中国越境ECで対策必須の“黄金の6秒間”。カギを握るAIチャットボット最新事情

ECのミカタ編集部 [PR]

北京璞華ロボット情報技術有限公司 CEO 唐徳権氏

2019年に電子商務法が導入されるなど、中国越境ECを取り巻く環境は刻々と変化している。個人の事業者が規制によって淘汰されるなか、巨大な中国市場を狙った日本企業間の競争は、ますます過熱していくだろう。

これから中国進出を目指すEC事業者にとって、その成否を分ける重要なファクターのひとつがカスタマーへの対応。中国に特化した越境ECプラットフォーム「24ABC」では、AIチャットボットを駆使した問い合わせ対応ツールの導入を推奨している。

日本国内では決して普及率の高くないチャットボットがなぜ必要なのか。そこには、中国市場ならではの背景があるという。同サービスを提供する24ABC株式会社の関係会社、北京璞華ロボット情報技術有限公司CEO唐徳権氏に詳細を伺った。

中国では多くのECショップがチャットボットを利用

――まずは「24ABC」のサービス概要について教えてください。

24ABCでは、中国越境ECを始めたい日本企業のためのプラットフォームを提供しています。EC店舗の作成や国際決済、物流、通関といった基本的な支援から、マーケティングやカスタマー対応などの周辺領域まで、ワンストップでのサポートが可能です。パッケージサービスをご利用いただければ、低コストかつスピーディーに中国越境EC市場へ参入することができます。

――そのパッケージに加えて今回は新たに、チャットボットによるカスタマー対応ツール「璞媧(ハクカ)」をご紹介いただくということですね。

「璞媧(ハクカ)」のパッケージプランでは、SaaS(クラウド上でのソフトウェア提供)サービスにさまざまな機能が入っています。テキストや音声のチャット機能、ボット自身がカスタマーに連絡する機能、それらの品質チェックやレポーティングなど、オペレーションに必要な機能を網羅しています。EC事業者様は、これらの中から利用したいサービスを選択し、カスタマイズすることが可能です。ECサイト内にソースコードを貼り付けることで、チャット機能だけを切り出して使うことも可能です。

――クライアントのチャットボット利用状況はいかがでしょうか。

現在中国国内で提供している当社のSaaSサービスでおよそ6,300社以上が利用されています。中国国内では多くのECショップが、当社のチャットボットによるカスタマー対応を行っています。

チャットボット普及の理由は、AIの進歩と“黄金の6秒間”

――チャットボットの提供を開始した背景は何でしょうか。

導入に至った大きな要因のひとつは、時代の潮流です。スマートフォンが普及して、中国ではECの利用が日常的になってきました。それにともない、ショップへの問い合わせ件数も増えています。特にイベント時などは、人的リソースだけでは対応しきれません。

その点チャットボットは、どれだけ問い合わせが来ても対応できますし、24時間いつでも稼働できるメリットがあります。中国国内での人件費の高騰もそれに拍車をかけていますね。

そしてもうひとつが人工知能(AI)技術の進歩です。近年、ディープニューラルネットワーク(複層的な機械学習の仕組み)、自然言語処理(コンピュータによる日常言語の処理)、ナレッジグラフ(複数の情報を関連付ける知識ベース)などの技術は大きな発展を遂げました。

これによりチャットボットの精度が向上し、カスタマーが何を言っているのかを理解できるようになりました。今ではチャット内容に多少バラツキがあっても受容できるレベルになっています。

――日本ではまだチャットボットは一般的ではないイメージがあります。中国で積極的に採用されるのはなぜでしょうか。

中国EC業界には“黄金の6秒間”という言葉があります。これは、何か質問をした時にショップ側のレスポンスが少しでも遅れると、カスタマーはすぐに他のサイトに流れてしまう、ということを表現した暗黙のルールのようなものです。そのため、ショップ担当者は1秒でも早く、カスタマーの質問に対して答えを出さなければなりません。

日本では、手順に沿って丁寧に案内する“おもてなし”が大事にされていますが、中国では一問一答のトラブルシューティングによる“スピード感”を重視する傾向があります。これはどちらが正しいというよりは、両国のカルチャーの違いと言えるでしょう。

中国越境EC参入のカギは、AIチャットボットと独自の商品・サービス

――中国ECにおいてニーズが高まるチャットボットですが、現在の市場全体における導入状況はいかがでしょうか。

「Tmall」や「JD」といった大手ECサイトには、すでにチャットボットが実装されています。中小の事業者も、当社のようなサードパーティーによるサービス提供を受けている企業は無数にあり、その多くは、オペレーターによる問い合わせ対応とチャットボットを併用しています。私個人の体感では、実装率は9割以上にものぼります。

日本のEC事業者が中国に進出するうえで、チャットボットは“標準装備”しておくべきツールであると言えるでしょう。ちなみに中国では、AIを搭載したチャットボットが主流で、シナリオ型など他のタイプはまず採用されません。

――日本よりもかなりAIが普及しているのですね。AI一択だとしたら、EC事業者がチャットボットを選ぶ際は、何を基準にしたら良いでしょうか。

まずは機能面です。現在ではテキストだけでなく、音声にも対応できるものが出てきています。今後の拡張性を考えると、そういったタイプを選ぶと良いでしょう。

あとは、いかに優れたユーザー体験を提供できるか。質問に対してどれだけ高い精度で回答できるかが大事です。開発ベンダー各社は、わずか数%の差を競っている状況ですが、これをよく比較する必要があります。

そして、EC業界のナレッジ蓄積量も非常に重要です。AIは学習したデータ量によって、品質に差が出てくるもの。特定の産業に強く、より優れたナレッジを提供できるサービスを選ぶべきです。

――これらの基準において、「璞媧(ハクカ)」にはどのような強みがありますか。

当社のサービスは、あらゆる状況を想定したオールインワンのパッケージになっています。チャットボットはテキストも音声も対応可能です。

言語理解についても、中国のパートナー企業と連携して技術面の向上を図っていて、90%以上のケースにおいて、AIが正しい回答を導き出せるようになっています。

ナレッジについてはECに強いのはもちろん、教育や医療、公共機関などのナレッジ整理を行っていて、今後さらに拡大予定です。ECのカスタマー対応において必要とされる、注文情報の照会や配送情報の追跡ともスムーズに連携できます。

また、当社はSaaSでのサービス提供を基本としていますが、たとえばクライアント側のサーバーに実装して、基幹システムと連携することも可能です。セキュリティなどの理由からクラウドのサービスをご利用いただけない企業でも問題ありません。

――チャットボットを実装できたとして、日本の事業者がすでに成熟した中国EC市場に参入できる余地はあるのでしょうか。

確かに「アリババ」や「Tmall」といった巨大なプラットフォーマーの隆盛もあり、新規参入は決して簡単ではありません。一方で、中国EC市場自体がスケールアップしているという見方もできます。そこに新しい切り口でアプローチできれば、可能性はあると思います。

たとえば中国のECアプリ「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」は、既存サイトがターゲットにしていた都市部のハイクラス層ではなく、地方の消費者を狙った低価格路線によって、3億人以上のアクティブユーザーを獲得しています。これまでにないユニークな商品やサービスを提供できれば、まだまだ市場にチャンスはあると言えるでしょう。

チャットボットが自ら接客する時代へ。日本EC市場への本格導入にも期待

――正直なところ、中国のAIの進歩に驚きました。今後もさらなる発展が期待されます。

特にこれからは、AIによる音声対応が注目されるでしょう。すでに音声対応が可能なモデルはコールセンターに導入されていて、まずチャットボットが電話に出て、対応しきれない場合のみオペレーターにつながるという例もあります。

また、これまでは問い合わせに対して回答する「受け身的パターン」でしたが、今後は「自主的パターン」にシフトしていくと予想されます。ユーザーがサイトにアクセスしたらチャットボットが自ら話しかけたり、音声電話をかけたりするというものです。

中国では、チャットボットが日常生活において欠かせない存在になりつつあり、より一層普及していくのではないかと期待しています。

――チャットボットの普及に向けて、「璞媧(ハクカ)」としての今後の取り組みについて教えてください。

当社では、常にオールインワンのパッケージ内容を見直し、改善に努めています。もちろんチャットボットも例外ではありません。

現在、具体的に取り組んでいるのは、音声対応の強化です。最終的には電話がかかってきたらロボットが接客するのが目標で、そのためのブレイクスルーを目指しています。“AIドリブン・コミュニケーション”とでも言いましょうか、AIが複雑な会話でも意図を理解し、オペレーターの力を借りずに一連のマルチステップでの案内を完結できるようにしたいです。

――その技術が日本でも広まり、より効率的なカスタマーサクセスの仕組みができると良いですね。

当社では、日本語の言語処理や音声認識の研究も行っています。求められるクオリティはとても高く、まだまだ課題はありますが、うまくいけば今年中に日本のECショップ向けのサービスをローンチできると考えています。来年は東京オリンピックも開催予定なので、それも見据えて準備していきます。

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