健康食品に関連する苦情が増加、ネット通販系美容商材での不適切表示も JARO調査

ECのミカタ編集部

広告に対する苦情、2024年度上期の状況は?(JARO)

広告に対する苦情を受付・審査している公益社団法人日本広告審査機構(以下:JARO)は2025年1月7日、2024年度上半期(4月~9月)の統計を発表。公表された内容から、本記事では「通販」「ネットショップ」関連を中心に一部を抜粋して紹介する。

苦情件数は前年同期比92.3%と減少

2024年度上半期は苦情が4095件、前年同期比92.3%と減少した一方、称賛、照会は増加している。2019年度に媒体別「インターネット」が前年比142.2%と急増し、2020年度にさらに伸びて、苦情は過去最多となったが、そこから減少が続きグラフは山型となっている。

苦情を広告主別に見ると、2020年度に比べ広告主数が大きく減少。JARO
ではその一因として、近年の表示行政における規制強化や相次ぐ執行があると指摘している。

※画像元:2024年度上半期の審査状況(公益社団法人日本広告審査機構)

健康食品への苦情が再び増加

苦情4095件を業種別に見ると、上位は医薬部外品、健康食品(保健機能食品以外)、オンラインゲームとなった。

前年同期と同様に医薬部外品が最も多く寄せられており、中でも健康食品(保健機能食品以外)、電子書籍・ビデオ・音楽配信、通信販売、保健機能食品などの増加が目立った。

※画像元:2024年度上半期の審査状況(日本広告審査機構)

医薬部外品では「1回限り、解約不要、追加料金一切なし」と大書しながら実際には購入する画面で定期購入契約となることがわかりにくく表示されている、解約に追加料金がかかるといった事例が報告されている。

また、美容・健康系商品では精力増強をうたう広告への苦情が急増し、健康食品(保健機能食品以外)は80件(前年同期9件)、保健機能食品は27件(同0件)だったという。

生成AIを使うなどして多くが性的なビジュアルを使用しており、卑わいである、広告を非表示にすることができない、一般的なサイトを閲覧していて表示されるなどの苦情が多数寄せられた。

ネット通販系医薬部外品・化粧品・健康食品での不適切表示が目立つ

JAROは2024年度上半期のトピックスとして、「消費者の誤認を誘って契約させようとする著しく不適切な事例」が医薬部外品、化粧品、健康食品に多いとしたうえで、それらに共通してよく見られる表示として以下のものを取り上げている。

◆誇大、逸脱した効能効果
◆欺瞞的なお得感、あおり
◆テレビ番組や雑誌で紹介
◆行政・専門家の承認・推奨
◆不適切なNo.1表示、高評価%表示
◆違法な表示が多数見られる中間ランディングページ
◆ステルスマーケティング


JAROの発表によれば、4年前には医薬品のような効果をうたった明らかに違法なディスプレイ広告が多かったが、最近では生理的不快感をおぼえるビジュアルのものが増え、今期は精力増強をうたった性的な表現のものが急増したという。

JAROでは消費者に対して、ネット通販の最終確認画面や広告など、特に初めて取引する事業者の場合はスクリーンショットを撮っておくよう呼び掛けていく予定としている。事業者としては消費者からの信頼を獲得するためにも、健全な広告訴求を心がける必要があるだろう。


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