株式会社帝国データバンク（以下：TDB）は2024年8月15日、猛暑で売り上げが伸びた商品・サービスおよび企業の猛暑対策に関するアンケート結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査期間：2024年8月7日〜13日
◆調査方法：インターネット調査
◆有効回答企業：1572社（大企業220、中小企業1352、小規模企業535）
◆企業規模区分
▷製造業その他の業界：大企業「資本金3億円を超える」かつ「従業員数300人を超える」、中小企業「資本金3億円以下」または「従業員300人以下」、小規模企業「従業員20人以下」
▷卸売業：大企業「資本金1億円を超える」かつ「従業員数100人を超える」、中小企業「資本金１億円以下」または「従業員数100人以下」、小規模企業「従業員5人以下」
▷小売業：大企業「資本金5千万円を超える」かつ「従業員50人を超える」、中小企業「資本金5千万円以下」または「従業員50人以下」、小規模企業「従業員5人以下」
▷サービス業：大企業「資本金5千万円を超える」かつ「従業員100人を超える」、中小企業「資本金5千万円以下」または「従業員100人以下」、小規模企業「従業員5人以下」
◆出典元：猛暑に関する企業の動向アンケート（株式会社帝国データバンク）

11.4％が猛暑により売上を伸ばす

2024年も記録的な猛暑が続いており、引き続き災害級の暑さが続くことが予想されている。TDBが7月に実施した「TDB景気動向調査（※1）」では、猛暑による外出控えで商品・サービスの動きが停滞している企業がみられた。一方で、エアコンや飲料などの季節需要の拡大に加え、タクシー利用の増加などによりプラスの影響を受けている企業も複数あり、猛暑による経済効果が出ていることが判明した。

本調査においても、11.4％が自社が手がける商品・サービスのなかで、2024年の猛暑をきっかけに売り上げが伸びたものが「ある」と回答。業界別に売り上げが伸びた商品・サービスが「ある」企業割合では「小売」が30.5％でトップとなり、全体（11.4％）を19.1ポイント上回った。次いで「卸売」（20.1％、全体比＋8.7ポイント）が続く。

※1 参考：猛暑やインバウンド消費の景気への影響は？　TDB景気動向調査

空調関連以外にも幅広いジャンルに波及

売り上げが伸びた具体的な商品・サービスについては、主に以下の内容が上げられた。

◆「エアコン」販売や「空調設備工事」などを含む「エアコン・空調関連」
◆「清涼飲料水」や「アイスクリームの包装資材」などの「食品関連」
◆「空調服」や「タオル」「夏物衣料」などの「衣類関連」
◆「プール殺菌消毒剤」や「屋外プール宿泊プラン」など「レジャー・宿泊関連」
◆「オンラインセミナー」「オンライン教室」「室内遊びのゲーム・ジグソーパズル」
◆「冷却グッズ」などの「熱中症対策関連」
◆「太陽光発電」や「蓄電池」など「省エネ・再エネ関連」
◆「カーエアコン修理」や「ガソリン」などの車関連

室内で快適に過ごすための「エアコン・空調関連」が最も好調となった。エアコン使用による燃費悪化から「ガソリン」の売上増加も確認されるなど、猛暑による影響は幅広いことがうかがえる。また、外出控えによる「オンラインセミナー」や「ゲーム」といった意外なジャンルにも波及している状況が明らかとなった。

基本的には暑さを凌ぐ商品・サービスに注目が集まり、周辺ジャンルにも影響を与えているといえるだろう。

引き続き猛暑を商機に繋げる動きが期待

本アンケートの結果、2024年の猛暑をきっかけに売り上げが伸びた商品・サービスが「ある」企業は11.4％だった。業界別では川上である「製造」から川下の「サービス」まで幅広く猛暑で売り上げが伸びた企業がみられる中、「小売」における割合は3割と全体を大きく上回る結果となった。

売り上げが伸びた具体的な商品・サービスは「エアコン・空調関連」が最も多く、機器の販売から設置工事まで好調との意見が目立った。また、清涼飲料水を筆頭に「食品関連」も大きく売上を伸長させた。

気象庁が2024年8月1日に発表した資料では「向こう1カ月も引き続き全国的に厳しい暑さになる」との見通しが示されている。しばらくは猛暑を商機につなげる動きと、その関連商品・サービスの消費拡大が期待されるとともに、企業における厳格な猛暑対策が求められるだろう。本調査内容を参考に商品拡充、販促展開を実施して欲しい。