聞いてみた!EC売上前年度比0.6%減のワケ(JADMA調べ)
JADMA発表、通販売上高前年度比較
現代における社会人のライフスタイルといえば、月曜日から金曜日、朝から晩まで働いて・・・という流れが一般的だろう。そんな中で、実店舗に買い物に行くとすれば、土日のお休みの間に時間を作ってショッピングをする方も多いかと思う。
しかし、「貴重な休日にわざわざ混雑する町へ繰り出し買い物をしに行くなんて」「欲しいものが確実に手に入る保証もないのに」という方は多いはずだ。だからこそ、日常的にネット通販が広く利用されているのにはうなずける。
そこで、公益社団法人 日本通信販売協会(以下、JADMA)より公表された、「2016年2月度の通信販売売上高」の調査結果から、「世間の人がネット通販でどんな商品を、前年度と比べてどれくらい購入しているのか」を考えていきたい。調査は、JADMAの理事社・監事社を中心とする会員企業計140社を対象として、2016年2月1日~2月29日までの間に実施された。
加速する「モノ離れ」、ミニマリストの登場
上記表が、140社を対象に調査した2016年2月、そして2015年2月の通販売上高比較表である。2016年2月の総売り上げ高は、1,252億8,700万円となり、前年同月比でみると-0.6%と減少した。なお、2月の1社あたりの平均受注件数は、81,725件(回答114社)となった。
前年同月比の主な商品別伸び率は以下の通り。
・衣料品(紳士・婦人・子供・ベビー衣料品、下着など) -9.2%
・家庭用品(家具・収納具、パソコン、食器など) -13.8%
・雑貨(服飾雑貨、カメラ、化粧品など) +0.4%→そのうち文具・事務用品が+10.2%
・食料品(食料品、健康食品など)+1.5%
・通信教育・サービス(通信教育講座、保険、チケットなど) -16.7%
この調査結果について、実際にJADMAに問い合わせてみたところ、本年度の売上伸び率は前年度と比べ大きな変動はないものの、注目すべき点が2点あるという。
まず、前年度と比べ、伸び率が-9.2%となった「衣料品」について。伸び率がマイナスとなった原因として考えられるのは、①天候②大手企業の影響③2014年の消費税増税だという。これらは全体の伸び率変動にも関わってくることでもあるが、衣料品だけに注目して考えると、①天候は今年の冬が暖冬であったこと、そして②大手企業の影響というのは「ユニクロの値上げ」などがあげられる。さらに③2014年に消費税が増税されたことにより、未だにその影響が続き、昨年秋から冬にかけては特に衣料品の売上が落ちたという。これら原因から、常に世の中の動きと消費者の買い物の動きが共にはたらいていることがわかる。
そして、もう一つ注目してほしいのは、雑貨カテゴリーのうち文具・事務用品の売上が10.2%も伸びていることだ。全体のカテゴリーの中でも、”その他”を除いて前年度より一番伸びたのが文具・事務用品である。その原因としては、事務用品を中心に通販を行っているアスクル株式会社の業績が好調だったことがあげられるという。これも、先述でも述べた②大手企業の影響がおおいに関係していることがわかる。
しかし、世の中が全体的に「モノ離れ」をしていることは否めない。JADMA調べでは、衣料品の伸び率が落ち続けているという。また、2014年以降からは最小限主義者でモノを持たない生活をする「ミニマリスト」という人たちも増えてきた。このような消費者の変化も通販に大きな影響を与えている。
推論だが、ミニマリストのように消費者がものを持たない生活を選択していくということは、同時にそれまで持っていたものを処分する場が必要になってくるということだ。そこで、モノを処分する場所として、最近注目されている「CtoCマーケット」が台頭してきたのではないだろうか。
以上、今回の調査結果から分かったことは、ECが時代や世情に沿って変化していること。その変化をいち早くキャッチすることで、例えば「CtoCマーケット」のような新しいサービスを生み出すことができるのだろう。といいつつも、EC店舗には、世情に負けず活躍してほしいと思うところだ。