ブラックフライデーで注文数が伸長した一方、返品数も増加 Recustomer調査
Recustomer株式会社は2025年12月19日、「ブラックフライデー期間における売上・注文数および返品申請数の変化」に関する調査結果を発表した。
調査概要
◆調査対象:「Recustomer」導入ブランドのうち、ブラックフライデー施策の実施が確認できた20社
◆調査期間:2024年11月9日〜12月9日(ブラックフライデー前後を含む)
◆調査方法:対象企業の売上、注文数、返品申請数データを集計・分析
※本調査における数値は、ブラックフライデー対象期間前(ブラックフライデー期間と同日数)を100%とした場合の比較数値を算出している。
◆出典:ブラックフライデー期間における売上・注文数および返品申請数の変化(Recustomer株式会社)
売上増に伴い、返品申請数も増加
今回の調査では、ブラックフライデー期間(前後含む)においてEC事業者の売上高は平均で期間前比178.8%、注文数は同160.5%と大幅に伸長。イベントの経済効果が鮮明となった。

一方、返品申請数も平均で132.2%に増加。全体平均では注文の伸び率に収まっているものの企業ごとのデータを見ると、一部のアパレルやアウトドアブランドで「注文数の増加率」を上回るペースで「返品申請」が急増していることが判明した。

注文数の伸びを上回る「返品申請数」
一部のアパレルブランドやアウトドアブランドでは、ブラックフライデー期間中の注文数が期間前比333%に伸長。一方、返品申請数は512%に達した。さらに、別の事例では注文数707%に対し、返品申請数が720%へ跳ね上がるケースも確認された。Recustomerはこの理由について「大型セール特有の『サイズ確認のための複数買い』や『衝動買いによる事後キャンセル』が要因として考えられます」と分析している。
また、多くのブランドがセール品の返品を受け付けていないにもかかわらず、返品申請数自体が増加傾向にあることも明らかとなった。メールや電話で問い合わせが来れば、CS担当者は1件ずつ「返品不可である旨」を説明し、納得してもらうためのコミュニケーションコスト(お断り対応)を負担しなければならない。
セール期間中〜終了後は出荷業務などで現場が最も多忙な時期となる。しかし、こうした「売上につながらない問い合わせ対応」が、現場の疲弊を招く大きな要因となっている可能性があると同社は指摘している。
購入後体験の最適化が重要
本調査結果を受けて、Recustomerは次のようにコメントしている。
「今後のEC市場において、セールイベントを成功に導くためには、『いかに売るか』だけでなく、売上増加に伴い増える返品など問い合わせに対して『いかに効率よく、顧客満足度が高い対応をするか』という購入後体験(ポストパーチェス)の最適化が重要です。最適化を実現するために、例えば、システム上で『返品申請』の自動化や『セール品の自動否認』を自動制御することで、顧客の自己解決を促し、CS現場の負担を最小限に抑える仕組みを構築することが求められます」
セール品の返品増加により、現場オペレーションを圧迫している事実が明らかとなった。自社の状況を改めて見直し、現場の疲弊を防ぎ、利益を守るための対応を検討してほしい。


