トランプ関税導入発表、EC事業者はどう反応? ワサビ調べ
株式会社ワサビは、2025年4月2日に米国のドナルド・トランプ大統領が発表した新たな相互関税に関して、事業者の意見やアンケート結果をまとめた調査レポートを公開した。調査対象はワサビが提供しているEC一元管理システム「WASABI SWITCH」を利用している13社。本記事では公表された結果から、一部を紹介する。
※本記事の情報は2025年4月8日時点
調査概要
◆調査対象:EC一元管理システム「WASABI SWITCH」を利用するパートナー企業
◆調査件数:13社
◆調査期間:2025年4月3日〜4月8日
◆出典:株式会社ワサビ調べ
日本に24%の相互関税を課すことについて、「賛成」は0%
相互関税とは、貿易相手国が特定品目に課している関税率が、自国で同じ品目に課す関税率よりも高い場合、その不均衡を是正するために相手国と同等の関税率を課す仕組み。トランプ米大統領は4月2日に日本から米国への輸出品に対して約24%の相互関税を適用すると発表している。
同発表を受けてワサビが13社に実施したアンケートの結果は、以下の通りとなった。
◆反対:72.7%
◆どちらともいえない:27.3%
◆賛成:0%
この結果から、多くのEC事業者が相互関税導入に対して懸念を抱いていることが浮き彫りになった。
従来よりも高い関税が課されるケースが増える可能性
ワサビは発表の中で、「商品を購入するバイヤーは、日本から商品を購入し配送業者へ関税を支払う際に、従来よりも高い関税が課されるケースが増える可能性があります。その結果、日本の商品を輸入するよりもアメリカ国内で同様の商品を購入する選択肢が増えることが懸念されます」と考察。「こうした状況下で、日本のEC販売業者がアメリカのEC事業者と競争していくためには、商品の差別化やオリジナリティの強化がこれまで以上に重要になると予測される」とした。
経済産業省とJETROは特別窓口を設置
一方、経済産業省では米国の自動車に対する追加関税措置の発効と相互関税の発表を受けて米国関税対策本部を4月3日に設置し、短期の対応として「特別相談窓口の設置」「セーフティネット貸付の要件緩和」などを実施するとしている(※1)。
さらに、日本貿易振興機構(JETRO)では経済産業省と共同で「米国関税措置等に伴う日本企業相談窓口」を米国、カナダ、メキシコおよび中国の各事務所や、全国49カ所(大阪本部含む)の国内事務所に設置。北米地域等を専門とする専門家を配置し、広く日本企業からの個別相談対応に当たるとしている(※2)。
今回の“トランプ関税”を巡り、市場も日々大きく変化しており、ワサビが今回実施したアンケートでも、「US(アメリカ)以外の市場にチャレンジしていく」「製品の原産国や輸出入時の分類によって異なるため、今後の動向を注視していく」など、さまざまな声が寄せられたという(※3)。
特に越境ECに関わる事業者としては、最新の情勢・市場動向をウォッチしつつ、できるだけ柔軟な対応を心掛けたい。
※1:経済産業省発表
※2:米国関税措置等に伴う日本企業相談窓口の設置について、米国関税対策本部の設置と今後の取り組み
(JETRO)
※3「相互関税がスタートした場合、アメリカへのEC販売についてどのような対応を予定していますか」という質問に対する回答の一部