ショッピングアプリ、利用者の50%超が初回ログイン時にネガティブな体験 DearOne調査
株式会社DearOne(以下、DearOne)は、ショッピングアプリの利用者を対象にその利用状況について調査を行い、消費者から敬遠されるUI/UXのアンチパターン(※1)を分析した。本記事では公表された内容から一部を紹介する。
※1:課題への対応策、解決策のうちよく陥りがちな避けるべき典型例のこと
調査概要
◆調査対象:事前調査で「利用OSはiOS、Androidのいずれか」「インストールしているアプリは21個以上」と回答した20歳〜59歳の消費者
◆調査人数:384名
※上記384名にショッピングアプリの利用有無を質問し、「はい」と回答した20歳〜59歳の消費者321名に以降の質問実施
◆調査時期:2025年2月21日〜2月22日
◆調査方法:インターネットリサーチ
◆調査企画・実施:株式会社DearOne
◆出典:ショッピングアプリの利用状況についての調査(株式会社DearOne)
※データは小数点第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合がある。
半数以上が初回ログイン・設定時に「操作をやめた/やめそうになった」経験
ショッピングアプリをインストールしたあとの初回ログイン・設定時について、過半数となる52%が「(使いたい機能があっても)操作をやめてしまった、またはやめそうになったことがある」と回答。特典やポイントカード機能といったメリットがあっても、消費者は初回ログイン・設定の段階で離脱しかねない強いストレスを感じていることがうかがえる。
「ショッピングアプリをインストールしたあとの初回のログイン、設定時について教えてください。特典やポイントカード機能など使いたい機能があっても、初回ログインや設定時に途中でやめてしまった、またはやめそうになってしまったことはありますか?」に対する回答
ショッピングアプリの初回インストール、設定時に操作を挫折した、しそうになった内容を年代別にみたところ、「個人情報の登録、入力作業が多い」ことが全世代の傾向として確認できた。
「30〜50代については年代特有の傾向や世代間の差は見られなかったものの、20代は『アプリの動作、表示スピード』がアンチパターンとして他の世代と約5倍の差が見られ、これらに関するUI/UXが整備されていないと影響が出やすい」とDearOneは分析する。
頻出する広告、不十分な検索機能などがストレスに
普段のショッピングアプリの利用時にストレスを感じることを質問したところ、「広告の頻出」「検索機能の精度不足」「ログイン要求頻度」がアンチパターンとしてあげられた。
一方、アプリのアップデート情報不足などはそこまでストレスに感じていない側面もあり、DearOneでは「総じて『ユーザーが行いたいことを阻害する行為』がUXを損ねるストレス要因となっている」と指摘している。
普段の利用時に特にストレスを感じることを深堀りし、回答を年代別に見ると20〜30代では「サポート体制」について、40代は「アカウント情報更新時の情報入力」「ログイン後の認証」、50代では「文字サイズが小さい」などが上位にあがった。
ストレスを感じる内容には年代別に傾向がみて取れ、アプリを運用する事業者としては、コアターゲットに置いている年代のアンチパターンを把握する必要があるだろう。
プッシュ通知は「利益のある内容」のみ求められる
アプリのプッシュ通知に関する調査では、全年代の傾向として「ユーザー自身に利益がある、知りたい内容」は思わず見てしまい、それ以外の「アプリ提供者都合の通知」は興味がない、解除したくなるという回答が大半となった。
年代別には20代が他の世代では歓迎されている「ポイント数、有効期限のお知らせ」や「定期、タイムセールのお知らせ」についての関心度が低くなる。一方、50代では他の世代で興味がないという回答が多かった「メンテナンス復旧」や「定期的なアンケート依頼」も閲覧しているため、これらが自身に利益のある知りたい内容と捉えている傾向がうかがえる。
ユーザーが初回からストレスなく利用でき、使い続けてもらうショッピングアプリにするために、アンチパターンを把握することは有効な手段となるだろう。本調査の結果も、アプリ開発や改善の参考の一つとしてほしい。