ヤマト運輸、6ヶ月連続減少の小口貨物取扱数回復の理由

ヤマト運輸、減少していた小口貨物取扱実績

ヤマト運輸株式会社(代表取締役社長:長尾裕 以下、ヤマト運輸)は、毎月の小口貨物取扱実績を公表している。これによると、昨年平成26年9月に、宅急便の取扱実績が対前年比101.3%で拡大して以来、六ヶ月連続で100%を切り減少傾向にあることが分かる。

・平成26年9月
宅急便(対前年比101.3%):クロネコメール便(95.2%)

・平成26年10月
宅急便(対前年比97.4%):クロネコメール便(91.4%)

・平成26年11月
宅急便(対前年比93.3%):クロネコメール便(88.6%)

・平成26年12月
宅急便(対前年比97.6%):クロネコメール便(93.5%)

・平成27年1月
宅急便(対前年比96.6%):クロネコメール便(90.9%)

・平成27年2月
宅急便(対前年比97.8%):クロネコメール便(92.1%)

・平成27年3月
宅急便(対前年比91.6%):クロネコメール便(89.5%)【3月31日廃止】

ところが、先日発表された平成27年4月実績を見てみると対前年比105.0%と実に半年ぶりに拡大傾向をみせた結果となっている。この背景にはどのような流れがあるのか。分かりやすく表にまとめて考えてみたい。


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早くも増加に結びついたヤマトの新施策

早くも増加に結びついたヤマトの新施策

ご覧いただくと分かるように、平成27年3月と4月のラインでヤマト運輸は多くの施策を打ち出している。
大きなところで言えば、業界に激震を走らせた「メール便廃止」と、それに伴う新サービス「クロネコDM便」の取扱開始。さらには、業界初のフリマアプリ「メルカリ」とのサービス連携をスタートした。
その他サービスでは「国際クール宅急便」で香港に続き台湾への対応、「宅急便コンパクト」や「ネコポス」など新サービスの拡充など、実に多くの施策を展開していることが分かる。
また、メール便の廃止に伴い開始された「クロネコDM便」も、メール便に比べ実数は及んでいないが好調に伸びているといえる数字なのではないだろうか。

ここで注目したいポイントは、フリマアプリ「メルカリ」との連携だ。連携内容をまとめると

・メルカリが運賃の一部を負担することで全国一律料金の実現
・出品者の送り状作成の手間をカット
・送料の決済がメルカリのアプリ上で完結
・「宅急便」「宅急便コンパクト」「ネコポス」対応

というものなのだが、「メルカリと連携して半年連続減少だった取扱実績が回復した」という表現ができるのではないだろうか。
1,500万ダウンロード(2015年5月現在公表値)という普及率を誇り、消費者の生活に密着したアプリとの連携は、ヤマト運輸にとって、豊富な支店数を活かすことのできる親和性抜群の展開といえる。

実施後、たった1ヶ月で結果の出ている連携であるが、支店窓口で実務を担当しているヤマト運輸の従業員の感触としても、メルカリの受付は非常に多いと実感しているとのことだ。今後の伸びはもちろん、ヤマトの展開を追随する他企業などの出現もあわせて楽しみである。