近畿地区の景表法違反 措置命令1件、指導は3件に(公正取引委員会調査)
消費者庁は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示及び過大な景品類の提供に対して、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号、以下「景品表示法」)の規定に基づいて厳正・迅速に対処を行っている。また同法の普及・啓発に関する活動を行うなど、表示等の適正化に努めている。
2024年7月29日、2023年(令和5年)度における近畿地区の景品表示法の運用状況等が公表された。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
措置命令が1件、指導が3件の計4件
景品表示法違反被疑事件については、公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所(以下:近畿事務所」)及び消費者庁が行った調査の結果を踏まえ、消費者庁が、違反行為者に対して措置命令・課徴金納付命令を行うほか、違反のおそれのある行為等がみられた場合には関係事業者に対して指導を行うなどしている。
今回、2023年(令和5年)度における近畿地区(※1)の景品表示法の事件処理件数は、措置命令が1件、指導が3件の計4件となった。
◆事件処理件数(単位:件)
※画像元:(令和6年7月29日)令和5年度における近畿地区の景品表示法の運用状況等(公正取引委員会事務総局 他)
※1:福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県の2府5県
内訳は全て優良誤認(景品表示法第5条第1号)
表示事件4件の内訳をみると、優良誤認(景品表示法第5条第1号)が4件という結果に。また、蓄電池の販売等に係る不当表示について、近畿事務所及び消費者庁が行った調査の結果を踏まえて、消費者庁が措置命令を行った。
◆表示事件の内訳(単位:件)
食品、二重価格、ステマなどの相談が目立つ
2023年(令和5年)度に、近畿事務所において受け付けた相談件数は493件であった。具体的な相談内容としては、以下のような内容があげられる。
◆食品の表示に関する相談
◆二重価格表示等価格表示に関する相談
◆商品の原産国表示に関する相談
◆ステルスマーケティングに関する相談
◆景品類を提供する際の取引価額や提供限度額に関する相談等
消費者庁は「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置」に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要があると認めるときは、必要な指導及び助言を実施する。また、「事業者が当該措置を講じていないと認める」場合は、必要な措置を講ずべき旨の勧告をし、その勧告に従わないときは、その旨を公表することが可能だ。
EC事業者にとって、商品の魅力を伝えるための表示は重要だ。一方で誇大な広告によって誤った情報が伝わってしまう事例も少なくない。景品表示法規定を確認し、適切な訴求を改めて心がける必要があるだろう。