消費者は商品・サービスの比較検討にどのツールを使っているのか? メディアリーチ調査
株式会社メディアリーチ(以下、メディアリーチ)は2025年4月11日、検索・情報収集に関するユーザー行動の変化を捉えるために実施した、「検索エンジン・生成AI・SNSを利用した検索行動に関するアンケート調査」の結果を公表した。
調査概要
◆調査名:検索エンジン・生成AI・SNSを利用した検索行動に関するアンケート
◆実施日:2025年4月9日
◆回答数:1200件(全国、18〜65歳、性別均等)
◆調査方法:オンラインアンケート調査(単純集計+年代・性別クロス集計)
◆調査機関:株式会社メディアリーチ
◆出典:検索エンジンの「一強時代」に変化の兆し──生成AI・SNS・動画との使い分けが拡大【全国1,200名対象・デジタル検索行動調査 - 株式会社メディアリーチ調査】(株式会社メディアリーチ)
情報収集・検索ツール利用状況:検索エンジンが多いが特に若年層で選択肢が拡大
今回の調査において、「日常的に使っている情報収集・検索ツールを『すべて』選んでください」と聞いたところ、Google検索(62.1%)とYouTube(53.9%)が高い利用率を見せる一方で、X(旧Twitter)やInstagram、ChatGPTなどもそれぞれ1〜4割のユーザーに活用されていることが明らかとなった。
特に20代以下では、TikTokやInstagramを検索・情報収集に使う割合が高く、10代女性ではTikTok(56%)がGoogle(66%)に迫る利用率を示した。生成AIも全体で1割程度が使用しており、今後の普及の可能性が感じられる。
ツール選定理由としては、「いつも使っている/慣れているから(61.9%)」「操作が簡単で使いやすい(45.9%)」「知りたい情報がすぐに見つかる(45.7%)」が上位に並び、「情報の正確さや信頼性が高いと感じる(18.7%)」は比較的下位となった。
メディアリーチはこの結果について、「検索エンジンが信頼性ではなくUXと習慣で選ばれていることを意味しており、生成AIなど新興ツールの台頭余地を示唆している」と考察している。
「商品・サービスの比較検討」で使われているツールは「検索エンジン」が69.2%
本調査の結果を見ると、消費者はその目的によって検索チャネルを使い分けている様子がうかがえる。下記のように、ニュースや店舗探しなど日常的な情報は検索エンジンが主流である一方、専門的な知識・学習分野では生成AIの利用が比較的高く、趣味・エンタメ領域では、SNSやYouTubeが検索の代替手段として存在感を示している。
特にECに直接的に関わるものとして、「商品・サービスの比較検討」に使われているツールは、検索エンジンが69.2%でトップ。次いでSNSが18.9%、YouTubeが14.6%、生成AIは6.0%となった。
信頼性されている検索・情報収集ツールは?
また、最も信頼されている検索・情報収集ツールについても質問(「さまざまな検索・情報収集ツールの中で、あなたが最も信頼できると感じるものを1つ選んでください」)。その結果は、Google検索が51.5%で最多。次いでYahoo!検索(24.3%)、YouTube(7.9%)が続き、生成AIの各ツール(ChatGPT、Geminiなど)はいずれも1%前後と低水準にとどまった。
メディアリーチは今回の結果について、「検索はもはや単一チャネルの時代ではない。Googleという“入口”の信頼は健在である一方で、ユーザーは用途ごとに動画、SNS、生成AIを使い分け始めている。最も選ばれる理由は『信頼』ではなく『慣れ』であり、ツール側にはより直感的で目的に沿った体験設計が求められている」と総括している。
また、信頼性に対する意識はツールの使用経験と強く結びついており、生成AIは認知と利用が進まなければ信頼も得られない構造的課題を抱えているとも。これによって「検索UXとマーケティング施策の再定義が、あらゆる業種・業界に求められる」とした。
同社は「検索行動の分散と最適化は今後さらに進み、SEOやコンテンツマーケティング戦略も再設計が不可避となる」と見ている。各ジャンルの事業者は常に最新の情報を注視し、柔軟な対応を心がけたい。