楽天、米OverDrive社を4億ドルで買収し電子書籍貸出ビジネスを開始

楽天Kobo ✕ OverDriveで提案する「所有から共有へ」新しい読書スタイル

楽天Kobo ✕ OverDriveで提案する「所有から共有へ」新しい読書スタイル


楽天株式会社(以下、楽天)は3月19日、品川プリンスホテルメインタワーにて「コンテンツ事業に関する戦略発表会」を行った。 同発表会で楽天は、図書館向け電子書籍配信サービス事業者である米OverDrive,inc.(以下、OverDrive社)の全発行株を約4.1億米ドル(約490億円)で取得することで完全子会社化し、OverDrive社が特化する図書館マーケットやポテンシャルある教育分野での電子書籍貸出ビジネスを開始することを発表した。

楽天 常務執行役員 相木孝仁氏による講話

楽天 常務執行役員 相木孝仁氏による講話登壇し戦略説明を行う、楽天 常務執行役員 相木孝仁氏


楽天がシェアリングエコノミーに投資するのはカーシェアリングに続く2例目。「所有する状態から共有する状態へ」という理念の元、今回のブックシェアリングでは「本を読みたい、学びたい人々」をエンパワーしていきたいと語った。 楽天は、電子書籍による読書にグローバル革命を起こし、いつどこでもどんなデバイスでもデジタルコンテンツを購入したり借りたりできるようにし、人々の読書意欲を刺激したいとしている。その実現として、今回のOverDrive社の子会社化による新たな展開、電子書籍貸出ビジネスをスタートしていくとした。

OverDrive社CEOスティーブポタッシュ氏による戦略プレゼン

OverDrive社CEOスティーブポタッシュ氏による戦略プレゼンOverDrive社と楽天の連携をプレゼンテーションする、OverDrive社CEOスティーブポタッシュ氏


OverDrive社は、1986年の創業以来、デジタルコンテンツ分野において市場をリード。同社の提供するサービス「OverDrive」は、図書館や教育機関などを対象に電子書籍やオーディオブックなどの貸し出しをサポートする、B2B2C型の電子書籍配信サービスにおいて世界最大級のサービスを誇る。米国、カナダ、英国など含む約50カ国で、約5,000の出版社が提供する250万以上のタイトルを取り扱い、3万を超える施設にサービスを提供している。

ユーザーは図書館や教育機関の貸出IDを使用し、パソコンやモバイル端末からアプリ経由で「OverDrive」にアクセスし、電子書籍などデジタルコンテンツのレンタルが可能となる。コンテンツはパソコンやモバイル端末で楽しむことができ、貸し出し期間終了後は利用できなくなるため返却の必要がない。希望タイトルがレンタル中の場合は、レンタル予約をするか同タイトルの電子書籍を購入するか選ぶことなどもできる。

記者質問と撮影会

記者質問と撮影会会見後の撮影会で報道陣に囲まれにこやかに握手を交わす両氏

電子書籍事業は、主力であるEC事業、金融事業とともに楽天の中核を担う事業分野。書籍が紙からデジタルに以降しつつある昨今、OverDrive社の楽天グループ入りにより、電子書籍ユーザーの母数拡大が可能としている。また、デジタルコンテンツ事業の成長の加速だけでなく、シェアリングエコノミー領域における新たな市場の創出につながることを期待し、楽天グループで4,400万の本を愛する読者を抱え、今回のプロダクトを10億米ドルのビジネスへと飛躍させていきたいと語った。