人的対応はAIに勝る!! “攻めのコールセンター”活用で業績アップを目指せ
AIを活用したチャットボットによる顧客対応など、EC業界ではテクノロジー志向の機能が注目されがちだ。確かにITを駆使した顧客対応は業務効率を高める効果はあるが、真に人を動かすためには人的対応の方が勝っていることは明らかだ。圧倒的な機動力と緻密な運営でコールセンターを展開する、スリーコール株式会社(以下、スリーコール)の代表取締役社長 天野 利泰氏に、コールセンターの重要性などについて伺った。
顧客が「自分は大事にされている」と感じるのは、リアルに会話している時
“どれほどAIが人間に近づいてもコールセンターが廃れることはない”、と天野氏は断言する。
「実は、顧客が“自分は大事にされている”と感じるのは、人対人の直接的なコミュニケーションをとっている時なんです。そして、ECショップなどが直接的にコミュニケーションするシーンは電話が基本です。全国各地にいる顧客に対して、訪問してコミュニケーションをとることは不可能ですから。
つまり、コールセンターの機能はECショップにとっては極めて重要であり、AI接客などがどれだけ進化しても、コールセンターが廃れることはありません。現にコールセンター市場は伸びています。インハウス型(自社内にコールセンターを設置する型)は縮小傾向にあるのですが、要はコールセンター機能を自社内に持つのではなく、アウトソーシングによってコストパフォーマンスを高める方向にシフトしているということです。現在、BPO市場は8000億円市場といわれますが、近い将来は1兆円市場になる、と考えています」と天野氏はコールセンター市場が拡大基調にあると分析する。
コールセンターのアウトソースで成功するためには、ゴール設定が重要
コールセンター機能を、スリーコールに委託すべく相談にきたECショップや通販企業などに対しては、まず「ゴールの設定」を明確にするところから始めるという。
「何のためにコールセンターをアウトソースするのか、目指すべきゴール・成果は何か、ということを明確にするところから、私たちの業務はスタートします。目指すべきゴール設定を明確にした上で、その実現のためにどのような体制を整えるのが最も近道になるのかを考え、そしてその仕組みを提供することで、クライアントと一緒に事業活動を実施するのが、私たちスリーコールの役割だと考えています」。
しかし意外にも、適切なゴール設定ができている企業は少ないという。
「例えば、商品は男性向けかもしれないけれど、販売ターゲットはむしろ女性で、男性へのプレゼント用に購入してもらうようなプロモーションの方が効果的な場合もあります。そうした商品であれば、目指すべきゴールは“女性に購入してもらう”ということになるのですが、これまで男性向けに販売してきているとそうした視点に気づかないものです。私たちは積極的にそういう提案をするところから、クライアントと一緒にゴールを考えていきます」。
また、スリーコールでは“電話件数を減らすための提案やアドバイス”も積極的に行なうのだそうだ。
「電話の件数でお金をいただいている会社なのに、矛盾した話に聞こえるかもしれませんが、できるだけ電話件数を減らす方向で、コンサルティングを行うケースもあります。例えば、サイトのユーザビリティが不適切であるために、必要以上に電話問い合わせの件数が過大になっているようなら、サイトの改善を提案します。見せ方やサイトの構造を変えるだけで、問い合わせ件数を減らせるのであれば、無駄な経費をかけずに済みます。私たち自身の成長は、クライアントの成長によってもたらされるものだと考えています。ですから、自分たちの売上を伸ばすことよりも、クライアントの売上・利益を伸ばすお手伝いをすることが最優先なんです。私たちのミッションは、クライアントの売上・利益に貢献することであり、そこに貢献できない仕事はするべきではないと考えています」。
圧倒的な機動力で、インバウンドもアウトバウンドもワンストップで提供
スリーコールの強みは、何といっても、アウトバウンドの強さと、その機動力の高さにある。
「インバウンドもアウトバウンドもワンストップでお請けできることは当然のこととして、例えば新商品が発表された時点での営業コールであったり、残ってしまった在庫を一掃処分するための販促コールなどのアウトバウンドなら、1日で8万人ぐらいまでに対応できる体制を確保できています。アウトバウンドの機動力は、大きな強みだと自負しています」。
スリーコールの機動力は、コール数だけではない。「案件によっては、クライアントがご相談に来た翌日から業務をスタートさせることも可能です。」と天野氏は言う。スタートアップの機動力も群を抜いているといえるのだ。
元々、天野氏は債務整理を取り扱う法律事務所での業務経験があり、その経験を活かして、センシティブな内容や、個人情報についての管理体制も高度な次元で確立されている。
「私たちの業務では、個人情報を扱うことが多いので、情報管理に関して、高度なセキュリティ体制を敷くことは当然のことだと考えています」。
自社内、在宅、携帯、そして全世界、やがてはその先へ
スリーコールでは、コールセンターの代行をメインとしつつも、クライアントがインハウスのコールセンターを構築したいという要望をもっている場合には、そのコンサルティングも手掛けている。
「EC関連のクライアントに対しては、サイト構築・デザイン、そしてコールセンターの構築に関するコンサルティングまで、トータルで対応しています」。
そして、スリーコールが目指す未来とは、ECビジネスにおける“@lab(アットラボ)”だという。
「自社内に電話オペレーターを置いてコールセンター業務を行うことを、私たちは@office(アットオフィス)と呼んでいます。そして、現在構築中で近々に稼働する予定なのが@room(アットルーム)です。これは、在宅(自分がいる部屋)でオペレーターとして業務遂行する形態を指しています。さらにいえば、事務所や自宅にいなくても、モバイルがあればオペレーター業務を遂行できます。それを@mobile(アットモバイル)と呼んでいます。いずれそういう時代が来ると見越しています。そして、国境を越えてコールセンターを構築することが@global(アットグローバル)です。
しかし、私たちが描く未来は、そこにとどまりません。その先にあるのは、@lab(アットラボ)です。これは、商品開発などのECショップにおける中核的な業務以外のすべての業務を、私たちがトータルでバックアップできるようなサービスを提供することを意味しています。“商品には自信があるのだが、それ以外の業務をうまくやれない”というEC事業者は少なくありません。私たちは、そうしたEC事業を支援・育成して行ける仕組みを将来的には構築したいと考えています」。
スリーコールが描く未来像は壮大である。しかし、その壮大な未来像を実現できるだけのノウハウをスリーコールは持っているといえるだろう。
もし、コールセンターについて何らかの課題をもっているのなら、スリーコールのドアをノックしてみることをお勧めしたい。
それによって、EC事業者自身が気づかなかったコールセンターの可能性を見出すことができ、また、コールセンターを活用することによって実現することのできるEC事業者自身の成長が見えてくることだろう。