食品市場の構成比、ネット通販がNO.1生協に迫る!(矢野経済研究所調べ)

ECのミカタ編集部

矢野経済研究所が国内の食品通販市場の調査を実施
2014年度の食品通販市場規模は3兆1,772億円で前年度比104.8%
大手ショッピングサイトの食品取扱い強化が市場拡大に寄与

食品通販市場は堅調に拡大と予想!

矢野経済研究所は今年の6月から8月にかけて、通信販売事業者や食品関連企業等を対象に国内の食品通販市場の調査を実施した。

調査の結果、2014年度の食品通販市場規模は小売金額ベースで、前年度比104.8%の3兆1,772億円と拡大の見込みである。2010年度以降、5〜10%前後の比較的高い伸長率で拡大しており、特に2011年度は東日本大震災の影響により、飲料や健康食品が伸びたほか、自粛ムードや節電対策で、自宅での飲酒が増加したことによる酒類の拡大が寄与した。2013年度は、消費税増税前の駆け込み需要で、飲料、米、健康食品など、長期保存が可能な品目が拡大したことが影響している。2014年度はその反動がありつつも、大手ショッピングサイトを中心に、食品の取扱い強化が行われ、食品を通販で購入するという消費者需要自体が拡大していることも、市場全体を押し上げていると考えられる。

一方、食品全体の市場は少子高齢化に伴う人口の減少や、消費者の価格志向の強まりを受けて、総じて微減推移であるが、食品通販市場は拡大している事から、食品全体市場における通販比率は上昇傾向にある。

2014年度の食品通販市場について、各販売チャネルの構成比を見ると、生協の構成比が41.1%と最も高く、次いでショッピングサイトが33.9%、食品メーカーのダイレクト販売(直販)が18.3%の、見込みである。近年の傾向として、インターネット通販を主とする大手ショッピングサイトが大きく拡大しており、従来、同市場で最も構成比の高い生協に迫る規模となっている。

また、食品市場の拡大を背景に、食品メーカーのダイレクト販売(直販)は参入企業が増加の一途を辿っているが、大手ショッピングサイトにおける食品取扱い強化の影響を受け、わずかに縮小している。一方で、ネットスーパー、自然派食品宅配、コンビニエンスストア宅配は全体に占める構成比は低いものの、いずれの市場規模も拡大傾向にある。

従来、インターネットショッピングは、書籍やホビー品など、趣味嗜好品を単品購入する場合に使用されることが多かったが、インターネット通販が広く普及する中で、食品や日用雑貨などの日用品の購入先として存在感を示すようになってきている。

食品通販の市場規模は、今後も3〜4%程度の伸長率で推移し、2019年度には2014年度比118.2%の3兆7,539億円(小売金額ベース)に拡大すると予測する。特に、ショッピングサイトにおける食品強化の流れはしばらく継続すると見られ、2017年度前後には、生協とショッピングサイトの構成比が逆転する可能性もある。

インターネット通販の利便性が日々改善されていく中、消費者の多様化するニーズや利便性に対する要求はさらに加速をしている。こうしたなか、大手ショッピングサイトを中心としたサービス向上や品揃え強化により、単一の食品メーカーによるダイレクト販売(直販)は年度により浮き沈みが出てくることが懸念される。

一方で、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、日本国内の全体的な景況感の改善が期待されているほか、食品を基軸とした、各種イベント関連のプロモーションが各社で展開されることが予想されることから、食品通販市場は堅調に拡大すると予測される。


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