PayPal「中小EC戦略白書」発表!
本日3月2日14時より六本木ヒルズ森タワーにて、オンライン決済サービスの先陣をきるPayPal Pte. Ltd.(以下、ペイパル)と、一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会であるJECCICA(以下、ジェシカ)による「中小EC企業向け・2016年EC戦略白書」の発表記者会見および説明会が行われた。
「中小EC企業向け・2016年EC戦略白書」完成!
この戦略白書というものは、中小企業の今後の指針となるEC戦略の方向性を提示すべく、ペイパルが2万人の消費者と1,000社を超える中小のEC企業を対象に実施した大規模調査の結果と、ジェシカのコンサルタントの知見に基づき制作された。
戦略白書は、消費者にとっての購入の壁、EC企業と消費者間の意識の差、モバイル化の時代において消費者が何を求めているか等を調査し、今後の中小のEC企業がさらに盛り上がっていけるようなデータを盛り込んでいる。
JECCICA調べ、消費者と店舗の考えの差とは
最初に、ジェシカ代表理事 川連一豊氏より、戦略白書についての説明があった。
まず、全国2万人のECサイト利用動向を調査した結果、消費者は楽天市場、Yahoo!、Amazonなどのモールや大手ECサイトを主に普段使いしていることがわかった。その利用理由として、「商品数の多さ」や「有名である」という意見が見られ、逆に、中小企業のECサイトを利用しない理由としては、96%もの人が「中小のEC企業を利用することになんらかの抵抗がある」と回答した。消費者にとって、会員登録や「囲い込み戦略」のメルマガはボトルネックになっていることがわかる。
そして、消費者への囲い込み戦略がむしろマイナスになっている結果を改めてデータとして示したのが、店舗と消費者の囲い込み戦略に対する意識の差だ。
会員登録について、店舗の49%は「消費者が会員登録を嫌がっていない」と考えているのに対して、「会員登録することにまったく抵抗がない」消費者はわずか4%しかいないという結果となった。また、ポイントのニーズについて、48%の店舗が「消費者にとってポイント制度が有効」だと考えているのに対して、実際に「ポイントが必要だ」と考えている消費者は27%しかいない。これは、TポイントやPontaカードなどの様々なポイントカードが利用されている現代において、相反する結果となったのではないだろうか。この意識差のギャップを埋めることが、中小企業のECのみならず、EC業界全体の発展につながるのではないだろうか。
消費者が中小企業のECサイトに不安を抱く理由として、約75%もの消費者は「個人情報流出」、72%が「カードの不正利用」を挙げている。そんな情報の流失などに消費者が不安を抱くことは、結果「カゴ落ち」につながりかねない。ジェシカが考えるカゴ落ち理由としては、セキュリティを意識していないことや発生するコストの不明記、そして会員登録の強制がある。つまり、消費者からすれば、「普段あまり使わないサイトで買い物をするのに、毎回異なるサイトごとに個人情報を提供するのには抵抗がある。」ということになるのだ。また、もう一つのカゴ落ち理由として、モバイルでの買い物が増加するに伴い「モバイル画面だと文字が見づらい」や「購入までのステップが困難」などの理由があがっている。
これら消費者がカゴ落ちしてしまう理由をカバーするのが、ペイパルでの決済方法なのだ。
消費者のニーズとぴったり!PayPalの決済ID
ペイパルがなぜ、消費者がカゴ落ちしてしまうことを防ぐ力になるのか。ジェシカが調査した「消費者のID決済利用状況」によると、約43%もの消費者がID決済を利用しており、ID決済の利便性と全性について利用するメリットを感じている消費者が多い。そう考えると、異なるサイトでも決済ログインが統一でき、個人情報の入力も初回の一回で済むペイパルのシンプルな決済フローは、消費者のニーズに大いに応えている。
安全面に関しても、ペイパルの消費者はカード情報が店舗側に開示されないため店舗がハッキングされても盗まれる情報がないことや、①2000人規模の監視チームによるリアルタイム不正探知モニタリングシステム②24時間年中無休のグローバルサポート問題解決センター③ペイパルが消費者や店舗に代わって不正取引の被害を負担する不正取引保護制度、という3段階のセキュリティ制度を用いるなど、ペイパルによる様々な工夫のおかげで消費者が安心してサービスを利用できるのだ。
さらにペイパルは先月23日に、モバイル版アプリのリニューアルに伴いワンタッチで支払を可能にするサービスを開始することを発表したばかりだ。そのニュースについては、当サイトの「決済をより簡単に!paypalアプリがリニューアル」という記事を参考にしてもらいたい。消費者の買い物に更なる進化をもたらすペイパルの存在は、例えば海外ECサイトで買い物をしたいときにも、その利便性と安全性から「よく知らない海外のネットショップで買い物をする」という心理障壁を少なくとも下げてくれる効果があるのではないだろうか。それは、まだあまり知られていない中小企業ECサイトでの決済を促すときにも効果的なはずだ。
消費者にとっての最適な決済とは
今回発表された戦略白書は、中小EC企業の今後の指針になるだけではなく、消費者と店舗の考えの差を改めて改善していこう、とEC業界に関わる全ての人が現状を見つめなおすことができるきっかけとなるものになったのではないだろうか。もちろん、ECメディアを発信していく立場である私達にとっても、消費者が何を求めECを利用し、店舗は何を考え消費者にサービスを展開しているのかがわかる貴重なデータとなった。今回の発表を機に、日本のオンライン決済システムに何らか良い変化が及ぶことを期待したい。