Amazonの販売手数料に関する、よくある質問に回答します。
販売手数料の大口割引はある?
販売手数料の割引はありません。しかし、大口出品サービスの場合、成約手数料は無料です。
また、新規出品者向けのキャンペーンなどが用意されています。詳細は以下をご確認ください。
出典:プロモーションやキャンペーン情報 | Amazon出品サービス
海外への販売手数料はいくら?
Amazonグローバルセリングを利用してアカウントを統合することで、大口出品の月間登録料の割引も受けられるようになります。
割引内容ですが、複数の国に出品しても、月額料金は合計で最大39.99米ドルしかかかりません。もし各国の月額料金の合計が39.99米ドル未満であれば、その金額が適用されます。
参考:Amazon海外販売(越境EC) | Amazon出品サービスの販促方法
出品するECモールに迷うときはプロへの相談がおすすめ
Amazonへの出品検討時には、初期費用やランニングコストも鑑みたうえでコスト計算をする必要があります。
しかし、販売手数料や配送料の計算には、取り扱う商材のカテゴリーや発送サイズ、売上予測が必要になり、難しいと感じる方もいるでしょう。
どんぶり勘定でコスト計算をすると採算が合わず、事業で赤字になる可能性もあります。そこで、Amazonへの出品を検討している企業は、運営代行会社と連携することをおすすめします。
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