パーソルP&T、ドローン活用によるラストワンマイル配送実証で成果報告

ECのミカタ編集部

ラストワンマイル配送の社会実装に向けたシナリオを作成コスト削減、CO2排出量削減効果、事業・技術・制度・社会受容性の観点から分析

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社(以下:パーソルP&T)は2024年8月19日、昨年度国土交通省より受託した「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証に関する調査業務」(以下:本事業)を実施し、成果報告を行った。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

ドローン配送によるCO2削減率は76.5%に

本事業における成果報告では、主に以下3点が明記された。

◆コスト削減への期待
既存の配送方法に対して以下の3フェーズ(配送時、実証時、実運用時)に加え、一対多運航(※1)を実施した場合のコスト削減効果を検証。「レベル4飛行(※2)」では実運用時において、「ドローンポートとの連携」では多運航時において、既存方法の配送コストを2割程度削減できる可能性が見出された。

◆1対多運航が進むとさらなるコスト削減が見込まれる事業も
それぞれのフェーズにおけるコスト遷移(※3)を算出した結果、以下のように一部の事業に関しては、さらなるコスト削減が見込まれる結果となった。
▷「レベル4飛行」:1対多運航の実現によりさらなるコスト削減が可能に。
▷「新たなモビリティとの連携」:宅配車両との共同利用や乗客が使用しない空きスペースを貨物輸送に活用することで、さらなるコスト削減が期待される。

◆CO2排出量削減効果は、どの実証においても高い効果が見込まれる
従来の車両等を用いる配送を全てドローンで代替した場合のCO2削減率は76.5%と高い効果が算出された。今後、ドローンで運搬できる貨物などの重量が増えることや、機体の耐風・耐水機能の強化により、年間を通じた運航率の向上が期待されるためさらに高い削減率になると見込まる。

※1:1人の操縦者が多数の機体を運航管理すること。
※2:有人地帯での目視外飛行。
※3:多運航に関するコスト算出は机上試算を基にする。

デジタル技術の社会実装を目指す

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社ビジネスエンジニアリング事業部 ドローン・MaaSソリューション3部 社会実装支援Gマネジャーの岡田健司氏は、今回の結果について以下のようにコメントしている。

「この取り組みは、日本が追求するデジタル化社会の実現に向けたアナログ規制緩和の活動の一環となります。ドローン・MaaSソリューション部では、労働人口減少などの社会課題に対する解決策の実装に向けて、ドローンやMaaSなどのデジタル技術が持つ可能性を見極め、法規制の緩和やコスト面などのビジネスモデルの観点についても取り組みを継続し、ドローン等デジタル技術の社会実装を目指してまいります」。

ドローン物流の社会実装が期待

パーソルP&Tは、各事業の社会実装に向けて解決すべき課題や想定される解決策、期待される効果を網羅的に把握するため、コスト分析や事業継続性などの「事業面」、機体やシステムの実用性などの「技術面」、法制度や運用ルールなどの「制度面」並びに他地域への展開可能性などの「社会受容性」の4つの観点から、各実証事業の成果・課題を下の図のように整理した。

※画像元:ラストワンマイル配送の社会実装に向けたシナリオを作成(パーソルプロセス&テクノロジー株式会社)

本事業を通して得られた成果を元に、本格的なドローン物流の社会実装の推進が期待される。今後の動向に引き続き注目したい。


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