約7割の企業が「物流の2024年問題」の影響を実感 ユーピーアール調査

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ECのミカタ編集部

物流の2024年問題、企業の7割が影響を実感 対応策の鍵は「パレット輸送」と「企業間連携」へシフト

ユーピーアール株式会社(以下、ユーピーアール)は2025年7月23日、「物流の2024年問題」に関する調査結果を公表した。回答者の主な属性:業種は倉庫/運輸(46.5%)、メーカー (31.1%)、卸(12.2%)等。「物流の2024年問題」による事業への影響度に関して、69.5%が「影響が出ている」と回答した。

調査概要

◆調査期間:2025年2月27日~3月21日
◆調査方法:オンラインアンケート
◆有効回答数:843名
◆回答者の主な属性
▷業種:倉庫/運輸(46.5%)、メーカー(31.1%)、卸(12.2%)等
▷企業規模:大規模企業(40.1%)、中規模企業(42.7%)が中心
◆出典:【調査レポート】物流の2024年問題の影響と今後3年の針路(ユーピーアール株式会社)

約7割の企業が「物流の2024年問題」の影響を実感

本調査において「物流の2024年問題」による事業への影響度を質問したところ、全体の69.5%が事業への影響を実感していることが明らかになった(「すでに大きな影響が出ている」「一部に影響が出ている」の合計)。

業種別にみると、物流の当事者である「倉庫/運輸業」だけでなく、荷主側の「メーカー」や「卸売業」も影響を認識しており、サプライチェーン全体に広がる課題であることが浮き彫りになった。

フリーコメントとして「運賃・物流費の高騰」や「車両・チャーター手配困難」といった声が多くあり、ユーピーアールでは「コストと輸送力の両面で企業活動が圧迫されている実態が示された」とみている。

また、影響を実感している回答者に「直近で解決すべき具体的な課題」を質問すると、「人手不足」(56.1%)と、荷役作業の負担となる「手積み手下ろし(手荷役)」(50.8%)が二大課題として挙げられた。

「人手不足」が3年前より深刻化

今後3年間で自社が検討すべき物流課題の有無をたずねたところ、「ある」と回答した企業は87.2%にのぼり、3年前調査の79.8%から7.4ポイント上昇。課題の内訳で最も多かったのは「人手不足」(67.3%)で、3年前の50.0%から17.3ポイントと増えている。

ユーピーアールは本結果について、「単なる人手の『量』の問題だけでなく、『能力ある人材の不足』や『後進育成』といった人材の『質』に関する課題が指摘されました」とコメントする。

「パレット輸送」と「連携」が鍵に

さらに「将来課題の対応策」を質問したところ、「パレット輸送の推進」を挙げる企業は48.6%にのぼり、3年前の25.4%から23.2ポイントも増加。荷役の効率化と標準化が、人手不足を解消する切り札として強く期待されていることがうかがえる。また、自社単独では課題解決が難しい状況を背景に、「外部パートナーや物流会社同士との連携」(39.3%)が対応策の上位にあがった。

ユーピーアールは本結果を受け、今後の持続可能な物流体制の構築には、「徹底した効率化・標準化」「企業間での『連携・協調』」が不可欠であると指摘。また、「透明性の高い情報共有のもと、サプライチェーン全体でコストとリスクを分担し、持続可能な関係性を築く視点も不可欠である」とも。持続可能な物流実現へ向けた各企業の動きを、引き続き追っていきたい。