『台湾向け越境EC』を“沖縄の先に売る”ような手軽さで実現。 ~コロナショックで見えた新たな販路とは?~ 【取材協力:トライリンクアジア】
2020年年初来のコロナショックは、5月に入ってもおさまる気配はない。それどころか、新型ウイルスとの闘いは、長期戦を覚悟しなければならない状況になっている。長引く休業を余儀なくされている小売事業者は、まさに青息吐息である。特に、国を上げての観光立国戦略を背景とした訪日客のインバウンド需要で事業成長を目指してきた小売事業者などにとっては、訪日客需要をまったく期待できない現在の状況は、危機的とさえいえる。
しかし、だからといっていつまでも手をこまねいているわけにもいかない。この状況下にあっても、採り得る戦略はある。そのひとつが、すでにコロナショックが終息しつつある台湾へ向けた越境ECである。
台湾向け越境ECの支援サービスを展開する株式会社トライリンクアジア(以下、トライリンクアジア)の台湾事業部 セールスチーム 小林圭太氏にお話を伺った。
消極的なインバウンド“待ち”から、積極的な越境ECという“攻め”への転換が必須になった
2020年1月からはじまったコロナショックにより、多くの企業が厳しい事業運営を余儀なくされている。特に、世界中で海外渡航が制限される中で、インバウンド需要に頼っていた観光業や小売業は大きな打撃を受けている。「コロナショックの影響が一体いつまで続くのか、予断を許さない状況だと思います。緊急事態宣言自体はやがて解除されるでしょうが、それによってすぐに元通りの日常生活が戻ってくるのかといえば、そうはならないと思われます。
最近は、観光地に実店舗を展開されているメーカー様などから、“台湾向け越境EC”に取り組みたいというお問合せが増えています。加えて、ECに取り組んではいるが、国内市場向けに特化しており、海外展開を考えていなかったというEC事業者様などからも、“台湾向け越境EC”についてのご相談が増えています。」と小林氏はいう。実際、トライリンクアジアでは、今年の2月以降は、“台湾向け越境EC”に対する問い合わせや相談が急増しているのだそうだ。
「これまでの越境ECは、訪日客のインバウンド需要を起点として、当該のお客様が帰国された後のリピート需要掘り起こしで“越境EC”などの海外展開を図るというものでした。しかし、コロナショックでインバウンドがほぼ見込めない状況では、こうしたインバウンド“待ち”の図式は成立しません。むしろ、積極的な越境EC展開という“攻め”の海外展開が求められているのです。今回のコロナショックで飲食店はもとより、小売事業者などの方々も売上低迷に喘いでいることと思いますが、当社が『台湾越境EC』をご支援したEC事業者の多くは、台湾からの受注が、日本国内の受注件数ほどには落ち込んでいないことによって、コロナショックのダメージをある程度抑えることができているようです。」と小林氏がいうように、越境ECなどの海外展開によって、国外からの受注割合が増えているEC事業者は、コロナショックの被害を低く抑えることに成功しているようだ。
「コロナショックによって、パンデミックの問題もさることながら、社会のある部分においては、大きな構造変革の必要に迫られています。EC事業者をはじめ多くの事業者には、そうした変革にうまく対応することが求められているといえるでしょう。販路拡大という意味で、越境ECを積極的に取り入れることは、こうした変革のひとつの有効な手法だといえます。今回のコロナショックのような不測の事態に直面したとしても、それに耐えられる事業の強みを作る施策にもなり得ると考えています。」と小林氏は続ける。
中国より簡便・スピーディな展開が可能な台湾EC市場
このような時代だからこそ、EC事業者にとって、越境ECへの取り組みは不可欠の戦略だといえる。ただ、これまで漠然と必要性を感じながらも、具体的な動きをしてこなかったEC事業者としては、どのように取り組めばいいのかわからないということもあるだろう。「これまで“越境EC”に取り組んだことのない事業者であれば、『台湾越境EC』がお勧めです。以前は、越境ECといえば中国が取り上げられることが多かったのですが、市場性、取り組みやすさ、マーケティングの容易性など、どれをとっても台湾市場の方が優位性があります。」と小林氏は強調する。
「よくいわれることですが、台湾の消費者は親日派が多く、メイドインジャパンに対する信頼感も高いです。台湾のドラッグストアへ行くと、陳列棚のゴールデンゾーンといわれる最も手にとりやすいところに日本製の化粧品や健康食品が並び、その次が台湾製、中国製といった順番で商品が並ぶほどです。台湾の市場性はとても豊かです。
また、規制などの面でも台湾は有利です。中国への進出を考えると、ファイヤーウォールの問題もあり、中国のモールへの出品が軸になります。もし中国へ越境ECで展開しようとすれば、通関の規制の問題など高いハードルがいくつも出てきます。しかし台湾への越境ECを展開するにあたっては、ランディングページとショッピングカートを用意するなど、基本的な準備だけでローンチすることが可能です。海外進出とはいっても、『台湾向け越境EC』なら、“沖縄の先に販路を拡大するような手軽さ”で取り組むことが可能です。
さらに、Webマーケティングについても、台湾ならGoogle、facebook、LINEなど日本でポピュラーなメディアやツールが、日本と同じように活用されているので、日本でのEC展開をしているなら、そこで培ったマーケティング・ノウハウを応用できるのです。
もっといえば、台湾のECでは、香港やマレーシアといった東南アジアに住む華僑などからの受注も多くあります。香港も台湾も繁体字なので、そうした使われ方をするのです。ですから、将来的に東南アジアへの進出をねらう上でも台湾を足掛かりにすることには意義があります。中国進出についても、香港経由で取り組むことによって、有利な展開が可能になることもあります。」と小林氏が語る『台湾向け越境EC』の魅力やメリットには、枚挙にいとまがないといえるほどだ。
台湾国内初の「後払い決済サービス」を展開するトライリンクアジアの圧倒的なサポート力
トライリンクアジアは、台湾で初となる「後払い決済サービス」を展開する決済代行事業者でもある。以前の台湾では、コンビニで商品を受け取る際に支払いをするコンビニ払いか、クレジットカード払いが標準的な決済方法だった。しかし最近はクレジットカード情報を入力することに抵抗感が覚える消費者が増えたことで、決済方法が限定的になっていたようだ。特に越境ECの場合には、なおさらクレジットカード情報の入力は嫌がられる。そこで、トライリンクアジアが「後払い決済サービス」を展開したことにより、台湾の消費者に安心・安全な決済方法として評価され利用が進んでおり、台湾のEC事業者も積極的にトライリンクアジアの「後払い決済サービス」を導入しているのだという。
「当社は『台湾向け越境EC』の支援サービスを行っており、単純に越境ECの支援をする事業者は他にも多数ありますが、台湾現地で決済サービスを展開しているのは、当社ぐらいではないでしょうか。後払い決済サービスを現地のEC事業者に提供することで、台湾のEC市場に関する多様な情報を入手でき、それを日本のEC事業者に提供することが可能です。また、台湾では“返品”を受け付けるかどうかが、ECショップ自体の評価を左右しますが、日本からの越境ECでは、返品の送料が問題となり、なかなか返品を受け付けにくいのが実情です。しかし、当社では、台湾に現地法人があり、そこを返品先としてご利用いただけるサービスもご提供しています。これも、競合他社にはなかなかできないサービスだと自負しています。さらにいえば、このサービスは当社の「後払い決済サービス」をご契約いただいているEC事業者様にはデフォルトでお付けしています。」と小林氏はいう。
トライリンクアジアでは、現地法人を通じたスピーディな市場情報も獲得できる。ここまでのサービス充実度や、持てるノウハウの質・量を考慮すれば、もはや、台湾への越境EC展開を目指すなら、トライリンクアジアに相談するのが最も成功への近道だといえるかもしれない。