佐川急便、セイノーHD、T2の3社が自動運転トラックによる幹線輸送実現へ公道実証実験を開始
株式会社T2(以下:T2)と佐川急便株式会社(以下:佐川急便)、セイノーホールディングス株式会社(以下:セイノーHD)は、2024年10月から2025年6月にかけて、T2が開発した自動運転トラックを用いた幹線輸送(※1)の実証実験を、東京・大阪間の高速道路一部区間で実施することを公表した。
※1:周辺エリアの大量の荷物を集めた拠点から、他のエリアの集積拠点まで大型トラックなどで輸送すること
自動運転に向けた実証をスタート
本実証実験は、レベル4自動運転(※2)トラックによる幹線輸送実現に向けての大きな一歩となることが期待される。実証概要は以下の通りだ。
◆期間
▷2024年10月~2025年6月
◆場所
▷東京~大阪間
▷東名高速道路
▷新東名高速道路
▷伊勢湾岸道
▷名神高速道路
▷新名神高速道路
▷京滋バイパス
◆参加企業
▷株式会社T2
▷佐川急便株式会社
▷セイノーホールディングス株式会社
◆実証内容(※3)
▷トラックレベル4自動運転に向けた高速道路上での自動運転
▷貨物を積載した幹線輸送における自動運転の路線検証
※2:特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態
※3:すべての実証実験はドライバー乗車の上、レベル2相当で実施
自動運転トラックは有力な輸送力確保手段
昨今、トラックドライバーの労働時間見直しに伴うトラック輸送能力の低下が社会課題(2024年問題)となっており、国の試算によると2030年には34.1%の輸送能力が不足すると予想されている状況だ。
ラストワンマイルでのAIによる配送ルート提案等、課題に対しさまざまな施策を講じている佐川急便とセイノーHD、そして自動運転トラックの技術開発を行っているT2が協力することで新たな運送モデルの創造が期待される。
佐川急便取締役であり輸送ネットワーク・施設投資担当の枝川和弘氏は以下のようにコメントしている。
「物流業界においてドライバー不足により輸送能力が不足すると懸念されている中で、自動運転トラックは有力な輸送力確保手段と考えています。官民でのインフラ整備計画も進んできておりますので、実証実験による知見の獲得と社会からの認知が加わり、自動運転トラックによる輸送が早期に実現されることを期待しています」。
今後は協議会の設立も検討
幹線輸送は経済や国民の生活を支える大動脈だといえる。今回の実証実験は、持続可能な物流を実現したいという共通した想いによって実現した。
さまざまな条件下の公道において、運送事業者である佐川急便、セイノーHDの荷物を輸送することで、将来の事業化に向けた、知見の獲得や改善点の洗い出しを目的として実施される。
また今回の実証実験をきっかけに、自動運転トラックでの幹線輸送実現に向けた協議会の設立も今後検討するとしている。持続可能な物流環境構築に向けた取り組みとして、実証実験の動向、結果に注目だ。