2024年4月からの配送料値上げの影響は? ZOZO、2025年3月期 第1四半期決算発表

桑原 恵美子

株式会社ZOZO(代表取締役社長兼CEO:澤田宏太郎、以下:ZOZO)は2024年7月31日に2025年3月期 第1四半期の決算発表(2024年4月1日~2024年6月30日)を行った。

商品取扱高・営業利益ともに過去最高実績を更新

取締役副社長兼CFO 執行役員の栁澤孝旨氏(以下、栁澤氏)によれば、2025年3月期第1四半期における商品取扱高は1418.8億円(前年同期比7.6%増)、その他商品取扱高を除いた商品取扱高は1326億円(前年同期比7.5%増)。また、営業利益は158億円(前年同期比0.2%増)、営業利益率は12.0%と前年同期比で0.9ポイントの下落となった。

※画像元:2025年3月期 第1四半期決算資料(株式会社ZOZO)

連結業績の四半期推移では、第1クォーター会計期間において、その他商品取扱高を除いた商品取扱高は、前年同期比7.5%増となった。営業利益については、商品取扱高の増加や広告事業の成長、並びに送料ポリシーの変更などにより粗利の増加が、新物流拠点に係る費用や経済条件変更に伴う配送費用の増加等を上回り、前年同期比0.2%増となっている。

2024年3月期に引き続き、ZOZOTOWN事業とLINEヤフーコマースで粗利増加

営業利益の押し上げ要因としては、以下の3つ。

①ZOZOTOWN事業とLINEヤフーコマースの取扱高拡大による粗利の増加
②広告事業の成長による売上増加
③送料ポリシー変更による送料収入の増加等による粗利の増加

一方で営業利益を押し下げ要因としては以下の4つをあげた。

①社員数増加・物流拠点増加等による固定費の増加
②取扱高拡大に比例して増加するコストや配送費用の値上げによる変動費の増加
③集客費用やポイントを用いた販促費用などを実質PR費用の増加
④資材や備品など消耗品の購入、購入費用増やクラウドサーバー費用増などその他の費用

暖冬影響を強く受けて需要が鈍った結果、年間購入者数は前四半期比で減少

続いてKPIの数字についての報告が行われた。年間購入者数(過去1年以内に1回以上購入したアクティブ会員数とゲスト購入者数の合計)は前四半期比プラス11万人の1179万人。内訳としてアクティブ会員数(過去1年以内に1回以上購入した会員数)が前四半期比プラス13万人の1091万人、年ゲスト購入者数(過去1年間のゲスト購入件数)の合計は、前四半期比マイナス2万人の87万人となっている。

前年の第4クォーターは暖冬影響を強く受けて需要が鈍った結果、年間購入者数は前四半期比で減少に。しかし今回の第1四半期は4月の中旬から気温が徐々に暖かくなっていくとともに新規会員の獲得状況も徐々に復調。「結果として年間購入者数をしっかりと増加させることができた」と栁澤氏はコメント。
またショップ数は、第1四半期末時点で1605ショップとなり、前四半期末からは10ショップの純増となった。第1クォーターの出店数は30ショップ。主な新規の出店ショップは、著名女性芸能人がプロデュースするアパレルブランド「Her lip to(ハーリップトゥ)、アメリカンラグジュアリーブランド「TORY BURCH(トリーバーチ)」、韓国の人気コスメブランドを取り扱うセレクトショップなどがあげられた。

商品単価のマイナス、例年よりも高い気温が要因に

商品単価のマイナス、例年よりも高い気温が要因に

平均商品単価(ZOZOTOWNの商品取扱高を同期間の出荷枚数で除すことにより算出)は、3698円で前年同期比ではマイナス0.7%となった。柳澤氏はこの結果について、春夏もブランド各社による定価の値上げが続いているとし、「例年よりも気温高い状況が続いているため、Tシャツなどの比較的価格が低い商材の売上構成比が高まった」と分析した。

平均商品単価は若干下落したものの、平均出荷単価(ZOZOTOWNの商品取扱高を同期間の出荷件数で除すことにより算出)は、8343円と、前年同期比ではプラス2%。これは1注文あたりの購入点数が増加したことによるものだという。1注文あたりの購入点数が増加した理由については、12000円以上の買い物で送料無料となる施策を投下した日数が、前年同期比で増加したことによるものだとした。

4月の送料値上げの影響は?

ZOZOは2024年4月1日から、送料を税込250円から税込330円に値上げしている。質疑応答では送料改定による影響への質問に対し、「送料改定による買い控え及び合わせ買いの加速は特におこっていない」と回答。改定前は、300円以上に設定することへの懸念もあったが、様々なシミュレーションをした上で問題ないだろうと判断し送料改定にいたったとした。

また2024年3月期 通期決算発表で、8000億円まで売上を拡大するための5つの指針のひとつにあげている「コスメの拡大」についての質問には「通期で商品取扱高130億円という目標に対して順調に推移している」と回答。ブランドがZOZOTOWNでの売り方をよく理解し、タイムセールなどをうまく活用している点や、前期下期に新規出店したブランドが今期に入って活躍していること、韓国コスメなど著名なブランドが出店した点が大きいことが理由としてあがった。


記者プロフィール

桑原 恵美子

フリーライター。秋田県生まれ。編集プロダクションで通販化粧品会社のPR誌編集に10年間携わった後、フリーに。「日経トレンディネット」で2009年から2019年の間に約700本の記事を執筆。「日経クロストレンド」「DIME」他多数執筆。

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