ファッションEC企業向け画像生成AIツール「SugeKae」、色温度調整機能を搭載

ECのミカタ編集部

生成AIでファッションEC画像の色調整作業を一括で処理する機能を開発

株式会社ELEMENTS(以下:ELEMENTS)は2024年7月2日、ファッションEC企業向け画像生成AIツール「SugeKae(スゲカエ)」に、生成AIで商品画像の色味を一括調整する色温度調整機能(以下:本機能)を搭載したことを公表した。

高精度な調整を安定的に実現

本機能は、商品画像の編集担当者向けに、撮影環境による実商品との色味の違いを生成AIにより自動で一括調整する機能である。

商品の正しい色味の画像と、撮影画像をアップロードするだけで、トップスやボトムスなど対象範囲を自動選定し、色調整まで実施する。

既存の色調整ツールでは一枚ずつの対応が多いが、「SugeKae」は参照画像をベースに構図の異なる画像でも対象範囲を自動選定し、最大100枚を一括調整できる点が特徴だ。

また、参照元となる画像の色温度データをAIに学習させ、異なる見た目の服の色を正しい色に再生成。色の感じ方には個人差があり、また光や影が複雑に入り交じる色を手動で調整するのは技術的にも難しいが、生成AIの活用によって高精度な調整を安定的に実現する。

料金については、生成画像のうちダウンロードした枚数を課金対象としている。1ダウンロードあたり20円(税抜)〜と利用しやすい価格で提供(※1)されるため、多くの企業での導入が期待できるだろう。

※1:最低月額利用料と従量課金の合計額のいずれか高い方が月額利用料となる。

※画像元:生成AIでファッションEC画像の色調整作業を一括で処理する機能を開発(株式会社ELEMENTS)

背景、アイテム、カラーなどの変更が自在に可能

「SugeKae」では、従来人手で1枚あたり3分程度かかっていた作業時間を約5秒に短縮可能。約97%の工数を削減することで、画像編集作業を大幅に効率化させる。主な機能は以下の通りだ。

◆背景を変える
商品画像の背景を指定画像や自然な単色の背景に変更。不自然な影の浮きなどなく、季節やコーディネートに合わせた自然な背景を生成する。

◆背景を白抜き
ECサイトに最適な白抜きの背景に変更し、商品がはっきり見える白背景を瞬時に生成する。

◆アイテムを変える
コーディネート画像の一部アイテムを別のアイテムに変更。在庫が多く残った商品でも、次のシーズンに合わせたコーディネートに組み直した画像を生成することで季節をまたいだ展開が可能になる。

◆カラーを変える
商品画像のアイテムを指定したカラーに変更。1枚の画像をもとにSKUに応じたカラーバリエーション画像を生成する。

◆生成ギャラリー
生成した画像をいつでも一覧で確認し、必要な時にダウンロードできるため、チーム内での画像共有も可能となる。

色イメージ違いによる返品率防止なども期待

経済産業省によると(※2)、2022年の国内の消費者向けEC市場は22.7兆円と5年前に比べて約4割増え、EC市場規模は年々拡大している。

そうした状況において、ECサイトにおける商品画像作成は、購入を検討する顧客に商品の特徴や詳細を伝えるために企業が最も重要視する業務となるだろう。

中でも商品の色味は、顧客のイメージを手助けし、購入につなげたり返品率を下げたりするのに影響するため、正確な再現が求められている。その一方、商品の撮影状況などによって色味の違いが生まれるため、担当者が一枚ずつ画像編集作業をしているのが実態だ。

本機能はこうした現場の業務を大幅に効率化させつつも、消費者に対してより分かりやすい画像提示が実現する。色イメージ違いによる返品率防止など、ECの運営全体の生産性向上にも寄与することが期待されるだろう。

生成AIの発展は著しく、今後もEC市場に与える影響は大きくなるはずだ。AIの積極的な利用を通じて、より利便性の高いサービス実現を目指してほしい。

※2:令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)


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