プリントパックが考える「EC業界への恩返し」と、 驚くほど安く、質の高いサービスを続けられる秘訣とは!?
印刷通販のリーディングカンパニーとして、現在業界ダントツの100万を超える登録ユーザーを持つ、株式会社プリントパック(以下、プリントパック)。
「誰もが印刷物を発注できる世の中をつくること」を使命とし、驚くほど低価格で、かつ質の高いサービスを提供し続けている。
顧客の幸せを第一に考えながら、常に時代のニーズに応え続ける同社の姿勢を、ぜひ多くのEC事業者に知ってほしい。継続して事業を続けていくための、ヒントがきっと得られるのではないだろうか。
人や企業の想いをのせた印刷物を、誰もが発注できる世の中に
プリントパックの印刷代は、安い。どのくらい安いのかというと、名刺の両面カラー100枚で430円(税・送料込み)。他の印刷物も同様に、驚きの低価格である。同社の社員も「価格を聞いたお客様から『本当に?』と驚かれるほどの安さを追求する、それがこの会社の考え方なんです」という。
このためプリントパックの顧客には、一流企業から中小企業、街の商店主、さらには小学生だと思われるようなリピーターさえもいるという。まさに同社の使命とする「誰もが印刷物を発注できる世の中をつくること」を実現しているのだ。
しかし、この価格は「安売り」ではない。むしろ同社は「単なる安売りは恥ずかしい。お客様のために、安く印刷を提供したい」というこだわりを持っている。
そもそもプリントパックがそのような考えにいきついたきっかけは、1970年代に、オフセット印刷の焼付分野で創業した直後の出来事にある。
その頃、同社は将来もっと会社を大きくするために、求人活動を行っていた。高校を卒業する生徒を紹介してもらうべく、ある高校の先生に掛け合うと「就職課で求人票をもらう必要がある」とアドバイスを受けた。そこで求人票を受け取るために就職課へ行くと「親御さんに説明するために、会社案内が必要ですよ」と言われた。そこで会社案内を制作したが、印刷しようという段階になって、印刷会社から来た見積もりには、数百万円の文字があった。
その金額は、当時、先代社長と20名の社員が夜中まで作業し、時代ゆえ休みはなかなかとれずといった状態で、一生懸命残してきた利益と、ほぼ同額だった。しかし、良い人材を採用するために、会社案内をぜひ作りたい。現会長である先代社長は、清水の舞台を飛び降りる気持ちで、社員たちに心で詫びながらその金額を払い、会社案内の発注を決めた。
このときに彼が思ったのは「こんな価格では、印刷は一部の人間のもので終わってしまう。個人でも、中小企業でも、大企業でも、印刷物を欲しいと思う人が、必要と思うときに、必要なだけ印刷を手に入れてもらえる社会を作りたい」ということだった。
印刷物は、人や企業の想いを伝えるためにあるものだ。街のレストランがつくるチラシは「おいしい料理を提供して、お客様に幸せになってほしい」という想いを、企業がつくる商品ポスターは「便利な商品を使って、生活をもっと楽にしてほしい」という想いを、印刷物にのせている。さまざまな想いを届ける印刷物を、一部の人たちだけのものにしてはいけない。彼はそう考え、同時にプリントパックは「誰もが印刷物を発注できる世の中をつくること」という使命を授かったのだ。
「損して得する」の徹底した考え方が、経営陣から社員にまで浸透
安く、スピーディーに、質の高いサービスを、安定的に提供する。そのために同社の経営陣から社員たちまでが一貫して持っているのは「損して得する」の心構えだ。
そのベースには、先代社長が人生訓としている、二宮尊徳の教えがある。たとえば「積善の家には必ず余慶あり。積不善の家には必ず余殃あり」は「善を積む家には良いことが起こる。不全を積む家には必ず良くないことが起こる」という言葉。「桃を植えれば桃ができ、茄子を植えれば茄子ができる」は「よいことをすればよいことが起こる」というもののたとえだ。
とくに人間は皆、三代先からの祖父母の恩恵を受けているといわれる。逆に考えると今、自分がどんな行いをするかによって、三代先までの運命は決まってくるというわけだ。それは会社でも、人でも同じだと、同社は考えている。
だからプリントパックは、よいことを積み、時には損をかぶってでも他者に奉仕する。そうして運を上げることが、将来の会社、そして社員たちのためになるとして、日々、実践している。
実際、先代社長の時期には、不況で取引先と共倒れになりかけたこともあるが、自ら損をかぶることで、両社が持ちこたえられたという経験もある。
また一定の業績を上げるようになってからも、現社長は中古車に乗り、先代社長も15年以上、同じ車に乗り続けるなどの生活をこころがけている。
経営者でありながら、こうして自分を律することは難しいはずだが「人は放っておいたら自分のことばかり考えてしまう。トップがいかに徳を積めるかどうかが、この会社の繁栄や、働く仲間たち、そしてその子孫の運命も決めるのだ」と常に身を引き締めている。
またそもそも、同社のサービスの価格自体が、徳を積んでいるといういい例かもしれない。質の高いサービスをスピーディーに提供しながら、これだけの低価格に抑えることは、並大抵の努力ではできないだろう。
もちろん、そんな経営陣の意識は社員にも伝わっている。毎年恒例の「経営計画発表会」では、社員代表の一人が、顧客への想いを第一において考案した、それぞれの決意を表明するのだという。
こうした社員一人ひとりの意識こそが、同社の安く、かつ質の高いサービスを支えている。
紙媒体減少の時代。ECという市場に巡り会えたから、起死回生できた
プリントパックは2002年にEC事業をスタートしている。当時、印刷業界でのEC進出はまだ珍しく、同社も「ネットで本当に売れるのか?」と手探りの状態だった。しかし製版事業の先細りが見えている中、これまでにも何度も新事業に挑戦し、そこそこいいところまではいくものの、世の中を動かせるだけの事業にはならなかった。EC進出にあたっては「これが起死回生、最後の最後のチャンスだ」と祈るような想いもあった。
実際、開店してからなかなか注文はこなかった。「オープンの日は、大阪に営業に行っていましたが、注文が入っているかどうか、PHSで何度も会社に連絡して確認していました」。しかし注文はなく、次の日も次の日も、1週間、2週間とたっても注文がこない。が、2ヶ月半たち、初めてポスター100枚の注文を受けることができた。
社長は、そのときの喜びを、今だに覚えている。「京都市内の方でしたが、うれしくてうれしくて、仕上がった商品を自分で届けに行ったんです」。さらにそれから急激に注文が増え始め、毎日遅くまでかかってでもご注文に応えていく作業にも、充実を感じられたという。
ネットを通じて、お客様から、見ず知らずの店舗がご注文をいただき、仕事をさせていただくことの喜び、ありがたさ。それを味わった経験があるから、プリントパックには、同じような気持ちでがんばるEC事業者に貢献したい、という気持ちが非常に強い。
名刺やチラシ、DMなど、ECに欠かせない印刷物を、規模の大小を問わず、数多くの事業者に安く提供することで、彼らを応援したい。さらにはそうすることで、同社にチャンスを与えてくれたEC市場への恩返ができれば、とも願っている。
安く、小ロットでのDM印刷から送付先選定、郵送までをも可能にしたい
ECスタートから15年。プリントパックは、衰退傾向にある印刷業界において「変化のないところにチャンスはない」という意識で時代のニーズに応え続け、今では変化の先頭に立っている。しかしそこに甘んじることなく、これからも変化し続ける。
新規事業も予定しているが、印刷と同様、どの業者と比べても一番安い価格を目指し、どんな人でも頼みやすいサービスにしたいという。
プリントパックは、このような取り組みをすることで、他の頑張っているEC事業者の力になりたい、ひいてはそれが、存続を許され、業界で最も多くのお客様にご利用いただくきっかけをくれたEC市場への恩返しになると考えている。
同社は語る。「お客様第一というのは、きれいごとに聞こえるかもしれません。でもそれをきれいごとではなく本当にできる会社でありたい。お客様を幸せにしたら自分たちも幸せになれる。そもそもありがとうと言われる仕事ができることは、純粋にうれしい。ありがとうと言われることをもっと増やし、そこに集中していきたいと思います」