MakeShopとSAMURAI BUYER連携、越境EC失敗を防ぐ仕組み

福島 れい

ワンクリックで海外出品完了、多言語対応も

 日本市場の10倍以上とも言われる海外市場への出店は注目が集まるばかりだが、昨日、越境ECをより手軽に始められるサービス開始の発表があった。

 GMOメイクショップ株式会社(以下、GMOメイクショップ)と、株式会社SAMURAI BUYER(以下、SAMURAI BUYER社)が提携し、ネットショップ構築サービス「MakeShop」と、海外への転送・購入代行サービス「SAMURAI BUYER」の連携による越境ECサービス開始した。これにより、「MakeShop」を利用するショップ運営者は、商品出品・集客サービス 「アイテムポスト」を通じて世界各国に向けてサービスを展開する「SAMURAI BUYER」に簡単に出品できるようになる。

「SAMURAI BUYER」とは、海外のお客様向けけ代理購入・代理オークション入札サービスで、日本の商品を国境の壁を感じることなく、簡単に・迅速に届けることができるもの。現在、日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、インドネシア語の4か国語に対応しており、アジア・ヨーロッパ・北中米・南米・オセアニア地域への代理購入・転送代行に対応している。つまり今回の連携では、「MakeShop」に手軽に海外販売できるサービスが追加されたということになる。

越境ECを手軽にする4つの特徴

 今回の両社の連携により開始された越境ECサービスは大きく4つの特徴がある。

 まず、ショップ運営者は海外の購入者と直接取引をしないということだ。「SAMURAI BUYER」に出品された商品は、「PayPal」や「Alipay」など、海外の消費者が利用しやすいオンライン決済方法で注文を受け、その後「SAMURAI BUYER」が日本国内のネットショップで該当商品を購入する仕組みになっており、ショップ運営者が海外購入者と直接取引を行うことはない。商品代金は日本円で「SAMURAI BUYER」から受け取ることになるため、代金の未回収やクレジットカードの不正利用などのリスクなく海外の購入者に販売できる。

 2つ目の特徴として、海外への梱包・発送業務が必要ないということが挙げられる。注文を受けたショップは「SAMURAI BUYER」が指定する日本国内の住所へ送り、その後の海外へ向けた梱包・発送作業は「SAMURAI BUYER」が代行する流れになっている。海外に向け商品の発送業務は大きな負担となりがちだが、この負担が取り除かれる形だ。

 3つ目の特徴として、商品情報を自動で多言語へ変換してくれる機能がある。ショップ運営者が「MakeShop」の管理画面から出品ボタンを押すだけで、自動翻訳機能により3か国語(英語、中国語(簡体字、繁体字)、インドネア語)に変換されて「SAMURAI BUYER」に商品が出品される。越境ECの最大の壁、言語の問題も解消されている。

 4つ目の特徴として、海外向けの販促活動が不要ということが挙げられる。文化や商習慣の違いにより、必要な販促活動も出店する国によって異なるため、自社で複数国への出店に対応するのは難しいもの。今回の越境ECサービスでは、「SAMURAI BUYER」が集客・販促を代行してくれるため、手軽に販路の拡大が実現する。

 越境ECはここ数年急速に拡大している。経済産業省によればアメリカ・中国に向けた2014年度の越境EC市場規模は2,086億円となっており、2018年度には1.4倍の2,923億円まで拡大すると予測されている。今後も益々進出企業が増えていくことだろう。しかし、その一方で言語や配送、商習慣の違いは簡単に解消できるものではないのも事実だ。自社で手の届かないところは外部のサービスをうまく活用し、事業を広げていくという考え方を持つべきということかもしれない。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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