新規集客が足かせに? CRM普及を掲げるE-Grant南雲譲史のジレンマからの脱却
前職の広告代理店時代は、新規の集客で実績を残していた株式会社E-Grant(以下、イーグラント)のセールスマーケティング部ソリューションチーム マネージャー 南雲譲史氏。EC通販CRMのパイオニアである同社の代表取締役 向徹氏との出会いで、その人生は一変することになる。本当に店舗のためになるのは新規開拓よりもCRMによる接客だ−−。南雲氏を開眼させた真のCRMとは?EC接客におけるCRMの重要性を伺った。
売り手だったアパレル時代・新規に注力した広告代理店勤務を経てCRMに出会った
もともとアパレル出身だったという南雲氏。その後広告代理店に転進し、店舗の新規集客において実績をあげていたという。
「与えられた予算の中で結果を出していました。でも新規のノルマをクリアしても、集客したお客様がリピーターになっていかない。ついには自分が担当していたショップが退店に追い込まれてしまったんです。新規の集客に投資することが、結果として店舗に損失を与えてしまっていた。『いくら新規を集めても固定客がつかないとダメだ』と身にしみました」そう南雲氏は言う。
新規の獲得単価に気を取られ、LTVの視点では売り上げがマイナスになっていることに気がつかない企業は多く存在する。自分のやっていることが本当に店舗のためになっているのだろうか?自らの仕事に疑問を感じながら日々を送っていた南雲氏に転機が訪れる。イーグラントの代表取締役であり、日本通販CRM協会の代表理事としてCRMの啓蒙・普及にも尽力する向氏との出会いだ。
「当時は『CRM』という言葉は聞いたことがあっても、名刺管理くらいのイメージしか持っていませんでした。向に出会い、はじめてCRMの本当の考え方を知ったんです。『お客様とコミュニケーションをとり、直接的にLTVを上げていくツールがあるんだ!』と衝撃を受けました。自分のやりたいことはこれだったのです」。
そして南雲氏は、向氏が代表取締役を務めるイーグラントに転職。CRMの重要性や取り組み方について拡めていく役割を担うこととなったのだ。
できている企業はわずか7%。LTVを上げる“本当の”CRMとは?
例えばリアルなアパレルショップなら、顧客には手書きのDMが届いたりする。それをECでどう実現していくかが、顧客との関係性づくりで重要になってくると言う。
「リアル店舗では顧客に合わせたコミュニケーションをしています。『先日ご購入いただいたボトムスにぴったりのニットが入荷しました』というように。効果検証までできている店舗は少ないものの、なんとなくCRMっぽいことをやっている。ところがECの場合は、それすらやっていません。全員に同じようなメールを流し、同じキャンペーンを打ち出しています」そう南雲氏は指摘する。
CPCが上昇しCPAが高騰する中、広告による新規顧客獲得には限界がある。体力のある会社しか、そこに資金を投じ続けられないのだ。ましてや人口が減少し顧客ニーズが多様化する現代、EC事業者は限られたパイを奪い合っている。既存顧客のLTVを上げていくのは必然とも言える。
「CRMとはステップメールやDMのことだと思っている方がけっこういる。そういった“点”の施策ではなく、既存のお客様を活性化させてリピーターになっていただき、売り上げを引き上げる“仕組み”が本当のCRM。それができているEC企業は、残念ながらわずか7%程度です。」そう南雲氏は話す。
多くのEC事業者は日々の業務に忙しくCRMにまでリソースを割けないのが実情だ。例え取り組もうとしてもノウハウがなく、分析データに基づく施策でなければ思うような効果は得られないだろう。ましてやその施策が効果的だったのかどうかの判断もできない。
顧客の分析と、それに応じた施策、そして効果検証。その3つのサイクルをまわしていくことで、はじめてLTVが上がっていくのだと南雲氏は言う。「イーグラントのCRMツールを導入していただいたお客様では、ツール対効果で870%の成果が出たケースもあります」と言うから驚きだ。“CRMツール”とはどういったものなのだろうか。
CPAの高さに頭を悩ませているなら、LTVを高めるCRMセミナーは必聴
顧客データの分析と活用を助けるCRMツール。例えばイーグラントのツールにある “フロー離脱分析”の場合、「どういった属性の顧客が定期購入の何回めで離脱しているか」「DMを送ったり同梱物を入れたりしたとき、どれくらいの効果があるか」というデータを可視化できる。
「CRMツールがあれば、分析データをもとに顧客に合わせた接客方法の改善ができます。限られたリソースで店舗運営をしていく中、自分たちで分析まで行うのは難しいですし、データは弾き出してもノウハウがなければどう分析すればいいのかわかりませんよね。ツールをうまく活用していかなければ、CRMを実践していくのは難しいでしょう」。
年代や購入経路、どの媒体から来店したのか……。そういったことまでを自社で分析し、次の施策につなげていくのは確かに難しそうだ。ではツールを入れさえすれば、CRMができるのだろうか? 「ルールメイクされているツールであれば、売り上げを上げるための分析と顧客の特性に合わせた改善ができる。それに基づきサイクルをまわしていけば、結果が出て当然なんです」南雲氏はそう断言する。
「ツールを提供する企業に実績があれば、ノウハウの提供も受けられるでしょう。イーグラントの場合はBtoCのEC通販で約450社の導入実績があり、だいたい類似した企業がある。だから『ここにこんな問題がありますよ』『こういう施策で成長した企業があるからやってみませんか』とノウハウを提供して支援させていただいています」。
今までCRMについて深く考えていなかったり、その重要性に気づきながらも手がまわらなかったりしたのなら、これを機に導入を検討してみてはいかがだろうか。CRMの普及に力を入れるイーグラントでは、定期的にセミナーを開催している。ぜひ南雲氏が登壇する日程をチェックされたし。