シンガポール経済開発庁 新たに成長が期待される分野、企業に対する支援制度を紹介
シンガポール経済開発庁(以下:EDB)は、アジア進出や事業拡大を検討している企業に向けたセミナーを2024年5月16日に開催。東南アジアやシンガポールで新たに成長が期待される分野や、企業に対するシンガポールの支援制度を紹介した。
優遇措置や助成金について紹介
本セミナーでは、半世紀以上にわたって日本と国交を結んできたシンガポールとのビジネスの拡大がますます期待される中、シンガポール政府が2024年予算案で発表した新たな優遇措置や助成金について紹介された。以下はセミナーにおける紹介内容の一例となる。
◆国家生産性基金に追加支援
研究開発能力の深化と、企業のイノベーション活動のために、過去30年に渡りGDPの1%に相当する600億シンガポールドルを支援しており、2024年度予算案では、国家生産性基金に20億シンガポールドルを追加投入する。
◆イノベーションの競争力の強化
研究・イノベーション・エンタープライズ2025年計画の取り組みとして、半導体、医療技術、ロボティクスの研究開発とイノベーションに30億シンガポールドルを追加投資。
◆人工知能(AI)の開発と導入を加速
今後5年間で10億シンガポールドルが投資されることが発表。AIのスペシャリストを現在の3倍となる、15000人に増やす取り組みも強化される。
急成長する東南アジア市場
製造業、サービス業など様々な分野の企業幹部80人以上が参加した本イベントでは、三菱商事と鹿島建設がシンガポールでの事業活動やEDBとのパートナーシップについて紹介。またJPモルガンとIGPIシンガポールも登壇し、東南アジアにおける成長機会や、シンガポール事業における財務管理に役立つ情報を共有した。
昨今の経済的・地政学的不確実性の中で、グローバル企業はリスクを軽減し、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、急成長する東南アジア市場に目を向けている。
2024年3月に発表されたJETROの調査報告書(※1)によると、多くの多国籍企業や急成長中の新興企業がASEANへのゲートウェイとしてシンガポールに拠点を置いており、アジア諸国内で日本企業が地域統括拠点を設置した国は、ここ10年以上、シンガポールがトップになっている。
今後もさらなる成長が期待されるシンガポール市場の動向に注目、期待したい。
※1:2023年度アジア大洋州地域における日系企業の地域統括機能調査報告書