実店舗よりEC店舗?消費者ニーズ、意外な調査結果

ECのミカタ編集部

 マンハッタン・アソシエイツ株式会社は、2016年3月24日〜25日、18歳以上の男女2,066名を対象に、インターネット上で「ネット購買と実店舗購買の比較調査」を行った。その結果から、「実店舗でのショッピングの満足度が、オンラインでのそれに劣っている」という印象を持っていることが明らかになったという。

消費者が実店舗に求めること

 調査の詳細を見ると、実店舗に関しては、回答者の56%が「満足のいくショッピングのためには店舗で説明してくれる店員の存在が重要」と答えており、店員が提供してくれるサービスとして、45%が「商品に関するアドバイス」が重要と答えている。それにも関わらず、回答者の56%が「店員よりも自分自身の方が商品やサービスに関して良く知っていると感じたことがある」と答えており、70%が「自分の好みにあった商品提案をしてもらえるなら、もっと店員との会話を増やしたい」と答えている。

 この結果から、実店舗において消費者が最も求めていることは、店員に自分の知らない商品情報を提供してもらうことであるが、実際にはそのニーズが満たされていないことが分かる。また、実店舗における店員のサポートが重要であるという回答が最も多いのは55歳以上の年齢層(76%)だが、デジタルコンテンツに慣れ親しんできたミレニアル世代と呼ばれる18〜24歳でも、62%が「自分の好みに合った商品の提案をしてもらえるなら、もっと店員と会話をしてみたい」と回答している。

消費者がEC店舗に求めること

 前述のような消費者ニーズに対して、実店舗では、店員による知識や経験の差、人手の問題などもあり、常に一定レベルのサービスを提供することが難しいということもあるだろう。それがEC店舗では、商品ページをきちんと作り込むことによって、比較的簡単に可能になる。

 その上で、EC店舗に求められていることとして、回答者の36%が「個人的な嗜好に基づいたパーソナライズされたサービス」と答えており、さらに41%が「値引きを受けられるなら個人情報を提供しても構わない」と回答している。つまり、商品ページでの十分な説明を前提として、最近話題のWeb接客に表れているようなパーソナライズ、そしてお得さが加わることで、EC店舗における消費者の満足度が上がるものと考えられる。

 ここまで、実店舗に比べてEC店舗の方が優位であるようなデータだが、無視できない消費者心理として、回答者の76%が「購入前に商品を実際に手に取って試すことができるので実店舗で購入する」と答えている。EC店舗の弱点とよく言われる、この「実際に試せない」問題に対して、一つの対策として、返品を容易にするという方法がある。だが、今回の調査で「柔軟に返品ができる仕組みが重要」と答えた回答者は、20%にとどまった。気に入らないなら返品OKとするよりも、やはり購入前に試して納得して購入することが重要なのだ。

返品ハードルと、それに代わる方法

 この返品に関して、一つ、面白い情報がある。調査実施元のマンハッタン・アソシエイツに問い合わせたところ、今回と同様のアンケートをイギリスで行った結果では、返品できることの重要度が、日本よりはるかに高かったと言うのだ。イギリスは世界一と言っても良いほど通販を利用する国だそうで、その中で、特に洋服や靴などを購入する際は、いくつかのサイズをいったん購入して、その中からサイズの合うものだけを本当に購入し、後は返品するという買い方が当たり前なのだそうだ。しかし日本ではこの方法は抵抗がある人が多いのではないだろうか。

 では、日本のEC店舗にとって効果が高いと考えられる方法は何だろうか。たとえば、アパレルであれば、コーディネイトを見せたり、最近はネット上のやり取りだけで採寸ができるサービスや、よりきめ細やかなサイズ展開をするブランドが出てきている。あるいは、商品の見せ方も、ただ平面の画像だけでなく、回転が出来たり、360度見ることができたりというサービスも出てきている。こういった新しいサービスを採用していくことも、一つの手だろう。また、以前からある方法ではあるが、レビューの充実、つまり「口コミ」も変わらず有効な手段だろう。

変化する時代に対応するために

 今回のようなアンケートは、EC店舗にとって、今後の戦略やそのための手法を選ぶ際に、どの方向に向かえば良いかを示す指針となってくれる。EC事業に関連するサービスは、日々進化を続けている。それに付いていくことは大変なこともあるが、今回のアンケートのように、消費者が今何を求めているのか、その中でも自分達はどの層を対象とするのか、そして自社の商品が何なのかという3つのポイントから考えると、取捨選択がしやすくなる。ぜひ活用してほしい。


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