パルコ、大胆展開のオムニチャネル戦略 対応エリア拡大と新たなスマホアプリ連携

広がるユーザー需要を網羅する勢い見せるパルコ

株式会社パルコは、Webコミュニケーション戦略の一環として2014年5月より静岡などの一部店舗で先行導入していた、店頭商品をネットで注文や取り置きができるオムニチャネルサービス「カエルパルコ」を都心店グループ(パルコ8店舗:札幌、仙台、池袋、渋谷、静岡、名古屋、広島、福岡)に拡大展開することを発表した。

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11月参加ショップ数は約50ショップで、2015年春までに100ショップ以上の導入を目指す。コンセプトである、ショップスタッフオススメのアイテム購入のできる「キュレーションECプラットフォーム」として出店テナントの集客や売上向上への貢献を進めたいとしている。

また、パルコ公式のスマホアプリ「POCKET PARCO」および「WEAR」との連携も実現し、各アプリからのカエルパルコ利用が可能となった。
「POCKET PARCO」は、全国のパルコ館内約3,000ショップから、ユーザー毎にオススメ商品情報を送信できるアプリ。カエルパルコ対象商品が表示され、アプリ上での在庫確認が可能となった。また、1タップでカエルパルコのページに飛べるので、欲しい商品をスマホから簡単に注文や取り置きができる。
「WEAR」は、国内外で多くのユーザーに指示されるファッションコーディネートアプリ。パルコショップスタッフの「WEAR」を通じてのWEB接客が注目を集めており、ユーザーの来店キッカケにつながるようにとショップスタッフが書く「パルコショップブログ」との連携表示もスタートした。
この2つのアプリを利用すれば、ユーザーのショッピングレンジは大幅に広がるだろう。

オムニ型百貨店のロールモデルなるか

松屋銀座は、店頭にない婦人靴などをネットで予約取り寄せし、店頭試着や購入のできるサービスを開始した。また三越伊勢丹は、ドコモの「dショッピング」に出店し、食品やキッチン用品、ファッション雑貨など約1,500点の販売を開始した。スマホなどからの30~40代の顧客層獲得を狙った展開である。
「実物を見て決めたい」というユーザーの需要に応えるため、良品計画はECサイトでの予約商品を店頭取り寄せし、ユーザーが実物確認後に購入するかどうか決められるサービスを展開している。タワーレコードでも、オンラインサイトから注文した商品をセブン-イレブンの店頭で受け取れるサービスを展開し、決済はオンラインだけでなく店頭での支払いも可能でポイントも付与される。

このように、大手販売業社の間で店頭受け取りをはじめとしたオムニチャネル化がものすごい速度で推進されている。
オムニチャネル化実現の際に一番重要なネックとなるのは、「社内体制作り」と「評価制度の徹底」である。何を経由してモノが売れたのかをしっかり見える化し、そのプロモーションに貢献した現場の担当者にしっかり「評価」が下りる「体制」を作ること。それが徹底していないと、裁量権を持つ人間によるいわゆる「評価の横取り」のような状態が横行し、現場の士気が上がり切らない恐れがあるからだ。

新しい動きにフレキシブルかつ敏感に対応する社風を持つパルコが、今回ある意味での実験導入だったオムニ戦略を拡大した背景には、具体的な数字を伴う成功と自信があるだろう。消費市場が大きな転換を迎えた「オムニチャネル元年」と呼ばれる2014年も残すところわずか。いくつの企業がパルコの成功に先導されていくのか、興味深い。