東急ストアが物流拠点に!ネットスーパーで利便性をUP<br>店長のホンネ#11

石郷“145”マナブ

近所の東急ストアの商品をスタッフが自宅に届ける!

 最近、ご無沙汰になってしまっているが、連載企画「店長のホンネ」を執筆するため、今日は中目黒にやってきた。第11回である。僕が取り上げたいと思ったのは「東急ストアネットスーパー」。出迎えてくれたのは、株式会社東急ストア(以下、東急ストア)の舟堀勝弘さんだ。おそらく東京近郊にいれば、リアルな店舗の「東急ストア」の存在は、聞いたことがあるだろう。しかし「東急ストアネットスーパー」となると、案外知られていない。東急ストアネットスーパーは、東急ストアという既存の販売拠点を効果的に活用し、そのお客様の利便性を向上させるべく編み出されたネットのサービスだ。例えば、お客様が、日頃、東急ストアに通っているけど、今日は行くことができない。けれど、その店舗にある商品が欲しい。そんな時に「東急ストアネットスーパー」の出番となる。

全ては東急ストアをもっと使ってもらえるようにする為に

 「東急ストアネットスーパー」は、一見するとネットショップのようだが、よく見ると中目黒本店、宮前平店という具合に、サイトの横に店舗名が書かれている。つまり、お客様は、ここでどこの店舗から配送されるのか、確認した上で、商品を選択することができる。それから店員が商品をピックアップして、今売られている新鮮な状態で東急電鉄が運営する東急ベルのスタッフ(ベルキャスト)が届けてくれるという訳である。

 倉庫出荷ではなく、店舗出荷というのがこのサービスのキモとなっていて、一番最初に立ち上げたのは、2009年まで遡る。最初は宮前平店から始まり、その一週間後、藤が丘もスタートし、エリアを拡大していて、主に、東急線沿線に、そのサービスの定着をはかってきた。14店舗に渡り、それだけ要望があるということなのだ。年に一店舗ペースで増えている。

 ネットスーパーで選ばれた商品は、本当に、店のスタッフが店内をかごをもって、野菜、ヨーグルト…という具合に、一つ一つそこに入れていく。あとは、それを梱包してお客様に届ける、という具合で、東急ストアの存在がこのサービスの上で、非常に有効に機能している。商品がやむを得ず、なかったりすることもあるが、その時も事前に、キャンセルにするか代替え品にするかを決めるようになっている。仮に、代替え品の場合は、電話をしてしっかり、それに対しての説明は行い、ケアは行き届いている。配送に関しても、1日5回あり、一番早い注文の締め切りは8時でその注文は11〜13時にお届けとなる。最短でわずか3時間後にきてくれるのだから、便利。次が10時に締め切り、といった風でお客様の都合に合わせ、どの便がいいかを指定してもらえばよい。

日本初!駅構内に東急ストアネットスーパー用の冷蔵ロッカーが!

 東急ストア舟堀さんによれば、「やっぱり地域によっては、坂道が多いところもあり、そういうお客様には歓迎されています。あとは、商品を購入するうち、色々な商品が欲しくなって、持ちきれないというニーズに対しても、これなら、応えることができます」とある。これにより、東急ストアの顧客満足度が向上しているのは、間違いないだろう。お客様の層としては40~50代が多く、リアルもネットスーパーも両方使っている人が多い。最近はお客様自身が、買物上手で、リアルもネットも状況や環境にあわせてうまく使い分けている現状が、そのことからもうかがえる。

 先頃、この東急ストアネットスーパーが脚光を浴びるニュースが流れた。それは、日本で初めて駅構内に、常温、冷蔵の両方を兼ね備えた宅配ロッカーが設置されたというものだ。東急ベルが宅配ロッカーを使い、お客様の利便性向上を検討していた事もあって、それを駅に設置する事で、お客様のフォローをしようとした訳だ。

 使い方も簡単で、登録したメールアドレスに送られるバーコードを携帯電話などでかざすと、ぱかっと開く。宅配ロッカーは常温と冷蔵で入れる場所が異なっており、この「冷蔵がある」という点が、ネットスーパーの商品を受け取る場所として、大きなメリットとなっている。

お客様の気持ちを考えた先に、東急ストアネットスーパーの存在が

 東急ストアの名の通り、少なからず多くが、東急沿線に存在し、東急電鉄を使う人がいる中で、駅を拠点にしようという発想は、電鉄会社を持つグループならではで、その強みを最大限生かした事例だ。実際に、大手スーパーなどでは、受け取り用に店内にロッカーを構えることがあったとしても、さすがに駅構内にそのロッカーを用意することは難しい。あくまでも今回のうごきは、試験的なものであるとしながらも、お店で購入するお客様のニーズがあれば、拡大という話は考えられなくないと話している。

 思うに、これらの諸々の仕掛けは、全て東急ストアとお客様の深い関係性の中でこそ、生まれたのだろう。たまたま、舟堀さんと雑談をしながら、ふとこんな事を話してくれた。「私がこの会社に入ったきっかけは、お店でのアルバイト経験で、売り場で生まれた、一つ一つのコミュニケーションにあります。私たちが一所懸命、商品を提案したら、ちゃんと、お店にくるお客様は応えてくれる。そこで、会話も生まれるんです。時に見ず知らずの人にだって、声をかけられ、励まされ、それって感動的な事だなって思うんです」と。自分たちがお客様を想い、お客様がそれに笑顔で応える、このすてきな循環が、東急ストアの活気に繋がっていて、ここにあげた一つ一つのサービスの原点であるように想う。全てはそうしたお客様への想いが、ネットスーパーという手段を使って、少しでもお客様への快適さに繋げようという部分へと駆り立てたのだろうと思う。その気持ちの通った関係は、これからもきっとずっと続く。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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