「道路貨物運送業」の倒産、リーマン・ショック時に迫る水準 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2025年3月10日、「道路貨物運送業」の倒産動向に関する調査・分析結果を公表。2024年度の11カ月累計は328件で、通年ではリーマン・ショック時(2008年度)の371件に迫る高水準となりそうとの見方を示した。
調査概要
◆集計期間:2025年2月28日まで
◆集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
◆集計機関:株式会社帝国データバンク
◆出典:「道路貨物運送業」の倒産動向(2024年度)(株式会社帝国データバンク)
倒産件数は過去2番目の高水準となる可能性
TDBの発表によれば、2025年2月の道路貨物運送業者の倒産は20件で、2024年度(11カ月累計)では328件と、すでに2023年度(317件)を超えたという。
このペースで推移すれば、通年で360件前後の水準が見込まれ、リーマン・ショック時(2008年度)の371件に迫る、過去2番目の高水準に達する見込みとなりそうだ。
TDBはこの背景について、「人手不足」「燃料価格の上昇」があると指摘。人手不足を要因とした倒産(人手不足倒産)は、2024年度(11カ月累計、全業種)で判明した308件のうち、道路貨物運送業者は38件で全体の12.3%を占めている。
また、物価高を要因とした倒産(物価高倒産)は、2024年度(同)で判明した841件のうち、道路貨物運送業者は116件で13.8%を占め、そのうち9割が、「燃料価格の上昇」を要因としていた。このことからTDBでは「人手不足・物価高(燃料高)のダブルパンチが深刻化していることが分かる」と考察している。
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抜本的な対策が求められる
2025年1月16日からのガソリン補助金縮小
の影響もあり、2月25日時点での軽油小売価格は164.0円と極めて高い水準が続く。
TDBはリーマン・ショック時も現在も、軽油価格の高騰によるコストアップと収益悪化は共通していると分析。一方、当時は急速な景気減速を背景として荷動きの停滞が生じ受注難が発生していたが、現在ではアフターコロナでの消費回復もあって、一定の物流ニーズがありながらも、人手不足から受注が確保できていないという違いがあるとした。
同社は今後について「長期トレンドでみた労働人口減に加え、ドライバーの高齢化、人手不足が続く他業界との人材確保競争などもあるため、これらの課題解消に向けた賃上げなど、さらなるコストアップ要因も加わり、今後も道路貨物運送業の倒産は高水準で推移する可能性が高い」としている。
物流、特に道路貨物運送業の動向はECビジネスに大きく関わるだけに、編集部でも引き続き情報を追っていきたい。