海外企業2社へ出資、スタートトゥデイの目的とは
スタートトゥデイ、海外進出へ向け始動
ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイ(以下、スタートトゥデイ)は、マレーシアでファッション EC プラットフォーム「FashionValet.com(ファッションヴァレットドットコム)」を運営する Fashion Valet Sdn. Bhd.(以下、 Fashion Valet 社)に対して2016 年3 月30日(水)付で出資したと発表した。
また、同日、スタートトゥデイはアメリカ・ニューヨーク発の二次流通ファッションECプラットフォーム「Materialwrld.com(マテリア ルワールドドットコム)」並びにプリペイドカード事業を運営する Material Wrld Inc.(以下、 Material Wrld 社)に対しても出資したと発表。
同日に、海外企業2社に出資を発表したということで、スタートトゥデイが海外進出に向けての準備を着々と進めている印象が見受けられる。
中国に次ぐ急成長、越境ECでマレーシアが注目される理由
まず、今回スタートトゥデイが出資先として発表した企業のひとつであるFashion Valet 社はマレーシアの企業であるが、現在、マレーシアがEC市場において成長著しく、中国に次ぐ越境EC市場になると言われ、目が離せない存在となっているのはご存じだろうか。
なぜマレーシアがそのように注目されるのかというと、その国民性や生活習慣がECの利用に拍車をかけているからだ。
①オンライン利用時間が長い
マレーシアの人々は毎月利用するデバイスのオンライン時間が16時間にも及ぶ。また、SNSの利用者が多く、特にFacebookを通じて買い物を行うという。
②購買力が大きい
デバイスの普及率が高いマレーシアでは、9割のネット消費者がデバイスで商品情報を研究し、かつ42%はスマートフォンで商品を購入する。元々買い物を好む国民性であるマレーシアでは、ECサイトの利用者が多い。
③オンライン決済受け入れ度が高い
マレーシアは、他の東南アジア諸国と比べて、オンライン決済に対する受け入れ度が高い。4割ものネットショッピング決済がクレジット決済で行われる。
④越境EC市場が大きい
これまでの要因を含めて考えてもわかる通り、マレーシアでは越境ECが国内のEC市場の40%を占めており、それは日本や韓国よりも高い割合なのだ。
そうなってくると、他国の企業がマレーシアの市場に参入してくるのは充分理解できるだろう。今回スタートトゥデイがマレーシアの企業に出資した背景には、このようなマレーシアの越境EC市場の広がりが関係しているのだ。
「WEAR」で革命を起こせるか、スタートトゥデイ新境地へ
そして、もう一社の出資企業である Material Wrld 社は、自社プリペイドカード発行による、二次流通ファッションECプラットフォームを構築している。どういったサービスかというと、不要になったファッションアイテムをネットから簡単に引き取り・買い取りできるサービスで、そのアイテムの査定額がプリペイドカードに入金されるというもの。オンラインでブランド品鑑定サービスが行われるイメージではないだろうか。
実は、スタートトゥデイもブランド古着の販売、買取サービス「ZOZOUSED」を展開している。そんな両社のノウハウ共有により事業の最適化を図ることで、両社のサービス価値向上を積極的に図る狙いだ。
そして、スタートトゥデイが展開するサービスとして、様々なユーザーのコーディネートが閲覧できるファッションアプリ「WEAR」がある。この「WEAR」、国内の人気はさることながら、実は台湾や韓国といった東アジアからイギリスやフランスなどの欧州諸国まで、国外へもサービスを展開させている。
国内での人気を確立した「WEAR」が国外でも更なる人気を得て利用者を増やし、どの国のファッションコーデの閲覧も可能、どの国の洋服も購入可能と、「WEAR」内で利便性の高い越境ECサービスを提供できれば、「WEAR」の存在が、越境EC市場においてもファッションサイト運営企業にとっても大革命となるのではないだろうか。
スタートトゥデイが今後、どのような動きで海外へ進出していくか、そしてその動きにより各店舗・企業、消費者にどのような影響がでるのか、海外市場の動きと合わせて注目していく必要があるだろう。