国土交通省、再配達率減少に「ポイント還元実証」の効果を発表

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ECのミカタ編集部

「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の提言を取りまとめました

国土交通省は2025年11月7日、「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」の提言を取りまとめて発表した。本記事ではEC事業者へ向け、関連する内容を一部抜粋して紹介する。

EC市場は10年間で約1.9倍に拡大

EC市場の規模は、2015年(平成27年)から2024年(令和6年)の10年間で、約1.9倍の規模に拡大している。

インターネットを利用した1世帯当たりの支出では、日用雑貨の割合が最も高く、その購入頻度も高い傾向にある。この動きが続くことで、ラストマイル配送を担うドライバーの負担がさらに増大する懸念が示されている。

※画像元:ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会取りまとめ 参考資料集(日本郵便株式会社 他)

宅配便取扱実績についても年々増加を続け、2024年度(令和6年度)には約50億個となった。2019年度(令和元年度)と比較すると、約1.2倍増加している状況だ。

※画像元:ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会取りまとめ 参考資料集(日本郵便株式会社 他)

再配達率は徐々に減少

コロナ禍以前、約15%程度で推移していた宅配便の再配達率は、2025年(令和7年)4月時点で大手宅配事業者3社の合計数値が9.5%、宅配に関わる大手事業者6社ベースの合計数値が8.4%まで減少してきている。

一方、関係閣僚会議で決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づく再配達率の12%から6%への半減目標の実現に向けては、更なる取組が不可欠となっている。

※画像元:ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会取りまとめ 参考資料集(日本郵便株式会社 他)

ポイント還元実証事業による宅配便の再配達率の減少効果は、2024年(令和6年)10月時点の再配達率(10.2%)と比較して、「1回受け取り」で最大 1.2%ポイント減少、「置き配」で最大 3.1%ポイント減少という結果が得られた。物流効率化に寄与していることが、可視化された。

こうした宅配便の多様な受取方法については、消費者からも利便性・満足度が向上したとの声があることから、その積極的な活用に向けた消費者の行動変容と意識改革を促していく必要があるとした。

※画像元:ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会取りまとめ 参考資料集(日本郵便株式会社 他)

配送に関する選択肢を増やしていくことも必要

多様な受取方法に対する今後の取り組みについて、国土交通省は次のように説明する。

「ポイント還元実証事業の結果も踏まえ、こうした会員サービス等を通じて多様な受取方法を活用するような消費者の行動変容・意識改革を促していく必要がある。(中略)また、サプライチェーン全体の物流負荷を低減するためには、再配達削減に向けた多様な受取方法に加え、即日配送ではなく一週間後の配送など、物流に配慮した注文方法に関する消費者の選択肢を増やしていくことも必要である」

現在、宅配ボックスの設置や自動配送ロボットの活用など、さまざまな取り組みが進められている。EC事業者としても、消費者への呼びかけや物流体制の最適化を通じて、持続可能な配送環境づくりに貢献していくことが求められる。