2024年11月の食品値上げは282品目、25年も1000品目以上が値上げ予定 帝国データバンク調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年10月31日、11月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しに関する分析結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
食品分野が値上げ品目数を押し上げ
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした11月の飲食料品値上げは282品目を数えた。前年同月(139品目)を143品目・102.9%上回り、2023年12月以来、11カ月ぶりに前年を上回った。
11月の値上げとしては、しょうゆなどの調味料や洋生菓子等に限定された2023年と異なり、正月用品やふりかけ製品、チョコレート製品など、多岐にわたる食品分野での値上げが品目数を押し上げた。
2024年の値上げ要因で、最も多いものは「原材料高」(92.7%)。前年通年(96.2%)を3.5pt下回ったものの、嗜好品ではチョコレートやコーヒー、調味料では大豆などで原材料価格上昇の影響がみられ、引き続き高い水準での推移となった。「物流費」(68.5%)、プラ包装容器などの「包装・資材」(66.6%)、「円安」(28.3%)、「人件費」(26.6%)といった値上げ要因の割合も前年を大幅に上回る。
※画像元: 「食品主要195社」価格改定動向調査2024年11月(株式会社帝国データバンク)
菓子は35カ月連続で値上げ品目が発生
食品分野別に2024年11月の値上げをみると、ふりかけ製品などを中心とした「加工食品」が全食品分野で最も多い124品目となり、11月全体の4割超を占めた。加工食品が全食品分野で最多となるのは9月以来、2カ月ぶりとなる。
「菓子」(91品目)では、収束の兆しがみられないカカオ豆の価格高騰による影響を受け、引き続きチョコレート製品の値上げが続いた。また、菓子は2022年の集計開始以降35カ月連続で値上げ品目が発生する結果となった。
2025年も「モノ由来」の値上げが主流になると想定
TDBは今後の見通しについて「2025年の値上げでは、24年のトレンドを引き継いで『モノ由来』の値上げが当面主流になると想定される」とコメント。
現在までに判明している25年の値上げ予定は既に1000品目を超えており、前年同時期時点で判明した、24年に実施予定の値上げ品目を上回った。
円安などの要因に低下傾向がみられる一方、物流費や包装資材費などの要因が24年を大きく上回る水準で推移。原材料価格でも、薄力粉系を中心とした小麦粉が製粉各社で25年以降に値上げとなり、パンや洋菓子、加工食品を中心に広く影響が及ぶ可能性がある。
さらに、賃上げなどに起因する人件費由来の値上げ割合も、判明する1〜4月分で24年通年を大幅に上回っており、最低賃金の大幅引き上げなどでさらに高まる可能性があるとTDBは指摘した。
値下げや価格据え置きを期待できる好材料には乏しく、2025年も値上げの継続が見込まれる。事業者は今後の動向に注視しつつ、状況に応じた最善の対応を心がける必要があるだろう。引き続き本調査結果を追っていきたい。