【まとめてみた】動画コマースを取り巻く現状

商品力をブーストさせるニュースタンダードのアプローチ

昨年より、「動画コマース」「Vコマース(VC)」という単語を頻繁に耳にするようになってきている。動画を活用したECのことであり、商品の魅力をより伝える手段として静止画だけでなく動画を利用するという一連のプロモーション手段である。
EC先進国のアメリカでは「Joyus(ジョイアス)」というアパレルECサイトがこの動画コマースを取り入れ、商品の魅力をより訴求し成功を収めているという話はあちこちのセミナーや講演などで語られているので、耳にしたことのある方も多いであろう。

ここでいう「動画コマース」とは、一連の販売促進行為に動画を取り入れている取り組みを指す。

ここ最近でも、動画コマースに関係するリリースが続いている。そこで今回は、動画コマース系のリリースやサービスをまとめてみたのでご紹介したい。

動画コマース関連事業の会社設立からサービス提供開始まで

【株式会社OPEN8(オープンエイト)設立】
株式会社アイスタイル、エキサイト株式会社、インキュベイトファンドの3社共同で、動画広告事業特化の新会社「株式会社OPEN8」を設立。

株式会社アイスタイルは、美容系総合ポータルサイト「@cosme(アットコスメ)」の企画運営及び関連広告サービスの提供を行う企業。
エキサイト株式会社は「エキサイトニュース」「エキサイトブログ」など様々なインターネット情報サービスの提供を行う企業。
インキュベイトファンドは、スタートアップへの投資ならび育成事業を主な事業内容としている。
アイスタイルとエキサイトの2社が保持する女性ユーザーへの圧倒的なリーチ力を活用し、国内最大級のスマートフォン動画広告ネットワーク事業、および、アプリメディア開発事業への取り組みを推進していくとしている。


【アパレル商品動画PRサービス「ATTRACT(アトラクト)」サービス開始】
NewRailはYouTubeでアパレル商品の動画PRができるサービス「ATTRACT(アトラクト)」を開始した。

「ATTRACT」は、多数のアパレル店舗が集合したショッピングモールのようなYouTube上の動画メディア。月額3万円の定額費用で、多店舗の集まったYouTubeチャンネルで大勢の新規顧客のリーチが可能。年間で約35,000人以上の新規顧客に向けたアパレル商品の動画PRを行うことができる。


【東芝コンシューママーケティングが動画プラットフォーム「Equipmedia」を採用】
株式会社Jストリームは、同社の提供する動画プラットフォーム「Equipmedia」が東芝コンシューママーケティングに採用されたと発表した。

東芝コンシューママーケティングは、家電製品の営業・販売、個人向けの修理サービス、テレビ放送用受信機器の製造・販売などを行う東芝のグループ会社

株式会社Jストリームは、動画配信とリッチコンテンツの専門会社。Jストリームの提供する「Equipmedia」は、多様な機能を備えた月額5万円からのエンタープライズ向け動画配信プラットフォーム。

今回の取り組みにより、国内の大手家電量販店10サイトを含む、ECシンジケーションパートナーである20のECサイト上に、東芝コンシューママーケティングの提供する各種商品動画が掲載され、より詳細な商品訴求が行われるようになる。現在、「Equipmedia」の国内ユーザー数は、600アカウントを超えるとのこと。


【映像制作会社LOCUS(ローカス)の商品紹介動画】
映像制作会社として豊富な実績を持つLOCUSは、ECサイトに特化した商品説明動画作成サービスを提供している。
幅広い制作費用レンジ(10万円~)でハイクオリティな商品説明動画の作成が可能。「商品の魅力だけでなく、利用している生活までイメージさせる」というコンセプトで、購買促進に大きな力を発揮する動画制作サービスを提供している。
複雑な機能を持った製品や、従来擬似例等がなく、説明が難しい商品のプロモーション動画を作成したい事業者にとって、より掘り下げた商品訴求のできる動画は強い武器になるだろう。


【1動画1万円!!スマホ特化、イーコマビデオの低価格商品動画撮影サービス】
株式会社 テリトリー運営の「イーコマビデオ」では、スマートフォンに特化した正方形動画の作成サービス提供している。
商品数によっては独自テンプレートへの当て込みによる動画作成も可能で、スマホ画面に特化した正方形動画で画面にフィットした動画による商品訴求が可能。様々なオプションも豊富。商品点数が多く、複雑な説明を要さない商品動画の作成などへのニーズに応えるサービスとなる。


【視聴ログ付きビデオメール配信システム「ナカノミVRM」リリース開始】
オンラインビデオコンテンツマーケティングを展開するナカミノ株式会社と、各種マーケティング及びEC支援事業を展開する株式会社イー・エージェンシーは、視聴ログ付きのビデオメール配信システム「ナカミノVRM(ナカミノビデオレポートメール)」を共同開発し、運用販売を行うことを発表した。

「ナカミノVRM」は、ユーザーが所有する配信リストにオンラインビデオ付きメールを一斉配信し、開封率などのメール配信結果とビデオ視聴ログレポートの作成がセットになったサービス。
メール配信システムを活用することにより、属性ごとにセグメント配信するなど、動画を見せたい消費者にピンポイントにプッシュ配信することも可能。また、広告出稿前にABテストを行うなど、テストマーケティングツールとしての利用も可能となっている。


【動画作成ソフト先駆けのデジタルステージが「PhotoCinema」発売】
株式会社デジタルステージは、動画・写真素材に音楽やテキスト、多彩なエフェクトなど加え、オリジナル動画を作成できるソフトウェア「PhotoCinema(フォトシネマ)」を2015年5月28日に発売すると発表した。

フォトムービーソフトのパイオニアとして、2002年の発売以降数々の賞を受賞した「Life with PhotoCinema(ライフウィズフォトシネマ)」で蓄積した直感操作を活かしつつ、動画の普及が急速に広まった昨今、高度な動画編集を誰でも楽しめるソフトとして新たにスタートする見通し。
用途や目的別に選べるモードや多彩な機能など、動画作成に知見の浅いユーザーでも直感的な編集が可能になる工夫が各種盛り込まれている。


【クラウド型動画配信サービス「クムクラウド」提供開始】
企業向け動画配信プラットフォームベンダーである、クムジャパン株式会社は、4月13日よりクラウド型動画配信サービス「クムクラウド」の提供を開始すると発表した。

「クムクラウド」はプレゼンテーションスライドを使った動画制作が簡単に行なえ、オンデマンド動画配信とライブ動画配信両方に対応しているため大勢の視聴者に簡単に映像を配信できるなど、様々な機能を兼ね備えている。価格帯はユーザーのニーズに合った最適なコーズの提案がなされるため、個別に相談が可能。
導入前に2週間の使用期間があるため、豊富な機能や操作性などを実際に試すことができる。

多様化する動画でのアプローチ

自社でゼロベースから作成することもでき、テンプレートに当て込みながら作成することもできるプロモーションとしての動画サービス。自社内の予算感や取扱商材の特徴において、数あるサービスから最も適したものを選択すれば、協力な販売促進となることは明白だろう。
TVによる通信販売などを見ても、実物を手に取って見ることのできないECにおいても動画という訴求手段は非常に相性がいいものと思われる。商品力を高めることはもちろん必須だが、その魅力をより消費者に伝える手段として動画による商品説明は今後マストになっていくのではないだろうか。年々増加するスマートフォンの普及と複雑化していくデバイス、それにより変化する消費者の購買行動にうまくリーチしていくために、使用用途に応じた動画でのアプローチは大きな可能性を秘めている。

今後も様々な動画コマースサービスが登場することにより、今までは画像でしか自社商品を訴求できなかった小規模中小事業者なども、気軽に利用できるようになっていくことが予想される。ビックウェーブ寸前の動画コマースというプロモーションの可能性が楽しみである。