決済多様化の時代に 何を選ぶべきなのか?

ECのミカタ編集部

GMO ペイメントゲートウェイ株式会社
右:イノベーション・パートナーズ本部 戦略事業統括部 統括部長 常務執行役員 吉岡優氏
左:イノベーション・パートナーズ本部 イノベーション戦略部 財津拓郎氏

ECにおける決済手段は増え、便利な時代になりましたが、事業者としてはどの決済手段を導入すれば良いのか、迷いも多いです。決済はECサイトのセキュリティにも大きく関わるため、安易な選択はできません。今、EC決済が未来に向かってどのように変化しているのか、GMOペイメントゲートウェイの吉岡氏・財津氏にお伺いしました。

この5年の決済における二面の変化

吉岡:EC決済の変化についてこの5年を振り返ると、消費者から見える側面と見えない側面との両方に大きな変化があります。

まず消費者から見える側面での変化としては、決済手段が多様化してきたことが挙げられます。後払いや、QR決済、ID決済など、新しい決済手段が次々に登場しました。QR決済は、当初は実店舗での利用が中心でしたが、ECでの利用も積極的に進められています。弊社のメインの決済システムである「PGマルチペイメントサービス」でも、2015年から2020年にかけて振り返ると、毎年何らかの決済手段を追加しています。

このように新しい決済手段が次々に登場する中で、いずれかのサービスの需要が突出して高かったり、新たな決済手段が従来の決済手段に取って代わったりしたかというと、今のところそういった動きはありません。それよりも、いずれの決済手段もどこかに消費者のニーズがあって、非常に多様化しているというのが現状です。いずれはいくつかの主要なサービスにまとまるという局面が出てくるとは思いますが、まだしばらくは多様化の流れが進むと思われます。

もう一つ、消費者から見えない側面としては、2018年6月に施行された改正割賦販売法(改正割販法)が大きな変化でした。この法律では、クレジットカードを取り扱う加盟店におけるセキュリティ対策の義務が定められました。改正割販法の施行により、EC加盟店も例外なく、カード情報非保持化の仕組みを導入するか、カード情報を保持する場合は国際基準であるPCIDSSに準拠することが求められました。改正割販法施行の背景には、クレジットカードの不正利用や情報漏えいの増加があります。

財津:弊社としても、改正割販法に対応したサービスを提供するとともに、不正利用を防ぐためのオプションもさまざまに提供しています。不正利用が多い加盟店に対しての指導なども入るようになったので、指導を受けた加盟店さんからご相談も頂いております。

決済の多様化による消費者、加盟店それぞれのメリット

吉岡:決済の多様化には、消費者の生活様式の変化も反映されています。例えば、後払いなどは宅配ボックスと相性の良い決済方法で、そこまで目立った変化はしていないものの、代引引換から徐々にシフトしている傾向があります。代引引換は、荷物の配達予定時間にずっと家にいなければならず、一人暮らしや共働きの家庭では利用しにくい方法といえます。

また、対面での受け取りや、現金を用意しなければいけないことなども、今の生活様式に合わなくなっています。そんな中、宅配ボックスで荷物を受け取り、後払いで支払いができれば、消費者にとって利用しやすく、利便性が大きく増すでしょう。

財津:EC加盟店からすると、カゴ落ちを防ぐため、消費者からニーズのある決済方法にはできるだけ対応したいという側面があると思います。後払いなどは、入金を待たずに出荷できるという点が加盟店にとってのメリットにもなっています。

吉岡:EC加盟店が決済手段の多様化にどこまで対応するかというのは、店舗の規模や客層によるところもあるので、一概には言えません。例えば、QR決済およびID決済の一つ「楽天ペイ」は楽天ユーザーと親和性が高い決済手段といえます。自社サイトと楽天サイトを運営していて、楽天で売れ筋商品を販売、ニッチな商品は自社サイトのみで販売というような形の店であれば、自社サイトに楽天ペイを導入して楽天ポイントを使えるようになったことがきっかけで、日ごろ楽天サイトで買い物をしているユーザーが自社サイトにも来てくれる確率が高まります。逆に、自社の商品を購入するようなユーザーがあまり使わない決済手段を導入してもメリットは小さいかもしれません。

財津:また、新しい決済手段の導入には開発コストもかかるので、新しい決済手段がリリースされたとしても、それ単体で導入するというよりは、システムの移行や更新の際に一緒に導入するという加盟店さんが多いです。ただ、コストがそこまで気にならない程度ならば、導入することによるデメリットはないと思います。導入してもしなくてもどっちでもいいという状況ならば、導入しておいた方が良いのではないでしょうか。

EC市場のさらなる拡大が予想される中で

吉岡:ECの決済に関しては、今後も引き続き決済手段の多様化が進んでいくと思います。その中で、だんだん特定のサービスの利用者が増えていくことはあると思いますが、すぐに大きな変化はないと考えています。

それよりも、EC市場そのものの変化の方が大きいのではないでしょうか。EC市場はずっと成長を続けてきていますが、今後、今まで以上にEC化が進んでいくはずです。もともとEC市場では、ECも含めた複数の販売チャネルを活用するオムニチャネルの流れはありましたが、新型コロナウイルス感染拡大による社会の変化を受けて、これまでEC店舗をメインにしてきた事業者だけでなく、あらゆる事業でECでの販売が検討されています。

財津:実際に、これまで実店舗だけで展開してきたけれど、新たにECも始めるというケースでの決済サービスへの申し込みも増えています。また、自粛やリモートワークにより在宅時間が伸びたことで、ECのショップだけでなく、利用者も増えています。しかし一方、そういった変化を狙った不正アクセスも増加傾向にあるようです。

今後、EC加盟店のセキュリティ面は一層注意が必要になります。改正割販法施行によるカード情報の非保持化などの対応はほぼ全ての加盟店ですでに行われているかと思いますが、それだけで安心なわけではなく、それ以外のところで情報が流出するということもあるので、決済だけでなく、サイト自体のセキュリティレベルを高くしておく必要があります。セキュリティ対策に不明点や不安がある場合は、まずはシステムを構築したベンダーさんに相談してみるのが良いのですが、サイト立ち上げ後はやりとりがほとんどなく相談しにくいというケースもあるかと思います。そういった場合は、弊社のような決済システムを扱っている会社でもご相談を受けることができますので、気軽にお問い合わせください。

決済サービスを選ぶ際には、まずは利用しているカートが推奨するサービスや指定のサービスを確認した上で、自社の業種業態や要望に合わせた決済手段やセキュリティのアドバイスをしてくれるところを選ぶのが良いのではないかと思います。最初から1社に決めて進めるよりは、複数の会社にいろいろ聞きながら選んでいった方が、自社に合ったサービスを導入できるはずです。機能面はもちろんのこと、不明点があったときに、状況に応じた使い方のアドバイスをしてくれるかどうかというのも重要です。

ECサイトを立ち上げるとなると、まずはサイトのデザインや集客から始まりいろいろな選択があって、決済というのは最後の方に来るものかと思いますが、自社の体制に合ったものを選ぶことが重要です。弊社も、サイトで公開している以外にも多くのカートシステムと提携しており、より多くのECでご利用いただける体制を整えています。

吉岡:最後に、弊社の強みとしては、提供しているシステムのほかに、加盟店様のご相談を受け、状況に応じたアドバイスができるというソフト面のサービスもあります。最近ではオンラインでのご相談や打ち合わせも増えました。新型コロナウイルスの影響で社会が変化を余儀なくされている時代ですが、そういった変化にも対応しながら、今後もお客様のお役に立っていきたいと思っています。

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