65歳前後で「化粧品」「健康食品」の定期購入トラブルが上位に 国民生活センター調査

ECのミカタ編集部

65歳以上の消費生活相談の状況

独立行政法人国民生活センター(以下:国民生活センター)は2024年9月13日、契約当事者が65歳以上の消費生活相談について、2023年度までに全国の消費生活センター等に寄せられた相談の状況をまとめて公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

定期購入に関するトラブルが上位に

2023年度の商品・役務等別の相談件数および割合を契約当事者65歳以上と、65歳未満で比較したところ、共通して上位となっている「化粧品」「健康食品」では、定期購入で購入しトラブルにあったという相談が多くみられた。

また、65歳未満と比較して、65歳以上では「他の役務サービス」や「修理サービス」「その他金融関連サービス」に関する相談や「移動通信サービス」「インターネット接続回線」など通信に関する相談が上位にあがる。

65歳以上になると新たに20位までにみられる商品・役務としては、「屋根工事」の他に「新聞」「放送」「他の電報・固定電話サービス」「医薬品類」「生命保険」「アクセサリー」があげられる(表中のオレンジ部分)。このうち「アクセサリー」に関する相談の中には、訪問購入で貴金属を強引に買い取られる相談も寄せられている。

◆商品・役務等別相談件数・割合(2023年度)(上位10位まで)

※画像元:65歳以上の消費生活相談の状況(独立行政法人国民生活センター)

「通信販売」は65〜69歳が最も高い割合に

2023年度における販売購入形態別の相談件数および割合を、契約当事者の年齢区分別で比較したところ、「通信販売」の各年齢区分の相談全体に占める割合は65歳~69歳が最も高く、年齢が上がるにつれ割合が下がることが明らかとなった(表中の青色部分)。

◆販売購入形態別相談件数および割合(2023年度)

※画像元:65歳以上の消費生活相談の状況(独立行政法人国民生活センター)

一方、「訪問販売」「電話勧誘販売」「訪問購入」は年齢が上がるにつれ割合が高くなり(表中のオレンジ色部分)、85歳以上になると「通信販売」を抜いて「訪問販売」の割合が最も高くなる。

これは一般に、年齢が上がるとともに在宅時間が長くなることにより勧誘を受けやすい環境にあることや、インターネット通販を利用する機会が少なくなることが一因と考えられるだろう。

「インターネット通販」、「定期購入」に関する相談が多い

2023年度の販売方法・手口別の相談件数を契約当事者65歳以上と65歳未満で比較したところ、いずれも「インターネット通販」「定期購入」に関する相談が多くみられた。

また、65歳以上では「点検商法」「テレビショッピング」「フィッシング」に関する相談が10位以内にみられるようになる。

◆販売方法・手口別の相談件数(2023年度)(上位10位)

本調査結果について、国民生活センターは以下のようにコメントしている。

「高齢者の消費者トラブルを防ぐためには、不審な人間が出入りしていたり、困った様子がうかがえたりしないか等、日頃から高齢者の生活や言動、態度などを見守り、身近にいる周りの方が変化にいち早く気づくことがとても重要です」

今後、EC市場における顧客の中でもシニア層は増加することが想定される。サイトの信頼度を守るためにも、分かりやすい説明の実施といった工夫が求められるだろう。事前のトラブル防止を目的とした対応検討に、本調査内容を参考にしてほしい。


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