鈴与らの「物流効率化」、佐川急便ほかによる「AI需要予測」などが受賞 物流パートナーシップ優良事業者表彰
2024年12月6日、国土交通省および経済産業省に応募のあった取り組みの中から令和6年(2024年)度物流パートナーシップ優良事業者表彰の受賞者が発表された。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
長距離輸送手段の安定確保とドライバーの労働環境改善を図る
「国土交通大臣表彰」を受賞した鈴与、加藤産業ほか11社は、長距離輸送手段の安定確保とドライバーの労働環境改善を図るため、T11パレットサイズなど輸送モジュールの標準化により、トレーラを活用した複数荷主による混載ラウンド輸送を実現。
また、佐川急便ほか3社は「AIと需要予測を活用した遠隔地向けフルライン型シェア物流」によって「物流DX・標準化表彰」を受賞した。
令和6年度物流パートナーシップ優良事業者表彰の受賞者の概要は以下の通り。
◆国土交通省優良事業者表彰受賞者
※画像元:令和6年度物流パートナーシップ優良事業者表彰受賞者決定(国土交通省)
◆経済産業省優良事業者表彰受賞者
※画像元:物流パートナーシップ優良事業者表彰受賞者を決定しました(経済産業省)
「モノが運べなくなる時代」を防ぐ取り組みが評価
「国土交通大臣表彰」を受賞した鈴与らは、人手不足の解消や職場環境整備、カーボンニュートラル対応を“解決すべき物流課題”と設定。実現すべきソリューションに物流負荷の軽減、物流GXの推進、物流標準化の推進、多様な人材の活用・育成の4つを挙げた。そして、輸送のモジュール化、複数荷主混載/台数削減、モーダルシフト/スイッチ輸送といった対策によってCO2の排出やトラックの運行台数の削減(※1)という効果を上げた。
※1:CO2削減量、運行A:31.2t-CO₂/年(19.0%)削減、運行B : 46.3t-CO₂/年(23.2%)削減、運行C : 538.1t-CO₂/年(37.8%)削減
削減台数:運行A:39台、運行B:171台、運行C:1392台
※画像元:令和6年度グリーン物流パートナーシップ会議事業概要(国土交通省)
顕著な功績があった事業者に対して表彰
物流パートナーシップ優良事業者表彰は、複数事業者間のパートナーシップによって、物流分野における環境負荷の低減、物流の生産性向上等持続可能な物流体系の構築に向けた荷主企業・物流事業者が連携した取り組みを普及促進するため、平成18年(2006年)度より特に顕著な功績があった事業者に対して表彰を行っている。
本年度は「食品・飲料業界初(※2)の中距離帯での大規模貨物鉄道輸送への挑戦」に取り組んだネスレ日本ほか4社、「輸送モジュールの標準化及び検品レス納品等による物流の効率化」を実現させた鈴与ほか11社、「AIと需要予測を活用した遠隔地向けフルライン型シェア物流」を構築した佐川急便ほか3社など、様々な事例が受賞した。
その他センコー、ロジスティードといったECに関わりの深い企業も部門賞を受賞している。表彰式については2024年12月23日に実施される予定。
各取り組みは持続可能な物流実現へ向けた施策として大きな注目を集めるだろう。2025年を目前に控えた今、改めて物流に対する意識を高めたい。
※2:1社で200トン/日規模の輸送において、ネスレ日本、JR貨物調べ(2024年1月末時点)