約6割のシニア層が「デジタル機器」の利用に苦戦 コスモヘルス調査
コスモヘルス株式会社(以下、コスモヘルス)は2025年9月24日、50歳以上のシニア層の「お困りごと」に関するアンケートリサーチの結果を公表した。本記事ではシニア層をターゲットにするEC事業者に向け、一部内容を抜粋して紹介する。
調査概要
◆調査方法:ネットリサーチ
◆調査地域:全国
◆対象者 :「コスモラボ」のアンケートモニター
◆回答総数:441
◆調査対象期間:2025年8月20日
◆調査元:コスモヘルス株式会社調べ
◆出典:シニア層の「困りごと」実態調査レポート 2025年(コスモヘルス株式会社)
デジタル格差が6割近くのシニアに影響
「日常生活で困っていることを教えてください」と質問したところ、「デジタル機器やインターネットの利用の難しさ」(59.9%)という回答が突出して高い割合となった。次いで「家事の負担(掃除・洗濯・料理など)」(23.8%)や、「移動や交通手段の不便さ」(22.4%)、「病院や役所などの手続きの大変さ」(18.8%)が挙がった。
デジタル格差が、6割近くのシニアに影響している事実は深刻だ。現代社会の情報化やサービスのデジタル化が進む中で、シニア世代が取り残される危険性を示しているといえる。
6割以上が物価上昇に不安
続いて「社会や人との関わりで、不安・悩みを感じていることを教えてください」と質問。「新しい人間関係を築く機会が少ない」(28.1%)や、「詐欺・悪質商法への不安」(26.8%)、「近所や地域とのつながりが薄い」(24.7%)、「友人との関係が希薄になっている」(22.7%)がほぼ同水準で上位を占めた。
社会参加における課題が多様化していることが明らかで、単純な孤独感だけでなく、新たな人間関係構築の困難さや詐欺被害への恐れなど、複合的な問題が存在している。
「経済面で不安・悩みを感じていることを教えてください」については、「物価上昇」(63.3%)が最多に。次いで「老後資金が足りるかどうか」(59.6%)、「予期せぬ出費への備え」(54.2%)がいずれも過半数を占めた。
終活への取り組み意識が高まる
「介護・終活面で不安・悩みを感じていることを教えてください」という質問では、「介護にかかる費用の負担」(49.7%)が最多となった。
コスモヘルスは「介護費用への不安が約半数に達している結果は、介護保険制度があっても自己負担部分や制度外サービスへの経済的懸念が大きいことを示しています。生前整理への関心も4割近くあり、終活に対する具体的な取り組み意識が高まっていることが分かります」とコメントしている。
「健康や暮らしをより良くするために、現在意識して行っていることはありますか」という質問には、次の回答が挙がった。「規則正しい生活リズムを心がける」(59.9%)が最多で、「バランスの取れた食事を摂る」(58.7%)、「適度な運動」(56.0%)、「健康診断や検査の定期的な受診」(55.8%)がいずれも5割を超えている。
本調査により、シニア世代の困りごとが健康を中心とした複合的な課題構造を抱えていること。加えて、デジタル格差や経済不安、社会参加の困難が相互に関連していることが明らかとなった。
視点を変えればシニア層をターゲットとする事業者にとっては、こうした課題感を解決していくアプローチが有効といえる。健康維持支援やデジタル格差の解消、経済的安定の確保、社会参加促進をキーワードにしながら、今後の施策のヒントにしたい。