越境EC最前線!国内ECとの違いと不正対策まとめ

ECのミカタ編集部

6月21日開催のECのミカタセミナーフェア。eBay、アリババをはじめとして、越境ECの最前線に立つ5企業による講演が行われた。今回はその詳細第一弾。越境ECと国内ECの違い、そして越境ECと共にグローバル化する不正対策についてお伝えする。
★登壇5企業の講演概要はこちら<https://ecnomikata.com/ecnews/9659/
★中国・東南アジア市場についてはこちら<https://ecnomikata.com/ecnews/9726/

国内ECと越境ECの違いを徹底解説

国内ECと越境ECの違いを徹底解説

登壇企業:イーベイ・ジャパン

 eBay(イーベイ)は、21年前、シリコンバレーで設立。CtoCのオークションサイトから始まり、今ではBtoC、BtoBの区別なく多数の商品を扱っている。現在では、バイヤー数約1.62億人、セラー数約2,500万人、常時出品約9.5億品、取引高約10兆、そして取扱商品の80%は固定価格であり、ショッピングサイトとして大きな成長を遂げている。ECサイトは39ヶ国、ユーザーを200ヶ国以上に抱える、世界最大の越境ECプラットフォームだ。

 なぜ今、越境ECに参入すべきなのか。日本国内では人口が減少傾向にあり、特に消費を行う世代の人口減少が、EC市場にとってもマイナス要因となっている。一方の開発途上国では、今後、人口は増加傾向にあり、EC市場の今後の成長のために、重要な要因となっている。イーベイでも、その売上の25%はインターナショナルの取引となっており、2014年の20%から大きく成長している。特に中国やインドでの成長率が大きい。

 では、越境ECに参入する際に注意すべき点とは何だろうか。それはまず、国や地域による状況の違いを知り、対応することだ。例えば、イーベイでは、携帯電話がとてもよく売れている。それは、海外では携帯電話のシムフリーがスタンダードで、中古で売ってその代金で別の中古を買うという取引が活発だからだ。あるいは、ECで消費する金額を見ると、中国が伸びているのはもちろん、オーストラリアが大きい。そこには、国土が広くネットでモノを買うことが発達しているという背景がある。このように、国や地域が違えば文化も違い、ニーズも違う。それに合わせて商品選定や価格、デザインなどを対応させなければならない。

 さらに、越境ECではポジティブな話題だけでなく、返品トラブルや詐欺などの、ネガティブな問題も少なからずある。そういった点も情報を持ち、対応していく必要がある。その中で、継続的に収益を上げるためには、広告などに大きなコストをかけるよりも、少しずつファンを集め、評価を高め、ロイヤリティを上げることが重要だという。そういった点でイーベイのサポートを受けられると心強いだろう。

グローバルEC万引き・EC詐欺の実際と対策

グローバルEC万引き・EC詐欺の実際と対策

登壇企業:かっこ株式会社

 越境ECに参入する際に、不正対策は必須だ。特に今、クレジットカードの不正使用において、ECが狙われやすくなっているという。以前は、偽造カードを実店舗で使用する手口が多かったが、偽造カードへの対策が進み、磁気カードが使えなくなったことなどがあり、カード情報だけで不正利用が可能なECへと、ターゲットが移っているのだ。しかも、ECサイトによっては、カード情報の表面だけ、あるいはカード情報だけでなくアカウント情報だけで、クレジットカードの不正使用ができてしまうことも少なくないのだ。

 ECサイトにおける犯罪では、犯罪者集団によるものと、一般人によるものがある。犯罪者集団によるものでは、特に中国発のものが多く、フィッシングサイトから偽ブランドサイトへ、そしてなりすましECサイトへと、傾向が移り変わっている。そういったサイトでは、日本語が変であったり、日本では使われないフォントが使われていたりといった特徴があるそうだ。一般人による犯罪は、カード情報の入手が容易になり、CtoCマーケットが拡大したことにより、盗品の販売も容易になったことが、大きく影響しているそうだ。それに伴い、被害品も高額品から低額品へ、裾の尾が広がっている。

 また、ECにおける犯罪は、もともと海外では多かったが、海外での取り締まりが強化されたことにより、日本のECサイトが狙われるようになってきた。さらに、日本の大手モールや大手サイトで対策が強化されてくると、中小サイトがターゲットになりつつある。そんな状況で、越境ECにより取引がグローバル化されることで、ターゲットとなる可能性はどうしても上がってしまう。また、ECにおける犯罪は、残念ながら、利便性が高いほど起こりやすい。新しいサービスを狙った最新手口も増えてきている。

 こういったEC犯罪を防ぐためには、これで万全という対策はなく、複合的な対策が必要で、それぞれにメリットとデメリットがある。例えば、海外大手モールや、決済でAipay/Paypalのみ利用する、ブラックリストとの照合や、チャージバク補償、3Dセキュア、信頼できる転送会社のみを利用するなどだ。これらの複雑さを補うべく、かっこでは独自のサービスも提供している。

正しい情報と対策で怖くない、越境ECの可能性

 イーベイの講演にもあった通り、これからのEC市場を考えると、国内だけでなく海外へ展開することは、成長のために重要な要因となる。やはり可能性は大きいのだ。しかも、今は、越境ECをサポートしてくれる様々なサービスが整ってきている。

 ただし、やはりリスクは存在する。だからやめるというのではなく、正しい情報を集めてほしい。そのために、今回のセミナーフェアのようなイベントや、各社の紹介が存在する。第二弾では、アリババ・ナセバナル・ジオシスの3社の講演から、中国越境EC、東南アジア越境ECモール出品に関する情報をお届けする。公開予定は6月27日(月)。是非こちらも役立ててほしい。


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