8月の飲食料品値上げは前年比1.5倍の増加 帝国データバンク調査
株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2025年8月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析を行い、7月31日に公表。同調査によれば主要食品メーカー195社における、家庭用を中心とした8月の飲食料品値上げは1010品目で、単月の値上げ品目数としては3ヵ月連続で1千品目以上の推移であるという。
調査概要
品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。
◆調査機関:株式会社帝国データバンク
◆出典:「食品主要195社」価格改定動向調査―2025年8月 (株式会社帝国データバンク)
3ヵ月連続で1千品目以上の推移
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした8月の飲食料品値上げは1010品目、値上げ1回あたりの値上げ率平均は11%となった。前年8月(661品目)から+349品目・+52.8%となり、単月の値上げ品目数としては3カ月連続で1千品目以上の推移となっている。
また、1月以降8ヵ月連続で前年同月を上回った。連続増加期間としては記録的な値上げラッシュの1年となった2023年2~7月を上回り、前月に続き2022年の統計開始以降で最長を更新している。
「調味料」の値上げが最多
2025年8月の値上げを食品分野別に集計すると、だし製品のほか、ポン酢やたれ製品を中心とした「調味料」(470品目)が最多。「乳製品」(281品目)は、加工向け生乳取引価格の引き上げによる影響を受け、牛乳やチーズ、ヨーグルト製品など幅広い品目で一斉に値上げとなり、2025年内では3月(284品目)以来の高水準となった。「加工食品」(109品目)では、冷凍食品のほか、包装餅などで値上げとなるものの、単月としては2025年内で1月(58品目)に次ぐ少ない水準となった。
2023年以来、年間2万品目台への到達は確実
今後の見通しについてTDBは、「10月の食品値上げ予定品目数が今年4月以来となる3千品目超えでの推移が見込まれ、2025年内では4月(4225品目)に次ぐ値上げラッシュとなる見通し。通年の値上げ品目は、2023年以来2年ぶりに年間2万品目台への到達は確実とみられ、今後の動向次第では飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年(2万5768品目)の水準に並ぶ可能性がある」と予測している。
2025年の飲食料品値上げは、原材料高に加えて物流費やエネルギーコスト、賃上げによる労務費など、粘着性の高い物価上昇(コストプッシュ)圧力を受けた値上げの勢いが強まっている。
国内外の天候不順による供給量の不安定化や、円安による輸入コストの上振れ、人手不足に伴う人件費の増加は今後も続くとみられる。さらに、一時的なコストプッシュに対応するための措置から、恒常的なコスト増を見越した値上げ戦略へ移行する動きも広がりつつある。こうした背景から「食品の値上げは長期化する可能性が高い」とTDBは見ている。
引き続き、最新の動向を注視していきたい。