KADOKAWAグループの出荷部数、8月中旬以降に回復見込み 平常時水準へ
株式会社KADOKAWA(以下:KADOKAWA)は、2024年6月8日に発覚したグループのデータセンター内のサーバーへのサイバー攻撃(以下:本事案)の影響について、8月から段階的に出荷ボリュームが回復、同月中旬以降は1日当たりの出荷部数が概ね平常時の水準に回復する見込みであることを公表した。
逸失した収益の奪回を進める
本事案によって、出版事業では緊急措置として関連するサーバーをシャットダウンした影響によって、出版製造・物流のシステムが停止。安全なネットワークおよびサーバー環境の構築を進める中、システムに依存しないアナログ対応も実施し、生産高・出荷部数の減少影響の最小化に努めてきた。これにより、6月においては新刊が平常時と同等の水準を維持できた一方で、既刊の出荷部数は平常時の3分の1程度となっていた。
KADOKAWAはこれまで、事業活動の根幹である経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の回復を最優先事項として対応。すでに経理機能については、アナログ対応も含め既に平常状態に復旧しており、出版事業についても8月中旬以降での回復が見込まれる状態となった。
以降もKADOKAWA独自の取り組みであるDOT(Direct Order Tablet=書店とのダイレクト受発注システム)の再稼働や販売施策の強化を通して、事案発生以降の出荷保留分や、店頭で品薄となっているタイトルの埋め合わせを図り、逸失した収益の奪回を進めるとしている。
※画像元:【第4報】KADOKAWAグループの事業活動の回復状況について(株式会社KADOKAWA)
連結業績への影響は現在精査中
その他の事業に関する復旧状況は以下内容が公表されている。
◆Webサービス事業
8月5日に「ニコニコ動画」「ニコニコ生放送」をはじめとする複数の主要サービスが復旧。その後も「ニコニコチャンネル」などを順次再開することで、9月以降は全面的なサービス復旧となる見込み。
◆MD事業
売上構成比が大きい商品の卸売販売については、引き続き概ね平常通り実施。KADOKAWA運営のオンラインショップについては対応・復旧を進めており、8月以降MD事業全体における本事案による影響はほぼなくなる見込みである。
また現在、社外の大手セキュリティ専門企業の支援を受けながら、漏洩された情報の確認作業を進めている状況であるが、現時点ではそれらの確認が完了していないという。また、本事案による連結業績への影響は現在精査中であり、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表されるとした。今後の動向を追っていきたい。