棚卸の差異とは。原因や対策、合わないとどうなるかを解説

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棚卸の差異とは。原因や対策、合わないとどうなるかを解説

棚卸差異とは、帳簿上の在庫数と実際の在庫数の差異のことです。
取り扱う商品数量が多ければ多いほど棚卸差異が発生しやすく、多くの現場で頭を悩ませているのではないでしょうか。

棚卸差異はサービスや会社経営に悪影響をおよぼしかねない、重要なファクターです。そこで今回は、棚卸差異の定義から原因・対策、合わない場合に起こる状況について解説します。

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棚卸の差異とは

棚卸とは、保有する商品や原材料、消耗品などの在庫数を確認し、保有資産を確定することです。

実地で数量をカウントする方法を実地棚卸、帳簿上の仕入れ数量から出庫数量を引いて在庫を算出する方法を帳簿棚卸といいます。

倉庫での棚卸は、基本的に実地棚卸のことをさします。

そして棚卸をおこなった際のカウントした数量と帳簿上の数量との差を「棚卸差異」といいます。

棚卸差損(実在庫がマイナス)

棚卸差損とは、「帳簿上の数量<実際の在庫数」となった場合の差です。

データ上の数量50個に対し、実際に数えた数量が45個だった場合「5個の棚卸差損がある」といえます。

棚卸差益(実在庫がプラス)

棚卸差損とは反対に、「帳簿上の数量>実際の在庫数」となった場合の差を棚卸差益といいます。

帳簿上の数量50個に対し、実際の在庫数が55個だった場合「5個の在庫差益がある」となります。

棚卸の差異率とは

棚卸差異率とは、帳簿上の数量に占める在庫差異の数量を割合で表したものです。

差異率の計算方法

計算式は「在庫差異÷帳簿上の数量=在庫差異率」となります。

<例>実在庫が45、帳簿上の数量が50の場合

  • 50(帳簿上の数量)-45(実在庫)=5(在庫差異)
  • 5(在庫差異)÷50(定慕情の数量位)=0.1→10%(差異率)

数字がプラスの場合は棚卸差益、マイナスの場合は棚卸差損が生じています。

棚卸差損と棚卸差益を混ぜて扱うと数字を相殺してしまい、実態が見えなくなります。そのため、棚卸の際は損益が混ざらないように、商品ごとに帳簿上の数量と実在庫の差分を計算します。

差異率の許容範囲は?

棚卸差異率の許容範囲は、一般的に5%までとされています。

少なければ少ないほど好ましいため、目標値を2%以内とするとよいでしょう。

差異率が大きいと、経営に影響を与えるリスクもでてきます。5%を超える場合は早急な原因特定・対策が必要です。

棚卸が合わないとどうなる?

棚卸が合わないと、どのような影響が発生するのでしょうか。

ここで、なぜ棚卸差異が問題なのかを理解し、対策に役立てましょう。

顧客満足度の低下

帳簿上の数字で受注した場合、実在庫が不足する可能性があります。

すでに注文を受けているのに、あるはずの在庫が無いという状態です。

その結果、出荷遅延や注文キャンセルとなり、顧客満足度の低下、信頼喪失につながります。

販売の機会損失・キャッシュフローの悪化

一見、在庫が多くある分には問題がないように思えます。

しかし帳簿上には存在していない在庫は、そのまま販売機会損失になります。

つまり、棚卸で余剰在庫が発覚したときにはすでに商品の販売が終了していたり、旬や流行を過ぎてしまい値下げする必要があったりと、売れたはずの商品が売れなくなるリスクがあるわけです。

また、余剰分があるにもかかわらず、帳簿上で在庫が不足しているために仕入れをしてしまう、という可能性もあります。

余剰在庫が発生する原因を突き止めて対策しない限り、無駄な仕入れと廃棄を繰り返すこととなり、キャッシュフローの悪化を招くきっかけにもなり得ます。

生産性の低下

数字が合わないことで帳簿上の数字を信用できなくなり、受注担当者が実在庫を問い合わせしたり想定外の在庫不足によって臨時に仕入れたりと、本来不要であった作業や混乱が発生します。

結果として、受注から発送に関わるスタッフの生産性低下を招くおそれがあります。

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棚卸が合わない場合に考えられる原因

原因を特定することが、棚卸差異の発生を防止する第1歩です。

倉庫作業の各工程に棚卸差異発生のリスクが潜んでいます。1つひとつ確認していきましょう。

入荷検品・入力ミス

入荷時の数量カウントを間違えたり、入荷処理時に誤った数量を入力をしたりすることで棚卸差異が発生します。

「100個発注をかけて99個しか届いていないが、100個と入力していた」といったように発注数量と納品された数量が違っている場合や、分割納品される場合に起こりやすくなります。

ピッキングミス

ピッキング漏れしていることに気づかず出荷したり、発注以上に多く出荷したりした場合にも差異が発生します。

届いた商品が少ない場合は顧客から連絡がきますが、商品が多い場合には連絡が無いこともあるため、発覚しづらい間違いです。

伝票処理ミス・タイムラグ

突発的な出荷や返品によって伝票処理が漏れることもあります。

また、先日付の伝票処理をおこなっている場合、帳簿上の処理と在庫移動のタイムラグが発生して差異につながっている可能性もあります。

保管場所間違い

パッケージやサイズが類似した商品の場所に誤って保管されていることがあります。また、「出荷頻度が少ない製品の保管場所がわからない」というケースもあります。

商品の保管ルールが明確になっていなかったり、担当者の引継ぎの際に保管場所がきちんと伝達されていなかったり、ロケーション管理ができていない場合に発生しやすいです。

在庫紛失

どうしても差異の原因がわからないこともあります。可能性として、盗難や勝手な廃棄や持ち出し等が考えられます。

これらは、セキュリティの不備や倉庫作業スタッフの管理意識低下により起こりやすくなります。

棚卸の差異をなくすための対策・改善策

棚卸が合わないと顧客満足度や経営に影響があることは先に述べた通りです。また、棚卸作業や差異の原因追及にも時間やコストがかかります。

そのため、日ごろから差異が発生しないように管理することが大切です。もし発生したら、それ以降は同じ原因で差異が生じないように対策しましょう。

商品のバーコード管理

商品をバーコード管理することで、商品情報をスキャンで読み込むことができます。

SKUの誤認識やカウントミスが無くなり、データへの転記間違いも発生しません。

商品が小さい場合は、省スペースのためQRコードを利用するのもよいでしょう。

導入コストは上がりますが、バーコードの代わりにRFID(Radio Frequency Identification)タグを活用すれば、商品を一括で読み取りができ、入荷検品や棚卸の作業時間の短縮が可能です。

WMS(倉庫管理システム)の導入

WMSとは、物流センターの作業を管理・サポートするためのシステムです。

WMSに出荷前検査のエラーチェック機能を搭載することで、ピッキングリストとバーコードスキャンで読み取った商品データを自動的に照合・エラー検出が可能になります。

入荷時も同様、入荷予定商品のデータと読み込んだ実際の商品データを照合することで、差異があった場合に発見しやすくなります。

ダブルチェック

複数人の目を介して確認するダブルチェックも差異発生防止に有効です。

1次検査担当者と2次検査担当者を分けることで、作業の確実性を高め、ミスを発見しやすくなります。

人手が必要となりますが、システムや備品の準備は不要のため、すぐに取り入れられる対策の1つです。

作業のマニュアル化・ルール徹底

毎回手順が変わらないようにマニュアル化・ルール徹底が必要です。

「通常の作業時間外に処理を終えたあとは必ず帳簿に記載し、ダブルチェックをおこなう」「営業日の業務開始時に担当者が帳簿の確認をする」などのルールを決め、周知・遵守することが棚卸差異削減につながります。

棚卸頻度をあげる

慢性的な棚卸差異が発生する場合や棚卸差異が目標値より大幅に多い場合は、棚卸頻度をあげることも1つの手段です。

作業負荷はかかりますが、対象期間を絞ることで原因特定がしやすくなります。

原因特定・対策・状況改善まで応急措置として棚卸頻度をあげ、差異が削減されたら元の頻度に戻すとよいでしょう。

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棚卸に差異が発生したときの処理方法は?

在庫は会社の資産として計上するため、実態と違うと営業損益の計算にも狂いが生じてしまいます。

そのため棚卸差異が発生した場合は、差異をゼロに戻すための会計処理が必要です。

理論在庫と実在庫のどちらに合わせるべき?

理論在庫は帳簿管理上の在庫数、実在庫は棚卸で実地に数えた在庫数を表します。

棚卸差異が発生した場合は、実在庫に合わせて会計処理をおこないます。

棚卸差損の処理:実在庫が理論在庫より少ない場合

勘定科目「棚卸減耗費」で仕訳します。盗難や災害によって商品が無くなった場合は「特別損失」として処理することもあります。

棚卸差益の処理:実在庫が理論在庫より多い場合

仕入れ計上が漏れていた場合は勘定科目「繰越商品」で仕訳します。原因不明の場合は「棚卸差益」「雑収入」で処理します。

在庫管理はプロにアウトソーシングするのもおすすめ◎

倉庫運用をするうえで切っても切れない棚卸差異。

発生を抑制するには、定期的な棚卸はもちろんのこと、原因の追及と的確な対策が必要です。

対策にはバーコード管理やシステムの導入など、一定の投資が必要となるケースも少なくありません。

また、差異率の目標値を設定し、日々運用を改善していく管理者をおいてもよいでしょう。

とはいえ、倉庫担当者は他の業務と兼任で仕事をしており、運用改善までなかなか手が回らない、という会社も多いのではないでしょうか。

棚卸差異でお悩みの方は、プロに相談することをおすすめします。

ECのミカタでは、これまで40,000件を超えるEC運営の相談に応えてきたコンシェルジュが、課題やご要望をお伺いし、最適な物流倉庫をご紹介します。

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倉庫運用で課題をお持ちの方は、お気軽にご相談してくださいね。

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