物流施設に革命を。働きやすい環境作りがECを加速させる
世間では「働き方改革」という言葉の元、各所で様々な施策が行なわれている。そうした風潮がある中で、物流施設・倉庫のプロバイダーである日本GLP株式会社が入居者の働きやすさに配慮した物流施設「GLP流山 I」を竣工している。今必要とされている新しい物流施設の様子を見ていきたい。
日本GLP社の集大成「GLP 流山」
2015年に開始した、3棟からなる総延床面積32万㎡の物流施設建設という、日本最大級のプロジェクト。その中で一番の規模を誇る「GLP流山Ⅰ」が今年3月に竣工した。
物流だけの用途にとどまらず、工場用途対応という日本初の取り組みはもちろんのこと、現場のスタッフが働きやすい環境が整えられているという点にも注目したいところだ。冒頭にも述べたように、現在「働き方改革」を進める企業は多く、各所で取り組みがなされている。この「働き方改革」には労働時間や労働条件ではなく、労働時間のほとんどを過ごす現場環境がいかに働きやすい場所であるかも重視されるだろう。
実際に働く現場となる倉庫内の天井には大型のシーリングファンが設置され、このファンが稼働すると体感温度が下がり、空調設備と比べてランニングコストも98%削減され、夏場の労働環境にも配慮がなされている。
もちろん、倉庫の使い勝手も配慮されており、倉庫の開口部に対して全面シャッター仕様となっており、無駄な庫内移動を無くし、効率的なオペレーションが実現出来る。付帯設備もさることながら、庫内の設計においても最大限配慮されており、業務を進める上でもストレスの少ない施設だ。
また、大規模(8,800坪)から小規模(880坪)でも対応できる面積割区画となっているため、「GLP流山Ⅰ」を活用し規模を拡大していきたいというEC事業者にとっても嬉しい話もある。
人材の確保から働きやすい環境作りまでを実現
もちろん、働く人々にとっても過ごしやすいのは倉庫内の環境だけではない。日本GLPでは施設で働くにとって、1日を通して過ごしやすい環境が作られている。例えば、カフェテリアは4階と1階にそれぞれ設置され、合計座席数は400を超える。
1階にはシャワー室やコインランドリーなども設置されており、宿泊施設は無いものの、まるでホテルのような設備である。また、喫煙室も各階に完備されており、喫煙者にとっても移動の手間や混雑を避けることができる。
その他、利用者向けの宅配ボックスもあり、日中家を不在にすることで発生する再配達も未然に防ぐ取り組みを行うなど、働く人々への快適さ、利便性は非常に高い。
施設間や休憩中の外出時に利用できるレンタサイクルやレンタカーや24時間営業のコンビニもあり、利便性の高い施設となっているのは間違いないだろう。
その他、入居企業向けには自家給油所や洗車場、レンタルフォークリフトなども用意されており、ここでも通常の物流施設とは異なる計らいがなされている。
子育てと仕事の両立を促進
流山市では「母になるなら、流山市」のスローガンのもと誘致施策を行っており、千葉県内での人口増加率1位と全国的に見ても高い数値を出している。また、労働人口という面で、千葉ニュータウンのある印西市と比較しても、3.5倍(半径5km圏)近く流山市がリードしている。そうした背景もあり、倉庫内作業のメイン層である主婦層にも配慮がなされ、託児所も設けられている。
また、同施設内には大手派遣事務所との提携によって派遣事務所が併設され、「GLP流山Ⅰ」への募集を優先的に行っていくという。利用する企業にとっては季節派動による人材の調整がスムーズに、そして労働者にとっては、この事務所に来れば仕事があるという状態になっており、流山市の取り組みとも非常にマッチしている施設ともいえよう。
また、「GLP流山Ⅰ」は流山ICから降りですぐと施設へのアクセスが良いのだが、首都高外環の市川高谷から三郷がつながることで、都心へ渋滞が緩和され千葉湾岸へのアクセスも良くなるため、非常にポテンシャルの高い立地である。
施設の屋上には車通勤者用の駐車場が用意。その他、最寄駅である東部アーバンパークライン「初石」駅からの無料送迎バスの運行やターミナル駅である「流山おおたかの森」駅からも専用直通バスも施設エントランス前へと引き込みが有り、通勤する人にとってもアクセスのしやすい環境が整えられている。
アクセスの良さは働く人に対してだけでなく、付近に宅配会社の支店も近いため、商品受注から配送までのリードタイム短縮につながり、顧客満足度の向上も見込めるだろう。
”今”求められる物流施設「GLP流山Ⅰ」
代表取締役社長 帖佐 義之氏は「GLP流山Ⅰ」について次のように語っている。
「ふんだんに機能を備えており、我々のプロジェクトの集大成とも言えます。外環道との接続などもあり、施設の利便性は高い。千葉県は、湾岸、内陸、空港などの特色を持ったエリアがあり、都心の消費圏からも近いということから、高いポテンシャルを秘めているため、千葉は最重要マーケットと位置付けている。」
取材当時、3棟合わせての内定入居率は7割。3PL事業者をはじめとした物流企業を中心にメーカーや精密機器系の企業の入居が決まっているといい、(2018年3月5日時点)。今後竣工を控えている「GLP 流山 II」「GLP 流山 III」にも期待したいところだ。
今後は「GLP 流山」の流れを汲んだ物流施設を相模原に建設予定で、その規模は流山の倍となるそうだ。
物流施設への工場用途対応だけでも大きな付加価値ではあるが、倉庫以外の部分でも入居企業にとって非常にホスピタリティの高い施設となっている。働く環境の質が高まれば、そこで働く人々の気持ちにもゆとりが生まれ、サービスの質も向上すると考えられ、まさに現代の働き方を反映した施設とも言える。
なお、4月20日にはEC事業者向けに完成披露会を予定しているという。この完成披露会では人手不足が深刻化する中で、自動化技術を活用した物流現場の生産性向上に関するソリューションも紹介されるという。時代の最先端を進む日本GLPの集大成を実際に目にしてみてはいかがだろうか。