ECは手元に届くまでのトータルエクスペリエンスです。

ECのミカタ編集部

インスタントECサービスやフリマ系アプリが続々と登場し、さまざまなプレイヤーが入り乱れ活性化するEC市場。国内22,000店舗の導入実績を誇るショッピングカートを運営する、GMOメイクショップ(株)代表取締役社長の向畑氏が思い描く、EC業界の未来をうかがった。

——最近のEC業界について、どのように感じられていますか。

にわかに活気づいていますし、消費者市場でいうならば伸びていっている。EC化率も上がってきている。とはいってもまだ全小売市場の95%はリアルで、5%のEC化率が10%になるか20%になるか。いずれにせよアップサイドは大きいですよね。BtoCの小売市場はもっと成長していくでしょうし、相関関係にあるEC支援事業も成長していくでしょう。モールの手数料無料という動きがあったり、インスタントカートといわれる無料サービス、フリマ系のアプリなど、ツールやサービスもデフレ化の方向にいっている。ただ、それぞれはあまり競合しないと思っています。その証拠に、彼らも伸びているが我々も影響を受けずに伸びている。ユーザーが使い分けているのでしょう。

——さまざまなサービスがある中で、メイクショップのショッピングカートはどんな特徴があるのでしょうか。

――さまざまなサービスがある中で、メイクショップのショッピングカートはどんな特徴があるのでしょうか。
向畑:ぜひ使っていただきたいと思うのは、とにかく本気でネットショップをやりたい、商売をしたい、儲けたいというお客様です。だからITリ テラシーが高いとか低いとか、予算があるとかないとかではない。「あまりコストはかけられないけど本気でやりたい」というショップであっても、ぜひこのサービスを使っていただきたい。ネットショップは成長するものです。ショップがちゃんとできていれば、集客すれば売れるんですよ。ただ、売れたら売れたで困るのもネットショップ。成長した時のスイッチングコストって結構かかるので、そこまでちゃんと考えてやらないと数百万円の壁を超えていけない。だから最初からMakeShopのように高機能なサービスを使っていただくと、目指すべきゴールも早まりますし、拡張性や運用性も困らない。さらにその次を目指していけます。

――メイクショップが描く、ECの未来像を教えてください。

私が提唱しているのは「ECは手元に届くまでのトータルなエクスペリエンス」だということ。いかに付加価値を提供するかです。例えば、物流を「コスト圧縮」で考えるのはちょっと古くて、「戦略物流」という考え方で付加価値を提供していくのが重要です。きっちりパッケージされ て欠損なく届く、というのは最低限のこと。贈り物であれば届いたときの見栄えや感動が大事になってきますし、手元に届いたときの体験で、お客様のロイヤリティを上げるような驚きや付加価値を感じさせることが可能だと思う。企業側からすればマーケティングとしても使えるはずで、アップセル用の同梱物を入れるとか、リピートを促すような販促施策がそこでできるでしょう。エンドユーザーが求めているECの体験というのは、商品や使用用途によっても違いますので、日常消費材であればもっと買いやすく、というところ。コモディティ化した商品はAmazonのようなショップの方が有利は有利ですが、個々のショップが各自工夫して違う強みを持ち、それを軸に売り方を作り上げている。「どこで買っても同じだけど、ここで買う」という付加価値を提供するために、我々はECショップが「やりたい」と思ったことができるようなサービスを用意し、一緒に やっていきたい。ショッピングカートというのは狭義で考えられることが多いと思うんですが、今後は川上から川下まで、ショッピングカートの前後や周辺領域も含めた総合ECプラットフォームを広く提供していきます。

——最近ではリアル店舗でもECショップを持つのが当たり前になってきています。

向畑:EC市場では、今後はメーカーやブランドがどんどん小売りに参入してくるでしょう。既存の流通にのっていた人たちが、今後どうするかが問われてきます。競争優位の源泉を考えた時、企業は一面で語れるものではありません。川上から川下までトータルで支援する時、フロントのECのシステムだけではなく、既にあるシステムや倉庫との連携などが必要になってくる。メイクショップでは、オムニチャネルやリアルなアセットを含め、川上・川下でリアルと繋がっているECに、トータルでサービス提供してこうとしています。
本気で商売をやっているECにおいて何がポイントかということを考えると、大事なことは集客だと思いがちなのですが、実際はそうでもないんです。モールは確かに活用すべきなのですが、それが必ずしも最重要であるとも限らない。広義でのECを提供していくMakeShopは、競合他社とは違う進化形をとっていきます。


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