CV向上・売上拡大につながる決済とは?大手家電ECサイト「PCボンバー」が取り組んだ高単価商材でも安心して購入できる決済の取り組み

ECのミカタ編集部

ECサイトでの決済手段はクレジットカードが主流だが、利用者が多様化するなか、クレジットカードを持っていなくても、或いはそのサイトを利用するのが初めてでも、安心かつ便利に利用できる後払い決済への需要が高まっている。EC事業者からすると後払い決済は、利用上限額や商材への対応可否が課題となりがちだが、その課題を解決する後払い決済サービスが、ポケットカード株式会社が提供する「後払いワイド」だ。本記事では、後払いワイドを導入したECサイト「PCボンバー」を運営する株式会社綿半ドットコム(旧アベルネット)田原尚子 氏(事業部)と、ポケットカード株式会社 山中伸哉 氏(営業本部 営業開発部副部長 兼 新規事業企画室長)に、後払いワイドの特徴から、導入に至った決め手や導入後の変化、今後の展開などを伺った。

上限30万円、分割・リボ払いにも対応する後払い決済

上限30万円、分割・リボ払いにも対応する後払い決済

ポケットカード株式会社は、クレジットカードの発行・運営を主な事業としており、プロパーカードの「P-oneカード」を始め、提携カードとして「ファミマTカード」「ZOZOCARD」などさまざまなクレジットカードを発行している。カード会員は約500万人に上り、幅広いユーザー層を抱える。

そんなポケットカード社が2019年4月に新たにリリースしたのが、後払い決済サービスの「後払いワイド」だ。なぜ、クレジットカード事業を手掛けてきたポケットカード社が、後払い決済サービスを展開したのだろうか。

山中氏「クレジットカードは特にECでの決済でよくご利用いただきます。しかし、キャッシュレス決済が普及するなかで、クレジットカードを持たない方にも便利にご利用いただける決済方法を提供したいという考えから、後払いワイドをリリースするに至りました。」

後払い決済サービスは既に多くのサービスが登場しており、後払いワイドは後発のサービスとなる。しかし、他のサービスと比べたときに、高い利用上限と多様な支払い方法が特徴的だ。

山中氏「後払い決済サービスは、利用上限金額が5万円まで、支払方法は一括払いのみという形が一般的です。一方、後払いワイドの利用上限金額は30万円で、更に分割払いやリボ払いといった支払方法もご利用いただけます。ここに、当社のクレジットカード事業で培ってきたノウハウが活かされています。」

家電など高単価の商材を扱うECでも導入しやすい

そんな後払いワイドを2020年3月に導入したのが、株式会社綿半ドットコムが運営する大手家電ECサイト「PCボンバー」だ。PCボンバーは、家電を始め、バイク用品、アパレルブランド、建築資材など多岐に渡るカテゴリーの商品を取り扱っており、商品の豊富さとどこにも負けない価格で提供しているのが特徴だ。

田原氏「家電業界はEC化が進んでおり、量販店もEC化に積極的です。そのなかで、弊社では家電をもっとも安く提供するだけではなく、家電以外のカテゴリーの強化にも取り組んでいます。以前は40~50代男性のお客様がメインでしたが、商品の幅が広がったことでお客様の層も広がり、男女問わず幅広い年齢の方にご利用いただけるようになってきました。一般の方はもちろん、業者の方にもご利用いただく機会が増えています。」

そうやって顧客層が広がるなかで、安心感と利便性を提供したいという考えが、後払い導入の背景にあったという。

田原氏「ECを利用される方は増えていますが、やはり商品が届く前に決済をすることに不安を感じる方は多いはずです。そこで、アパレルECなどですでに取り入れられていた後払い決済に着目し、導入を何社かに相談させていただきました。」

いくつかの後払い決済サービスを比較検討するなかで、後払いワイド導入を決めた要因としては、利用上限や審査スピードなど、利用者の利便性が高まる点が大きかったそうだ。

田原氏「PCボンバーでは家電を多く扱っていることもあり、当初、後払い決済の導入は簡単ではないと考えていました。というのも、後払い決済は一般的に消費者が利用できる上限枠が5万ほどしかないため、パソコンなど高単価な商材では導入が難しい背景がありました。しかし、後払いワイドは利用上限が高く、審査時間は5~15分で、夜20時までの申し込みであれば即日結果が出ます。お客様にクレジットカード決済のような気軽さでご利用いただくことができ、利便性が高いと感じました。」

一般的に、PCボンバーのような高単価で換金性の高い商材を扱うECサイトでは、後払い決済の導入が難しいことが多い。しかしそういったECにこそ、後払いワイドの強みが活きる。

山中氏「最大30万円まで利用でき、分割払いも可能な後払いワイドは、デジタル家電のような高単価の商材でも対応可能です。導入いただくことで、PCボンバー様のお客様を増やす貢献ができるのではないかと考えました。

また、デジタル家電やブランド商品のような換金性の高い商材は、一般的な後払い決済サービスでは敬遠されがちです。しかし当社は、クレジットカード事業のノウハウを基にした与信メソッドにより、そうした商材への利用をも可能としています。

さらに、割賦販売法、犯罪収益移転防止法の法的要件を遵守し、厳格な本人確認や不正検知の仕組みを導入しています。これにより、クレジットカードと同等以上のセキュアな決済方法となっていることも、大きな強みだと考えています。」

後払いワイド導入後の変化

PCボンバーへの後払い決済導入の検討開始が2019年10月ごろ、その年の年末に後払いワイド導入を決定し、2020年1~3月にかけてシステム開発が行われた。導入が決定してからは、とてもスムーズに進んだそうだ。

田原氏「ポケットカードさんにサポートしていただきながら、システム的なところも、連携も非常にスムーズに進みました。短い期間での導入が実現したと思います。」

そして後払いワイドを導入後、利用者は順調に増えているそうだ。

田原氏「新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えたことも大きいと思うのですが、特に今年の5月は、PCボンバーを訪れるお客様がかなり増えました。これまでECを利用されてこなかった方に、ECをご利用いただく機会にもなっていると思います。

決済の選択肢を増やすことで、そういったお客様の今後のリピートにもつなげていきたいです。そのためにも、後払い決済に対する認知度を、もっと上げていきたいと思っています。急を要する買い物に対して、給与前でもご利用いただける安心感を広く知っていただきたいですね。」

後払いワイド導入による付加価値

後払いワイド導入による付加価値

後払いが利用できることは、PCボンバーにとって、サイトの付加価値をつけることにもなっているという。今後の展開として、価格はもちろんのこと、そういった付加価値を重視していきたいそうだ。

田原氏「家電が一番安く買えるというのはPCボンバーの強みですが、今後は価格勝負だけでない付加価値も提供していきたいと考えています。商品カテゴリーの拡充もそうですし、配達オプションや取り付けサービスの提供、後払い決済も付加価値のひとつになり得ます。

たとえばPCボンバーでは、建築資材や工具なども豊富に扱っているのですが、そういった商品を、建築現場で働かれている一人親方さんなどが購入されるケースも多くあります。そういったときに後払いワイドをご利用いただくことで、支払いが簡単になり、お役に立てるのではないかと考えています。」

後払いワイドはリリースから約一年が経ち、導入企業を伸ばしつつあるが、これからさらに利用企業を増やしていきたいと、山中氏は言う。

山中氏「ECでは、希望する決済手段がないと購入を諦めたり、購入サイトを変えたりするユーザーさんも少なくありません。決済というとEC運営のなかでは黒子的立場になりますが、CV向上や売上拡大に貢献できるものだと思います。

さらに今後、ECに限らず、リアル店舗でも、QRコードを利用することでその場で後払いワイドをご利用いただけるサービスを展開する予定です。今後は、ECとリアル店舗、両面から後払いワイドの利用機会を拡大していきたいです。」

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