通販企業の成功の仕掛け人DM0田村氏に聞く“成功する企業の共通点”

ECのミカタ編集部

株式会社ダイレクトマーケティングゼロ 代表取締役 田村雅樹氏

 競争が激化するEC業界において、成功しているメーカー・通販企業の秘密を探っていると、各社が口を揃えてある会社を評価していることに気づいた。ある会社とはどこか。それは、KPIベースドのCRMコンサルティングで企業を成功へと導く、株式会社ダイレクトマーケティングゼロ(以下、DMゼロ)だ。今回特別に、成功の仕掛け人であるDMゼロ 代表取締役 田村雅樹氏にお話を伺うことができた。田村氏のEC/通販に懸ける想いから、成功する企業の共通点を探っていく。

通販企業の成功の裏にはDMゼロ、田村氏の想いを探る

通販企業の成功の裏にはDMゼロ、田村氏の想いを探る

 DMゼロが掲げるビジョンに、「世界をダイレクトマーケティングだらけにする」というものがある。ECでいえばモールなど、今やどのような事業においても消費者と生産者の間に入ってビジネスを展開する存在というのは当たり前となっているが、なぜDMゼロは「ダイレクトマーケティングを広めていきたい」と考えるのだろうか。

 「僕、なんだかんだでダイレクトマーケティングという世界が好きなんですよね。ダイレクトマーケティングであれば、生産者とお客様が直接繋がれて、生産者にお客様の声も届きやすくなりますし、余計なマージンもかからないから、お客様にサービスを手厚くできる。でもダイレクトマーケティングを広めていくためには、メーカーさん自身にノウハウが必要ですよね。元々僕も通販メーカー出身なんですけど、メーカー時代に、本当の意味でパートナーとして自分達と同じレベルでビジネスを考えてくれるBtoBの会社がなくって。だからこそ、真の意味でお客様視点になれるパートナーとしてメーカーさんを応援したいと思ったんすよ。」と田村氏は語る。

 時には経営者の立場で、時には同僚として。DMゼロはこれまで500社以上の企業をサポートしてきた。サポートといっても、単純なものではない。田村氏が「500社支援=転職回数500回」と表現するように、DMゼロは、クライアントである通販事業会社それぞれの一社員としてビジネスや商品を愛し、徹底的に寄り添って企業のことを考えている。

 「僕もそうですが、DMゼロの社員は通販メーカー出身者が中心です。だからこそ、クライアントに対して親身になって課題を解決し、結果にコミットできるんです。というより、その企業の社員であれば、自分の会社の事業にコミットするのは当たり前。成果にコミットして、成功を一緒に楽しめるのが一番良いですよね。」

 このように、様々な企業をサポートしてきた田村氏だからこそ、“成功する企業の共通点”についても独自の見解を持っている。

成功する通販企業の共通点とはなにか

成功する通販企業の共通点とはなにか

 田村氏は、まず「社員が一体感を持って仕事を楽しんでいる企業は強い」と語る。企業規模は関係なく、売上が2億円の企業にしても50億円の企業にしても、一体感を持ってビジネスの成功を目指せる企業は強い。しかし、一体感だけでは成功に近づけない。

「やはり、自社のサービスや商品に対して愛情を持っている企業は伸びていきます。一方、ただサービスや商品を愛しているだけではなく、お客様の事を考えサービスや商品を改善していけるかどうかということが重要ですね。自社の商品に誇りを持ちつつ、その先にいるお客様の事を考えてマーケットに受け入れられる商品に育てていけるかどうかが、成功する企業の共通点のひとつでもあります。」と田村氏は語る。

 また田村氏は、お客様を“ナチュラルに”大事にできている企業も伸びていくという。なぜそのように思ったのか。

「実は以前、DMゼロがクライアントの休眠復活施策を支援した際、お客様から『商品を10年も使っているのに“以前お使いだったあなたさまへ”という言い方は何事だ』と2時間にも及ぶお叱りを受けたことがありました。その際、クライアントのご担当者様が『DMゼロの皆さんにはどうしても一緒に聞いてほしい』と仰って2時間フルでお客様のお声を聞かせてくれたんです。お客様のお声をすごく重く受け止めているのを見て、僕らもそれまで以上にそのクライアントさんのお客様のことを考えるようになったんすよ。僕らも含め関わる人間全員が『お客様を大切にしたい』って思ってれば、何気ない態度や言葉に現れるものだと思うんです。そしてそこから好循環が生まれるんじゃないですかね?」

 ナチュラルにお客様を大事にしている企業は、商品やサービスを利用するお客様と実際に会うことも積極的に行っている。「ECや通販はお客様が見えないからこそ、お客様と会う必要があります。実店舗だったらお客様の反応を見る事ができますが、ECは商品を買ったのか買っていないのかということしかわかりません。なので、DMゼロもクライアントと一緒にお客様と会う時間を大切にしています。」

 最後に、田村氏は「新しい事も信頼して突っ込んでやりきることができる企業も強い」と語った。「パートナーの目利きや信頼関係の築き方が上手だから、周りを上手く巻き込んで成長していけるんだと思うんすよね。お客様のことを大切にしていて、自社の商品の事も大好きで、DMゼロの事も信頼してくれて、夢や目標を持っている企業だったらそりゃ応援したいですよね。」そう話す田村氏に、どのようなタイミングが企業の成功のゴールだと考えているのか、伺ってみた。

“もういいっすよ”と言われたい

“もういいっすよ”と言われたい

 DMゼロは、一般的なコンサルティング会社では考えられないくらい幅広いサポートを行っている。例えば「組織に介入して人事評価に関わったり、配送料について提案をしたり、システムの要件定義をしたり、社内調整をすることもあります(笑)」その企業の社員であるという姿勢を貫くことで一緒に成功を目指しているのだ。

 「一緒に成長してお互いにWin-Winの関係になれるのが一番良いと思いますし、やっぱりステージが変わったと言われるのは嬉しいです。例えば、6年ほどサポートをしている会社さんは、当初から売上が20倍以上に成長しています。でもゴールとしては、“もういいっすよ”と言われることが本当の成功なのかもしれないですね。」と田村氏は語る。そんな顧客目線のコンサルティングが評判を呼び、「現在多くの引き合いをいただいており、新規でコンサルティングをお受けできない状況」だという。

 今は大手や中堅以上の通販企業を中心にコンサルティングを行っているDMゼロだが、根っこのマインドは「困っていたり悩んでいる企業を助けたい」だそう。なぜそこまで他社支援に打ち込むことができるのだろうか?

「いや、だって僕もともと起業しようと思ってたわけじゃないんすよ。でもね、新潟に旅行した時“和ろうそく”ってのを見たんすよ。で、その作ってる姿が圧巻で。溶けた蝋の中に手をつっこんで芯に巻いてくんです。何度も何度も乾かして、つけて。それ見て、こんな大変な思いをして作ったろうそくを、100円で売っちゃうの?って思ったんです。売り方さえ、売り方さえこの職人さんが知ってたら…って。この光景を見て、自分がメーカー時代に探していた、顧客目線のBtoB会社を自分でやろうって思ったんです。ダイレクトマーケティングの力を借りて、メーカーさんと一緒に、良い物をその魅力と共に消費者へしっかりと誠実に届けたい。それに、消費者も魅力を理解したうえで商品を購入できれば、満足度が変わってくるはずでしょ?」

人が好き、メーカーが好き、ダイレクトマーケティングの世界が好き

人が好き、メーカーが好き、ダイレクトマーケティングの世界が好き

 DMゼロは自らが目指す姿として、「世界一結果に責任を取れる通販コンサルティング会社」ということを掲げている。“責任を取る”というのは、簡単に口にできることではない。「いや、だからクリエイティブも自社でやるんですよ。儲かんないけど」と田村氏は笑う。

 そんなDMゼロの姿勢からは、有言実行するだけの強さ、そして器の大きさを感じられる。「桁違いの覚悟」という言葉が適切かもしれない。DMゼロでは、施策が想定レスポンスに達さなかった際、自腹を切って再チャレンジさせてもらうこともあるという。EC/通販企業の成功の秘訣はなんだろう? という軽い気持で、オフィスを訪れたのだが、取材を通じ正直なところ、「責任を負う」ことへのコミットの強さ、一語一句の重みに圧倒されてしまった。

 DMゼロというと、CRMにおけるKPI管理やマーケティング理論に基づいたコンサルティング企業という印象なので、EC/通販企業が成功するためには、きっと緻密な分析力や「Golden route戦略」などのフレームワークが重要なのだと思っていた。しかし、意外にも成功の要因としたのは、「社員が一体感を持って楽しむ」「商品愛と商品改善」「真の顧客愛」「挑戦心」という、非常に根本的な部分ばかりだった。もちろん、戦略部分に関してはDMゼロがサポートしてくれているからというのも大きいのだろう。

 ただ、改めて考えると、ECというのはあくまでもチャネルである。小手先のテクニックではなく、「顧客満足を考え抜く姿勢」こそが、たった一つの成功の秘訣なのではないだろうか? DMゼロのCREDO(行動規範)である「Client 1st, Consumer 1st」の文字がそのことを物語っている。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事