人手不足倒産は2年連続で過去最多に 帝国データバンク調査

ECのミカタ編集部

人手不足倒産の動向調査(2024年)

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2025年1月9日、2024年の人手不足倒産(※1)に関する動向調査結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
※1:法的整理(負債1000万円以上)となった企業のうち、従業員の離職や採用難等による人手不足が要因となった倒産。

物流業の人手不足倒産は前年より7件増加

2024年の人手不足倒産は累計342件に達し、前年の260件から約1.3倍と大幅に増加、2年連続で過去最多を更新した。

業種別では、建設業が99件(前年比+8件)で最も多く、EC事業者にとって関わりの深い物流業も46件(同+7件)と高水準に。新たな時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面した両業種で全体の4割強を占める結果となった。

その他、労働集約型の産業である飲食店(16件、同+7件)や美容室やネイルサロンなどの美容業(9件、同+5件)、労働者派遣業(8件、同+5件)、警備業(6件、同+5件)なども急増している。

物流の省力化・効率化が急がれる

物流業の人手不足は労働時間の減少や高齢化の影響で、今後も厳しい状況が続くとTDBは指摘。

物流業において、就業者に占める60歳以上の割合は18.6%と建設業と比較してやや低いものの、50歳以上の割合では49.5%と約半数にのぼる。

今後も建設・物流業における労働時間と就業者数はいずれも増加が見込みにくく、省力化・効率化が急がれるだろう。

※画像元:人手不足倒産の動向調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

人手不足による倒産は今後も高水準で推移

人手不足によって事業継続の断念に追い込まれるケースは、一層深刻化しつつある。2024年の人手不足倒産件数は、年間ベースとして調査を開始した2013年以降の過去最多を、2年連続で大幅に更新する結果となった。

人手不足を感じている企業の割合は2024年12月時点で52.6%となり、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで一時的に緩和された2020年以降は急上昇し、高止まりが続いている。

また、いわゆる「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に代表されるように、労働者の高齢化も深刻である。今後もマンパワーの拡大は期待しにくいことから、人手不足による倒産は今後も高水準で推移するとTDBは予測している。

EC市場の持続的な成長のためにも、安定した物流環境の整備は不可欠だ。各事業者は顧客に対して現状を周知するなど、可能な範囲での対応を進める必要があるだろう。


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