コールセンター満足度は継続的に向上もチャットサポートの満足度は低下 J.D. パワー ジャパン調査
株式会社J.D. パワー ジャパン(以下:J.D. パワー)は2024年10月31日、J.D. パワー2024年カスタマーセンターサポート満足度調査℠<EC・通販業界編>の結果を発表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆実施期間:2024年8月上旬~中旬
◆調査方法:インターネット調査
◆調査対象:EC・通販サービスのカスタマーセンターサポートを利用した20歳~74歳の方
◆調査回答者数:4900人(総合ECサイト部門:2250人、テレビ通販部門:1050人、カタログ通販部門:1600人)
◆出典元:2024年カスタマーセンターサポート満足度調査<EC・通販業界編>
(株式会社J.D. パワージャパン)
コールセンターの満足度は大きく向上
今回のEC・通販業界全体の総合満足度は、前回調査(2023年10月発表)からマイナス3ポイントの696ポイント(1000ポイント満点)とほぼ同水準となった。
サポート機能別に見ると、コールセンターの満足度は前年比プラス13ポイントと向上。総合満足度を構成する全4ファクターのうち、特に「問題の解決や対応に要した時間」と「利用のしやすさ」のファクターで前年比での向上幅が大きいことが判明した。
一方、コールセンターの満足度は上昇傾向にある一方、オンラインサポート(※2)の満足度は前年からマイナス12ポイント低下。特に「オペレーターによるチャットサポート(有人チャット)」でマイナス29ポイント、「自動応答によるチャットサポート(AIチャットボット)」でマイナス15ポイントと、チャットサポートでの満足度低下が見られた。
※1:サポート機能としてコールセンターの提供がある企業14ブランド中7ブランド
問い合わせチャネルの選択理由に違いがある
次回の問い合わせ時に優先的に利用したいチャネルと、そのチャネルを選択した理由を聴取した結果、コールセンターは「的確な回答を得ることができるから」、有人チャットは「手軽に/気軽に利用できるから」、AIチャットボットは「利用したい時間帯/タイミングで利用できるから」(いずれも47%)が最も多く、それぞれのチャネルを選択する理由に違いがあることが判明した。
有人チャット利用時の経験では「回答や説明がわかりやすかった」「問い合わせの内容はすぐに理解された」「あなたの用件に対して十分な知識をもって説明していた」といった項目を中心に低下が見られ、オペレーターとのコミュニケーションの中で手間取ったことが、負担感の増加、満足度の低下につながったと考えられる。
また、AIチャットボットは負担感に大きな変化は見られなかったものの、利用時の経験では「何回も質問を入力せずに、目的の用件に合った問い合わせ内容の選択肢が提示された」「あなたの知識や理解度にあった回答となっていた」「提示された回答の情報量は十分だった」と回答した割合が前年より減少しており、目的の用件に合った選択肢が示されにくいことや、情報量が不十分であることが、AIチャットボット利用における満足度の低下に影響したことがうかがえるだろう。
ヨドバシ・ドット・コムが3年連続の総合満足度1位に
本調査によって明らかとなった、総合満足度ランキングは以下の通りだ。
◆総合ECサイト部門
▷1位:ヨドバシ・ドット・コム(721ポイント)
▷2位:Amazon(678ポイント)
▷2位:楽天市場(678ポイント)
◆テレビ通販部門
▷1位:ジャパネットたかた(767ポイント)
▷2位:ショップジャパン(721ポイント)
▷3位:ショップチャンネル(718ポイント)
◆カタログ通販部門
▷1位:ベルメゾン(743ポイント)
▷2位:ベルーナ(735ポイント)
▷3位:dinos(731ポイント)
総合ECサイト部門ではヨドバシ・ドット・コムが3年連続の総合満足度1位に。カタログ通販部門ではベルメゾンが2年連続で総合満足度1位となった。ヨドバシ・ドット・コムとベルメゾンは「利用のしやすさ」「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」「説明の丁寧さ/応対の丁寧さ」「問題の解決や対応に要した時間」の全4ファクターで最高評価を得た。
有人チャットとAIチャットボットは、今後も企業における導入率が高まっていくと想定される。これらのサポート機能の改善がユーザーの利用率向上やコールセンターの業務負担軽減、さらには満足度の向上に繋がるだろう。本調査の結果を参考に、今後の施策を検討して欲しい。