ヤマトがフランス郵便の知恵を導入!再配達解決へ!

福島 れい

オープン宅配ロッカーが再配達を解決!

ヤマト運輸株式会社(以下、 ヤマト運輸)と ネオポストは、日本においてオープン型宅配ロッカーインフラを構築し、運用するための合弁会社の設立に向けて基本合意したと発表した。 合弁会社は、51%をネオポスト、49%をヤマト運輸 が出資する予定。ネオポストが持つ宅配ロッカーインフラ構築のノウハウを活用することで、日本国内で宅配各社が利用出来る「オープン型」の高品質で利便性の高い新たな宅配ソリューションの提供を実現して行くという。

ネオポストグループは、フランス郵政グループ La Poste の子会社である Geopost と合弁会社「PackCity France」 を設立し、フランス国内でオープン型宅配ロッカーネットワークを構築している企業。現在フランス国内で 250 台のオープン型ロッカーを設置運営しており、将来的にはフランス国内で 3,000 台の設置を目標にしている。

今回の合弁企業設立の目的となっている「オープン型宅配ロッカー」とは、ヤマト運輸だけでなく、他の宅配事業各社が共同利用できる新たなインフラを目指すもので、今回は常閉型※1 のロッカーを採用する予定だという。宅配ロッカーの設置箇所については駅など誰でも簡単にアクセスできる場所の設置を想定している。 ※1 常閉型:常時扉がロックされた状態で、開けるためには特定の ID・PASS を入力する必要があるセキュリティ性の高いロッカー。

オープン型宅配ロッカー設置の背景にあるのは、”再配達”の問題だ。国土交通省の調査によると宅配便のうち約2割が再配達の対象となっており、ドライバー不足や環境問題の観点からも社会的に解決すべき問題となっている。昨日の記事でも取り上げたように宅配事業各社はコンビニエンスストアを活用した受け取り場所の拡大など、受け取り手の利便性向上を目指しており、ヤマト運輸でも受取場所の拡大やクロネコメンバーズの活用で「受け取りたいタイミング」で「受け取りたい場所」で受け取れるようサービス拡充をしてきた。しかし、それだけでは解決に至らないとの考えのもと、これらに加わる新たな生活インフラ構築を目指し「オープン型宅配ロッカー」の活用を検討してきたという。

今後のスケジュールは、3 月に改めて発表される予定となっている。

今回の動きは、配送にかかわる問題が一歩解決につながるものだ。ECサイトで商品を販売する以上、商品を配送し、購入者に受け取ってもらうという流れは、欠かすことができない。つまり、EC業界が今後も成長していくには、再配達の課題解決は必須事項とも言えるのだ。ヤマト運輸はオープン型宅配ロッカーを共同利用できるよう、進めている。自社だけの問題ではなく、宅配事業社が一体となって取り組んでいく問題としてとらえていることが感じられる。今後の動きに注目したい。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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