地価半分!都内翌日配送OK! 物流倉庫を検討するなら候補に入れるべき“北陸”の地
倉庫のリプレイスや物流スキームそのものの見直しに迫られているEC事業者に、改めて考えていただきたいことがある。「物流倉庫が関東にある必然性はいかほどか?」。北陸倉庫ナンバーワンの実績を持つアップル流通株式会社は、いわばEC物流倉庫のダークホース。関東のEC事業者を多数クライアントに抱える同社において東京事務所を任されている、営業企画課 山崎純也氏に北陸に倉庫を持つメリットを伺った。
「なんとなく関東」なら断然北陸!
“福井県”はどこにある? そう問われて即答できない人は、実はけっこういる。正解は九州でも東北でもなく、日本海に面する北陸の京都寄り。繊維産業が盛んで、社長排出率においては長年にわたり全国トップを誇る県だ。その福井県が、ECの物流において静かに熱い。
「たとえばヤマト運輸の配送地域区分を見ると、福井県からは東京へは翌日配送が可能です。もちろん大阪・名古屋にも。一方で、土地代だけを見れば地方は関東の倉庫よりも間違いなく優位性があります。当社独自の調査では、関東の倉庫に比べて地価は約半分ほどです」そう語るのは、同社の東京事務所を切り盛りする山崎氏。
多くの企業・お客様が集中する東京に近い、関東エリアの倉庫のみを「なんとなく」検討しているとしたら、それは無駄なコストをかけてしまっているかもしれない。
「地方の企業としては、『どこにある会社』ということではなく『この会社』を見て欲しいと思っています。地方だからという理由で候補にすら入れないのは残念」と山崎氏。確かに地方にも優良企業は数多く存在している。翌日届くのであれば関東エリアの倉庫にこだわる必要もなさそうだ。
「『出荷が間に合わない時に手伝いに行くから』という理由で、すぐに行ける範囲に倉庫があった方が安心だという荷主様もいらっしゃいますが、当社ではそもそも『今日出荷すべきものが出せない』ということは一切ありません。荷主様に商品の出荷の様子を見ていただいて一緒に改善していくことはありますが、それ以外で倉庫に来ていただくことは基本的にないですね。定例会議もこちらから出向くことも多いです」。
クレームがあった時に。在庫・出荷ミスがあった時に。何かあった時に……と考えてしまいがちだが、実際にそれらはどのくらいの頻度で起きることなのか。そもそも、そういったトラブルが頻発するのであれば、解決の方法は立地ではないのではないだろうか。
北陸に物流倉庫を構えるメリット・デメリット
地方倉庫の最大のメリットは、何と言ってもコストパフォーマンスだ。サービスや品質にもよるので一概に「いくら安くなる」とは言えないが、前出の通り地価だけを見れば関東の半額。実際に同社が扱う荷物の荷主には、関東のEC企業が名を連ねる。
「関東の企業様は地価が高すぎて自社倉庫を持てずにいます。事務所内に商品を積んでECをやってきた方たちが、物量が増えてどうにもならなくなり倉庫を検討した時、地方倉庫を選ばれるケースが多いですね。関東倉庫からのリプレイスも多いです」そう話す山崎氏。
都内翌日配送が可能というのももちろん大きな魅力だ。同社の場合、おおむね昼から15時までのオーダーなら翌日納品に対応しているという。
「しかも地方倉庫は融通が効きやすい。土地が確保しやすいので賃借倉庫も借りやすく、物量が一気にドンと増えることがあっても対応できるのです。当社の場合は福井県内で多くの企業を展開するエル・ローズグループということもあり、福利厚生に力を入れ、庫内スタッフが快適に働ける環境を整えているので人も集まりやすいと思います」。
今の倉庫が波動に耐えられない、という理由で同社に切り替える荷主も多いという。これからどんどん売上を伸ばしていきたいけれど、倉庫からは「ここまでしかできない」と言われて壁が超えられずにいた企業だ。
「当社は年間600万件の出荷実績があります。毎日倉庫に入っている人数もかなり多い。人の分母が大きい分、波動に対応しやすくなっていますので、他の3PL業者で対応できなかったところまで対応しやすいと言えます。広告を打って跳ね上がるとか、楽天スーパーSALEのような時も、多くのスタッフを抱えている当社なら問題ありません」。
しかしまだ記憶に新しい2月の大雪のように、豪雪地帯である北陸に倉庫を構えることを不安視する声もあるだろう。
「今年は30年ぶりの大雪でしたからね。これまで『トラックが関東の降雪で足止め』ということはよくありましたが『福井からトラックが出られない』ことはありませんでした。そういう意味では、関東の降雪や九州の台風に比べると福井は自然災害のリスクは低いかもしれないですね」と山崎氏。
リスク分散のために倉庫の2拠点化を検討している荷主から、同社に引き合いが来ることもあるという。そうなると唯一のデメリットと言えるのは、当日配送に対応できないことくらいだろうか。
「じゃあ福井でもいいんじゃない」と思ったら
同社の属するエル・ローズグループは、女性の補正下着メーカーにはじまり、お酒の小売、フィットネスクラブや障害者の就労支援施設・レジャー施設の運営などを手掛ける福井県内随一の企業だ。
「いろいろな事業をやっていると物の動きが出てくるので、その中で立ち上げたのが当社です。荷主企業は関東が多く、薬事対応もしていて化粧品・健康食品の顧客が6〜7割。地元ながらの繊維系、生活雑貨も扱っています」。
3PL業者では珍しく自動梱包機を導入し、人件費の削減と高品質化に成功している。システムにも力を注ぎ、楽天市場やAmazonなどのモールやさまざまなカート、独自システムにもカスタマイズで対応している。
「アナログの物流会社はまだまだ多いのが実情です。目で見て商品を取って、とやっていると、在庫のミスも多くなる。ECのシステムはAPIでなんでも連携しているのに、物流でそれが止まってしまうという状況でした。当社ではWMS(倉庫管理システム)を使ってリアルタイムな在庫共有も可能ですし、納品書・送り状をカスタマイズして対応することもできます」と山崎氏は話す。
関東の荷主が増えてきたことで、東京にスタッフを常駐させ事務所も移転オープンさせたばかりの同社。今後、九州や北海道への複数拠点化も視野に入れているという。
「輸送費の値上がりが続いているので、いわゆる『第一地帯』と呼ばれるところを増やし、より荷主様に負担をかけないようにと考えています。また、万が一自然災害などで物流がストップした時のためにも、他の倉庫から荷物が出せるように備えておきたいと思っています」。
EC物流倉庫のダークホースとも言えるアップル流通株式会社。倉庫を検討する際には同社も候補に入れ、一度話を聞いてみてはいかがだろうか。自社に合うサービスを提供してくれるのはどの会社かという見極めは、それからでも遅くないはずだ。