アンドエスティHDグループとZOZOが協業 インクルーシブウェアを発売
アンドエスティHDの特例子会社・株式会社WeOurは、株式会社ZOZOと協業し、介助が必要な方や車いすユーザーに向けた“着やすい工夫”を施したインクルーシブウェア(※1)を開発。2025年10月2日より、アダストリアが展開する「ローリーズファーム」のパンツをベースに、ZOZOTOWNで販売を開始した。
「着たい」と「着られる」を両立
WeOurはZOZOが展開する、インクルーシブウェアの受注生産「キヤスク with ZOZO」と協業。WeOurに在籍する障がいがある社員の知見や福祉施設などで働く介助者の声を反映し、“着やすい・着せやすい工夫(ギミック)”を追加したパンツを6種類展開する。
本商品では、ファッションとしてのデザイン性を損なうことなく、悩みを解決する機能を加えることで「着たい」と「着られる」を両立している。
主な特徴は以下の通り。
◆車いすユーザー向けのパンツ
センターについたファスナーは裾の方まで開閉が可能なため、前全体が大きく開く。介助が必要な方や車いすユーザーの方の着脱がしやすくなる。着用する際は最初にウエストの固定ベルトを締めることで、ファスナーをスムーズに開閉できる。
※画像参照:アンドエスティHDグループとZOZOが協業“当事者の声”から生まれたインクルーシブウェアを発売(株式会社アンドエスティHD)
◆足に装具を付けた方向けのパンツ
脇の縫い目部分に目立たないファスナーを施し、閉めた状態では通常のパンツと変わらないデザインに。足に装具を着けているなど、裾口が狭いパンツへの足入れが難しい方でも、脇を開くことでスムーズに着脱できる仕様になっている。
※画像参照:アンドエスティHDグループとZOZOが協業“当事者の声”から生まれたインクルーシブウェアを発売(株式会社アンドエスティHD)
機能性を備えた衣服への潜在的ニーズに応える
近年、多様性を尊重する社会の実現に向けた動きが加速している。しかしながら、ファッション業界ではサイズ展開を豊富にして在庫を抱えることは経営上、難しいのが実情だ。そのため、サイズだけでなく身体的な障がいがある方の“洋服の悩み”に対応しきれていないという現状がある。
WeOurが福祉イベントなどで独自に行ったヒアリング調査では、身体に障がいのある当事者やその介助者のうち、実に45人中39人(約85%)が「既製服のデザインや着脱しやすさに何らかの悩みを抱えている」と回答。高齢化が進んでいることも相まって、着脱のしやすさや機能性を備えた衣服への潜在的ニーズは今後さらに高まることが予想される。今回の協業は「ファッションの力で、人々を豊かにしたい」という両社の想いが一致したことから実現した。
新たなギミックの開発を継続的に行う
株式会社WeOur Play fashion! for ALL プロジェクトリーダーである、大谷知加子氏は本件について次のようにコメントする。
「私たちは、『すべての人が当たり前に好きな服を好きなだけ。fashionを楽しむ社会を創る』ことを目指し、プロジェクトメンバーの車いすユーザーや障がいのあるスタッフ、イベントに参加して頂いた方々からリアルな声を集めています。市場には多くの着やすい福祉服がありますが、当グループ(アンドエスティHD)の強みでもあるマルチブランドを活用したファッション性と機能を兼ね備えた着やすいインクルーシブウェアを提案いたします。今回ZOZO様との協業により新たな価値提供へ挑戦しています」
今後は、顧客からのフィードバックを反映しながら、アイテムのバリエーション拡充や新たなギミックの開発を継続的に行っていく予定だ。
車いすユーザーや介助が必要な人、介助を行う人などこれまで衣服の選択に悩みを抱えていた人々にとって、ファッションをより自由に楽しむための新たな選択肢となるだろう。
※1:年齢、性別、身体的特徴、障がいの有無などにかかわらず、誰もが快適に着用できることを目指してデザインされた衣服。